はじめての笑顔
5月末の新谷仁美選手のツイートにこういうものがありました。
2013年の引退から5年のブランクを経て競技復帰。そこから1年で世界陸上の舞台まで戻ってきた。普通に考えると十分すぎる結果かもしれない。そして、このツイートも謙遜のようにとられるのかもしれない。
ミックスゾーンで話を聞くため、記者はモニターでレースの流れを見て、レース終了後、急いでミックスゾーンへかけつける。世界陸上のような場合、新谷選手だけをカメラは追ってくれない。そういうこともあって、走り終わってミックスゾーンで受け答えする新谷選手を見ていると、「よくぞ、ここまで戻してきた」という記者と「敗北です」という新谷さんとのやりとりにギャップがあるように見えた。彼女は自分探しではなく、「勝つために戻ってきた」わけだから、なおさらだ。
記者はミックスゾーンの先には入ることは許されない。けれども、カメラをもっていれば、ミックスゾーンのその先、グラウンドレベルに立ち入ることができる。カメラは印籠みたいなところがある。そして、ときにはペンよりも雄弁に状況を語ることができる。
2019年。新谷選手にとって、ポイントとなったレースは4月のアジア選手権ドーハ10000m。5月の日本選手権10000m。9月の世界陸上ドーハ。
どのレースでも泣きそうな顔でゴールし、リザルトも確認することなく、すぐにトラックをあとにする新谷選手がいた。
アジア選手権ドーハ。
日本選手権
世界陸上ドーハ
トラックから立ち去る速さは世界一。
2年近く復帰後の新谷選手を見続けてきて、ようやく笑顔でゴールできたのはヒューストンハーフのときのこと。
だから、「2020年は笑顔の一年」となるといいな。と。
そろそろ再開となるトラックを楽しみに待ちながら。
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月刊といいながら、一日に何度も更新する日もあります。「いつかビジュアルがたくさんある陸上雑誌ができるといいなあ」と仲間と話していたんですが…
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