積む

最期に寂しくならないように、徳を高めようと思った話

「あの人は徳がないからダメなんだ」

同僚がそう言った。

「確かに・・・、徳が低いから送別会で人が集まらなかったんだな」

私も苦笑いでそう返した。

ちょうど一年前に、ある人の送別会が開催された。

ある人は、頭の回転が非常に早く、マネージャーとしては非常に優秀だった。

しかし、である。

ある人は、口が悪く、部下に対する数々のパワハラとも受け取られかねない発言が、多くの部下からの怒りを買っていた。その結果として、送別会で人が集まらなかったのだ。

そして、この状態を共通認識として、同僚と私は『徳がない』という言葉で言い表したのだ。

全てが無に帰した時、"徳" が残る

ところで、『徳って何だろう?』

私も同僚も、フワフワした状態で使っていたのは間違いない。

"徳" は、2文字の短いフレーズながらも、言葉に含まれる意味合いは非常に広く、そして深そうだ。そして、それがゆえに「お前には徳がない」と相手をいじる際に使用しても、相手が一瞬考え込み「なんでやねん」と返しをし、笑いが起こるイメージが浮かぶため、ツッコミのフレーズとしては優秀だと思う。

で、早速、徳の意味を調べて要約してみた。

徳は、人間の持つ気質や能力に、社会性や道徳性が発揮されたものであり、社会的経験や道徳的訓練によって身に付けることができる。
徳は、人間性を構成する多様な精神要素からなり、『気品、意志、温情、理性、忠誠、勇気、名誉、誠実、自信、謙虚、健康、楽天主義』等がある。そしてこれが、バランスのとれた状態である。

やはり意味は、予想通り広くて深かったが、私なりに "徳" を一言でまとめてみると、『努力で後天的に身に付けれる前向きな道徳性』といったところか。

これを踏まえて、先の "ある人" の行動を振り返ってみると、能力はあったが、前向きな道徳性に欠ける行動をしていたということで、やはり徳がなかったということになる。

翻って、自分には果たして徳があるのだろうか?

いや正直、私は胸を張って「自分には徳がある」と言うことができない。

なぜなら、徳を構成する要素の内、"気品" が明らかに欠落しているからだ。

例えば、食事一つ取ってもこうだ。

私は、カレーのルーとご飯を上手いこと調整して食べることが苦手なため、保険を掛ける意味でも予め混ぜてしまう。そうなると、カレーの見た目は汚くなり、タモリがいくらカレーは混ぜると上手くなるといっても、気品の欠片もなくなってしまうのである。

また、食事中に音を立てずに食べることもできない。気を抜くと、クチャクチャと口から音を立ててしまうし、宮中晩餐会に呼ばれた日には、緊張でフォークを皿に必要以上にカチカチと当てた挙句に床に落とすといった失態を犯してしまうかもしれない。

食事一つ取ってもこうだから、その他のことは言うまでもなく。

今はまだ仕事をしているから、みんなが大目に見てくれているかもしれないが、いざ仕事を辞めるとなって、仕事のしがらみがなくなった時に問われるのが正に "徳" だと思うので、そういう意味ではヤバイ状況だ。

"人の振り見て我が振り直せ" ということわざがあるが、私も来たる送別会に向けて送別者0人という事態に陥らないように、気品を上げて徳を積む必要がある。

気品を上げて、徳も上げる

これまで気品が底辺だった私は、気品を急いで上げないと引退までには到底人並以上にならない。

気付いたことを地道に修正していく予定だが、当然周りも気品を上げてくるはずで、このままだと全く距離が縮まないだろう。

だとすると、+αで気品を著しく上げるための努力もしなければならない。

そのような考えから、私は気品を上げるための方法を模索し、一つの書籍に巡り合った。それは、坂東眞理子氏の『女性の品格』である。

この本はタイトルのごとく、女性向けの本だと思うが、300万部のベストセラーであることから、男性の私でもきっと得られるものがあるであろうと手に取った次第だ。

その本を調査してわかったのが、気品を上げるためのアプローチとしては大きく分けて2つあるということだ。

◆内面からのアプローチ
 ・マナーを身に付ける
 ・丁寧で前向きに話す
 ・礼節を重んじる
 ・相手を立てる
 ・経験に投資する
◆外見からのアプローチ
 ・身体引き締め姿勢よく
 ・服装はスタンダード
 ・インナーはオシャレに

内面からのアプローチは地道で時間が掛かりそうだが、外見からのアプローチの中にはすぐにできそうものがあるのがわかる。

例えば、服装をスタンダードにすることや、インナーをオシャレにすることは、少しのお金でも工夫次第で誰にでもできそうな感じである。

私の服装はすでにスタンダードなので、やるべきことは1つである。

そう、インナーのパンツをオシャレにすることである。

パンツのオシャレですぐさま思い付いたのが、千原ジュニアである。

近年、ブリーフ派の急先鋒として名高い千原ジュニアが、事あるごとにオシャレな ”赤ブリーフ" を披露しているのである。

私は高校からこれまでずっとトランクス派だったが、メディアに多数取り上げられるている千原ジュニアを見ると、ブリーフ派の勢いを感じざるを得ない。

「時代の波に乗りなさい」とは誰かが良く言ったものだが、その言葉を今こそ信じる時が来たのかなと。

オシャレな赤ブリーフは、オシャレな物を取り扱う近所のイトーヨーカ堂にはきっとあるはずである。

私の品格と、それに伴う徳の向上は約束された。

それでは、赤ブリーフ買いに行ってきます!

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