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「小学生や中学生でも分かるように説明する」ことの難しさ

お久しぶりですね.E.Kubotaです.

さあ,今回は個人的にどうしても言葉にして吐き出したい思いが沸き上がってきたので,ちょっとだけ「やりたいこと」の執筆を後回しにしてこの記事を書きたいと思います.

先日の投稿で書いた「僕のやりたいこと」は順調に言語化が進んでおります.もうしばらくすれば公開できると思います.あと少しお待ちください.

「分かる」と「説明できる」の違い

つい先日,僕が通う高校ではSS課題研究の成果研究発表会が行われました.

どこかで書いたかもしれませんが,僕が通う中高一貫校はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されており,高校1,2年のSS(スーパーサイエンス)コース選択者はテーマを決め,課題研究を行います.詳しくは下から.

高校2年の僕たちは,6月から約半年間行ってきたSS課題研究の成果をSSコース選択者70名+教員10名程度の前で発表いたしました.

高1でもプレ課題研究という位置づけで研究して発表までしましたが,個人的には全体のレベルがとても高くなっていて,2時間がすごくあっという間だったなと感じでした.めっちゃ面白かったですね.

僕は「あみだくじで数学2 ~あみだくじに共通する"誘導部分グラフ"の発見~」というテーマで,ざっくり言えばあるあみだくじの中に入れ子のように別のあみだくじの構造が入る十分条件について研究をしました.

実際に発表したのですが,発表の感想を周囲に聞くわけです.そうしたら

研究の中身がよく分からなかった.いきなり冒頭から難しすぎる.

という意見がなんと多いこと!去年も似たような感じだったので,今年こそは!と意気込んで徹底的にかみ砕きまくったんですがね...
数学の研究発表なのに数式がほぼ出てこないとか,厳密さを少し捨ててでも分かりやすい表記に直したり,研究内容を詳しく説明しても分からないから応用面を多めに書く...といった感じでしょうか.

腹の中では「もうちょっと追いつこうとしてくれよ...」とも思いますが,正直内容の理解に研究者(僕)が数ヶ月を要した内容をたった5分の説明で全員が理解しろってのは確かに無理でしょう.

確かに難しいんです.研究で扱った内容は大学で扱う数学(グラフ理論,群論)です.それでも僕は今回の研究を行う上で支障がないくらいに理解はしています.

「僕は分かる」でも「他の人に伝えられない」

このギャップを乗り越えることがとても難しいなと感じます.

「人に伝える」ことの難しさ

ここで問題なのは「分からなかった,難しい」と言っている人の多さです.

数名ならばその人の感性に説明を合わせられなかっただけと言えるでしょうが,感想を聞いた人のほとんどから「分からん」と言われる始末.

(ただ,一つだけ愚痴らせてもらうなら,他の研究もだいぶんマニアックなところに突っ込んで,一応概要は理解できましたが,なかなか理解が大変な研究も多少ありました.僕の研究と同じく高校内容を大きく逸脱した内容を含むものもあります.なのに,なぜ僕の研究だけこんなに「分からない」ばかり言われなきゃいけないんだって思います.数学だからなのか?)

多くの人に「数学=難しい」の図式が定着しているのも影響していると思いますが,圧倒的に僕の実力不足.相手の力量(理解力)を的確に見極めて発表の準備をできなかった僕の落ち度です.

ただ,僕はできるだけ多くの人が分かるようにと,とにかく発表に工夫を凝らしているのに,ヘラヘラして「分からんw」みたいに言われたり,「どこが分からなかった?」と聞いても「最初の数秒見て諦めた」とか言われるのは,それはそれで別の思いが湧きます.

僕がちゃんと分かるように準備するのは当たり前
聞き手が理解しようと興味を持つのは大事
その状態になんとかしてでも持っていかないと,発表はうまくいかないなと思います

小学生や中学生に伝える

今回の発表の直前,いつも部活でお世話になっている先生から

「小学生に説明するくらい,丁寧に行きな!」とちょっとユーモアも交じりながら声をかけてくださいました.そのユーモアに対して別の先生が「さすがにそれは厳しいよねぇ」とフォロー(?)してくださりました.

ただ,このアドバイスと似たような質問を以前のカンファレンスで頂いたことがあります.それは

「この研究を中学生に説明するとき,あなたはどのように説明しますか?」

(「以前のカンファレンス」については興味があればこちらを読んでみてください.)

これって「いやいやいや,さすがに無理って...」と一瞬思う質問です.でも実はこの質問,結構根源的な質問で,言い換えるならば

「あなたの研究の本質をあなた自身は見抜いて,それを説明できますか?」

という思いが隠れています.これは難しい.言葉の裏をなかなか読めない僕には2重の難しさを含んでいます(笑).

でも,この質問に答えられるのであれば,僕はあんなに理解不能者を量産する発表をしていないはずです.だって中学生が分かることなら大多数の高校生は分かるでしょう.

こんな感じで常に研究者とか,何かを話す人たちって「分からない人」にどう伝えるか,をしっかり意識して伝えているんだなぁと改めて感じました.

まとめ

・何かを伝えることにおいて,受け取り手の意識も大事.
 でも話し手の準備は当然のようにもっと大事.
 受け取り手が「聞きたい」と思う準備や導入をしよう
・話し手の準備の基準は「小中学生に伝わるかどうか」

このような感じかと思います.

実は29日に同じ内容を再度発表いたします.しかも今度は全校生徒+リモート参加者に向けて,ホールから.

今度こそは,と意気込んで,全力で頑張りたいと思います!

最後まで読んでいただきありがとうございました!