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効率が良すぎるのも……「英語のそこのところ」第142回


【前書き】

 今回、投稿するエッセイは7年前の2017年8月31日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。
 明日から新学期という方も多いと思います。長い夏休みが終わって学校が始まるわけですが、学校についてNative English Speakerから言われたことをきっかけに気づいたことです。新学期なんで無料です。(著者)

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これは作者の15年にわたる英語との格闘をギュッと濃縮した英語スキルアップ物語。
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 2008年に株式会社メディア・ポートより上梓され、その後同社の解散により入手不可能になり、みなさんにはご迷惑をおかけしておりましたが(一時は、古本が2万3万ぐらいで取引されていたようで。いやはや、私には一銭も入りませんが_| ̄|○)、kindle という形で復活させることが出来ました。
これを機にぜひお手に取ってみてください。

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 English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト(全10巻)で、英文法を網羅しましたので、「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル7」以降では、様々なコンテンツの名言、名台詞を英語するより実践的なトレーニングをやっています。
 この「ドリル19」で「Always look on the bright side of life」 を題材に英文を作っていきます。

人生には、悪いこともあるさ。
それらは、本当に君を頭に来させがちだよ。
ちょっと君を毒づかせたり、呪わせたりすることもある。
君が人生の筋(肉の筋)を噛んでいるとき、文句を言うなよ、口笛吹けよ。
そしたら、これは物事たちが一番良い結果に収まることを助けるだろうよ。
さぁ、いつも、人生の輝く面を見なよ。
もし、人生がすげぇ不愉快に(君が)見えるなら、君が忘れてることもあるんだよ。
そして、あれは、声を出して笑うこと、微笑むこと、そして、踊って歌うことさ。
愚かな馬鹿な真似をするな。
ただ、あなたの唇をすぼめて、そして、口笛吹けよ。

英語でどう言うのでしょうか? 
このテキストを使えば、きっちり身に付きます。お試しください。

【本文】

 以前にも書いたことで恐縮ですが、実は私はまったく先生というものなりたいと思ったことがないにもかかわらず、20年以上も人に知識を伝えて習得してもらうということを生業のひとつにさせていただいています。何の因果なんでしょうねぇ。本当に先生という職業に憧れたことはないんで、不思議なことです。
 まぁ、もっと正直に言えば先生って嫌いでしてね。さらにいうと学校というのも嫌い。もう本当に嫌でした。よく学校は嫌いだけど、友達がいるから好き、みたいなことをいう人がいますけど、そういうこともなくて、全体に嫌いで、本当に毎日起きて学校に行くのがつらかった憶えがあります。

 そういうわけで、私の感覚はずいぶん世間様と違っていて、また、こういう変化の多い時代ですから、標準的な考え方だとは言えないかもしれないんですが、学校に対する考え方を、今日は少し聞いていただこうかと思っているんです。

 私にとって学校は行かなくて済むなら、行かずに済ませたいところです。授業はつまらないし、友人とのやり取りは面倒だし、似合いもしない制服を着なきゃいけないし、ああしろ、こうしろと命令されるし、いいことは一つもない。いつも私は学校に行くのが嫌でたまりませんでした。
 でも、それでも学校に行っていたのは、行かないと将来自立していくだけのお金が稼げないと思っていたからです。
 いい高校に行って、いい大学を出て、いい企業に就職するというコースを思い描いていたわけじゃないけど、ある程度稼ぐには学歴というものが付いて回るのは間違いのないことでしょう。もちろん、中卒でも高卒でも立派にやってらっしゃる方を私も多く存じ上げておりますし、学歴を持つことが絶対でないことは知っています。でも、絶対に必要じゃないかもしれないけど、あった方がいいことは間違いない。実際私自身、出身大学のおかげで仕事上助かったことは何度もある。学歴ってのは社会での優待券みたいなもので、あった方が得するように今の社会はできているんです。

 なので、仕方なく私は学校に行っていました。

 で、ある高校に進学するわけですが、私がニブい子供だったせいか、それとも親が迂闊だったせいかはおいとくとして、ぜんぜん校風を調べずにその高校に入っちゃった。
 入学式が終わってすぐ次の日からオリエンテーションと称して阿蘇山の合宿所みたいなところに、カンヅメにされる。なにをやらされるかっていうと、みなさん信じられないでしょうが「行進」です。一学年400名で20×20の正方形を作って、教諭の「右向け右。前へ進め!」っていう号令に従ってグラウンドを行進する。これが腕の上げ下げから歩幅まで揃ってなくちゃいけないってんだから大変です。ちょっとでもずれると教諭が飛んできて男でも女でもお構いなしに張り倒される。張り倒されれば、当然後ろを歩く人間だって動きがずれるんで、また張り倒されての繰り返し。ずらっと一列、櫛の歯が欠けたように抜けるわけだけど、倒れたままでいると今度は駆け寄ってきた別の教諭に足蹴にされるんで必死に起き上がって行進に戻って「一、二、一、二」。
 鬼軍曹の、いや教諭の号令のままに行進ができるようになるまで、毎日これが繰り返されててオリエンテーションの最終日には従順な羊が400頭できあがります。

 やばいところに入っちゃったなぁというのは後の祭りで、これが本当に後の祭りときている。田舎ですからね。たくさん高校があるわけでなし、簡単に転校なんてできやしないから、ここで3年過ごすのかとげんなりしていました。でも、もっとげんなりしたのは、同級生たちがこういう校風であることを知っていて望んでいたこと。みんな、質実剛健、同期の桜、八紘一宇よろしく
「男らしくて格好よかばい(男子)」、
「凛として綺麗かろ(女子)」
とおっしゃる。

 私なんか文弱もいいところで、本の虫なんで疎外感は100%。もともと学校なんて行きたくもないのにますます行きたくなくなる。それでも、将来的に自立していくだけの稼ぎは必要だからと授業だけは必要、と思えればよかったんですが、得意だった理数系(数学が一番得意だったんですよ。中学校の先生が解けない問題をあっさり解いたりしていた)の学部に、身体的な問題で行けないことが判明してしていましたから、ある種自暴自棄になっていて、勉強にも興味がなくなる。
 周囲からは、こいつ、なんか俺たちと毛色が違うなとみられて、軽んじられているし、成績も急降下するから、先生たちからも軽んじられる。しまいには「3年で卒業してくれよ。出席は大目に見てやるから」といわれる始末。あははと笑うしかなくなります。どう考えても諦められている。とっとと出ていけということですから。

 でも、そこからが私の変なところで、というか学校嫌いが幸いしたところで、しめたって思ったんです。
「ああ、諦められて、無視されるなら、学校にいなくても判るめぇ」
 と、朝、家を出るといそいそと市の大きな図書館に行く。
 始めは平日の午前中に詰襟の高校生がいるんですから見咎められないかとドキドキしていましたが、まったく注意されない。
 話は変わりますが、以前、話題になった図書館のツイートで図書館は来るものを拒まずで運営されていると知ったんですが、なるほどそういうことだったのかと納得しました。もっと堂々としてればよかったかな(笑)
 それはともかく、注意されないことに味を占めて私は本の世界にどっぷりと漬かってずいぶんと愉しませてもらいました。まぁ、この頃に読んだ哲学書とかが今の自分を助けてくれるんですから、人生なにがためになるか判らない。冒頭に戻るけど、これも不思議なことのひとつです。

 でも、こういう話を日本人同士ですると、たいがい可哀想な目で見られます。
「ああ、学校に適応できなかったんだね」
 とか、
「ドロップアウトしたのによく戻ってきたね。素晴らしいじゃないか」
 なんて言われ方をしたりもする。
 その人にとっては、やっぱり学校にまともに行くのが素晴らしいことで、正道なんでしょうねぇ。
 だけど、本当にそうなんでしょうか? 学校って絶対に唯一の行かなければならないところなんでしょうかねぇ? 「生徒」にとって。

 いや、行った方がいいというのは判ってます。でも、それは正道だからではない。学校って効率的なところなんですもの。行った方がいい。学校という場所は、勉強をできて、スポーツができて、音楽も、美術も、書道もできて、男だと柔道、剣道といった武道もできて、女性だと料理も教えてもらえる(私の高校、男子は家庭科は履修できませんでした)。年に1度は文化祭やら運動会やらがあり、イベントの運営の仕方も体験できる。当然ながら、その中での軋轢やら和解やらを経験して人間関係も学べる。一か所でこれだけのことを学べるのは、非常に効率の良いことだというのは間違いないでしょう。

 でも、効率性の高さが、その学校になじめない人々をつま弾きにしてしまう。そこの雰囲気や考えになじめないために、すべてを諦めなければならなくなるんですからね。効率的でありすぎるために、ひとつしか選べなくなっていて、かえって不自由になっているんじゃないかなぁって思うんです。

 学校の役割が多すぎることに私が気付いたのは、実はNative English speaker たちと話すようになってからです。
 ALTをやっているNative English speaker は本当に驚くんですよ。
 なんで、学校でフェスティバルやスポーツや音楽や美術や武道をやっているの? って本当に疑問。
 学校はあくまで『勉強』するところで、そのほかのことは地域のスポーツクラブや専門家がいる教室でやること。イベントを運営したければ、これも地域のコミュニティのお祭りの運営に参加するべきだということを連呼される。
 彼らが言いたいこととはちょっと違うかもしれませんが、ああ、海外では学校が唯一無二の選択肢ではなくて、いろんなコミュニティが受け皿になっているんだと気付かされます。

 私は、日本には日本のやり方があるし、海外には海外のやり方があって、良さそうに見える海外のやり方だとしても、木に竹を接ぐように日本に導入すればいいとは思っていません。でも、生活の中のコミュニティが『一つ』だけで、しかもそれが『最善である』とされる社会はちょっと息苦しいなと思っています。

 いろいろなコミュニティに顔を出して、いくつか過ごしやすいところを見つけられればいいんじゃないですねぇ。そうすれば、嫌な所もなにかを得るのに必要な場所だと割り切れるというものです。

 今日は8月31日。明日から新学期というところは多いと思います。愉しめないなら何かのためにと割り切るのもいいかもしれませんよ。
 誰も彼もにとっての天国なんてないんですから。

 今、私は居場所を提供してくれた図書館に感謝をしつつ、あの高校での『不一致』にも感謝しています。だって、あの地獄の経験があったからこそ、そういう目線を持てるようになったのは間違いないですから。無駄と思わなければ、なんだって無駄にはならないのです(笑)

(初出 水戸みかど商会ファクシミリ配信誌 2017年8月31日)

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 English Sentence Maker は、あなたの感情や意見、思っていることを伝えるためにはどの時制や助動詞、文法事項を選ぶべきかがわかる実践英語・英会話力養成テキストです。

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 実践英語・英会話力養成テキストEnglish Sentence Maker は、3つの特色を持っています。

 ひとつ目は、能動的な学習だということ。
 English Sentence Maker は書き込み式のテキストです。各Lesson ごとの解説を読み、そのあとに掲載されている日本文をご自身のノートもしくはkindle のノートブックなどに英語にして書き入れてください。その際に、知らない単語は調べたりせずに、日本語のまま英語の文の位置においてください。そうすることで、知っている単語、知らない単語を区別し、身に着けるべき単語を浮かび上がらせることが出来ます。

 ふたつ目は、どの文法事項を使うかの判断基準を身に着けられるということ。
 小・中・高校と長い間英語を学ぶために、多くに人々は英語の現在形、過去形などの文法事項を知っています。しかし、残念ながら、その文法事項をどういう場合に使えばよいかという判断基準を身に着けていません。

 たとえば、ここ何ヶ月かフットボールに夢中になっているということを伝えたい場合に使うべき時制は、現在形でしょうか? それとも現在進行形でしょうか? 迷われると思います。
 この知ってはいるけれども使い方に迷ってしまう文法事項を使う判断基準を各Lesson ごとの解説でくわしく説明しています。それを理解することで、英語を使う際に十全にあなたの感情や意見、思っていることを伝えることが出来るようになります。

 みっつ目は、英語を英語で考えることが出来るようになるということ。
 English Sentence Maker は日本語を英語にしていくことで、英語を習得していくテキストです。しかも、どういうときに、どういうことを言いたいときに、どの文法事項を使えばよいかという判断基準が出来ていくために、日本語の文字面を英語に移していくのではなく、日本語を読んでその内容をイメージして、そのイメージを英語にするというスキルを身に着けることが出来ます。頭の中のイメージから英語を作ることが出来るということは、そこに日本語は介在しません。つまり、英語を英語で考えることが出来るようになるのです。

具体的には、

私は彼が来るだろうことを知っていた。

という日本語を英語にする際には、日本語の文字面を英語に移していくと、

I knew that he will come.

と、しがちです。「知っていた」なのでknew、「来るだろう」なのでwill comeというわけです。
 しかし、よく考えてください。「彼が来るだろう」というのは、「私が知っていた」過去の時点のことです。であれば、「彼が来るだろう」と書いてあっても、過去から見た未来のwould を使って、would come としなければなりません。日本語をその字面のまま英語にしてはいけないのです。しかし、日本語を読んでその内容をイメージして、そのイメージを、判断基準をもって英語にすることが出来れば、問題はなくなります。頭の中に時の流れのイメージがあるために、

I knew that he would come.

という英文が難なく作れるようになります。 英文作成力や速読力を付けたいと思っておられる方ぜひ、手に取ってみてください。必ず、英語・英会話が出来るようになります。

☆「English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト」および「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル」で使っている英文はすべて、Native English Speakerと協同で製作したものです。安心して、Native English Speakerの自然な英語を知り、習得してください。

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