作品紹介 #011~#013
こちらでは、
能「道成寺」「八島」「東北」を描いた作品を紹介していきます。
更に詳しく解説が知りたい方は、ぜひ公式HPのほうでご覧になってみて下さい。(ページ下部にLINKあります)
Doujyouji jyatai/Noh Art #011
能「道成寺」
鐘の中から姿を現わした禍々しい表情の蛇体(毒蛇)
道成寺は和歌山県にある天台宗の寺院。
そこで伝わる安珍清姫伝説を基にした演目です
最初は美しい白拍子の女が釣鐘の供養の舞を躍らせてほしいと現れます
その内に独特の拍子を不気味な様子で取りながら遂に女は鐘を落として中に入ってしまいます。
この場面の、大きな鐘の中にシテが入り
白拍子から蛇体の姿へと一人で装束を替えるところも見どころの一つです
後ろの鐘は60~80キロ程もあります
能面は"真蛇(しんじゃ)"と言い、
般若面の中でも最も業が深く殆ど蛇になった顔を表しています
道成寺は能演者の中でも大変重い曲とされています
緩急もあり、最初から最後まで目の離せない面白い演目です
「祈り祈られかっぱとまろぶが又起き上がって忽ちに。
鐘に向ってつく息は 猛火となって 其身を焼く」
僧達の祈祷によって倒れ伏した毒蛇が、
鐘に向かってもう一度吹いた自分の吐息で身を焼かれてしまう場面です。
安珍清姫伝説
参拝の途中一夜の宿を求めた僧・安珍に、清姫が懸想する。
しかし、思いを寄せた僧の安珍に裏切られた清姫は蛇に変化して日高川を渡って追跡し、終には道成寺で鐘ごと安珍を焼き殺してしまう
この男女は因縁のまま輪廻転生するが、
道成寺の読経の供養により成仏するという仏教説話
安珍・清姫伝説《Wikipedia》
Yashima /Noh Art #012
能「 八島 / 屋島 」
修羅道での凄まじい戦いに駆られる様子を見せる源義経の霊
源義経を主役とした、
平家物語の屋島の戦いが基になった能です
香川県高松市にある屋島。
私の習っている流派では「八島」と書きますが、
他の流派ではそのままの「屋島」の字が使用されています。
古くは源平の古戦場であった島です
この八島という演目は、
勝修羅物(勝ち戦の武将を題材とした能)という三演目の内の一つであり、
その中でも名作とされています
「春の夜の浪より明けて 敵と見えしは群れいる鴎
鬨の声と聞えしは 浦風なりけり高松の 朝嵐とぞなりにける」
(はるのよのなみよりあけて かたきとみえしは むれいるかもめ
ときのこえときこえしは うらかぜなりけりたかまつの あさあらしとぞなりにける)
春の夜が波から明け始めて、
敵と思っていたのは群れいる鷗、
鬨の声と思っていたのは高松の浦風であった という最後の場面より
Touboku Izumi Shikibu/Noh Art #013
能「東北」より
淡い月の光と梅の香が漂う中に佇む和泉式部の霊
和泉式部は平安時代中期の歌人です
一条天皇の后・藤原彰子に女房として仕え、
紫式部などとともに女流作家として活躍しました
恋多き女性として名高く、和歌も恋を詠った作品が多いそうです。
「東北」と書いて「とうぼく」と読みます。
平安時代の京都では、鬼門にあたる場所に "東北院" というお寺が置かれていました。何度か焼失や移転を経ていますが、この場所で和泉式部は晩年を送ったそうです。
境内には能の中にも登場する「軒端の梅」とされる古木も残っています
「 春の夜の闇はあやなし梅の花 色こそ見えね
香やはかくるゝ 香やは隠るゝ 香やはかくるゝ 」
(はるのよのやみはあやなしうめのはな いろこそみえね かやはかくるる
かやはかくるる かやはかくるる)
春の闇夜には、暗くて梅の花も見えないが、その香りだけは漂ってくると謡われている場面
ここまで御覧いただきありがとうございました。
下のリンク先の作品紹介ページにて、
演目の詳しい内容や、登場人物、使用している面や能装束、縁のある史跡等について解説しています。宜しければぜひご覧下さい。
「みずらほ」… https://mizuraho.eisui.space/
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