無知に負けない。「英語のそこのところ」第86回
【前書き】
今回、投稿するエッセイは7年前の2015年8月6日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。
今日は8月6日です。許すまじ原爆を、という思いとともに、無知がゆえにやってしまった過ちを忘れてはいけないと思うのです。
無知を既知に、流されることなく主張をできるようになりたいものです。(著者)
拙著「英語の国の兵衛門」のkindle版を出版しました。
2008年に株式会社メディア・ポートより上梓され、その後同社の解散により入手不可能になり、みなさんにはご迷惑をおかけしておりましたが(一時は、古本が2万3万ぐらいで取引されていたようで。いやはや、私には一銭も入りませんが_| ̄|○)、kindle という形で復活させることが出来ました。
これを機にぜひお手に取ってみてください。
最新刊!
「英語の国の兵衛門」「英語のそこのところ」の作者徳田孝一郎の作った英語テキスト「English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト9 形容詞とその仲間たち2(関係詞)」販売中!
前巻の「形容詞とその仲間たち」で形容詞・不定詞の形容詞的用法・分詞を取り上げ、様々な表現をするスキルを身に着けていただきましたが、今回は、文で名詞を飾りたいときに使う関係代名詞・関係副詞です。
「質問をしてくる奴=私たちにいくつかの質問を頼む少年たち」
「あいつらがする質問=少年たちが私たちに頼むいくつかの質問」
と言った日本語を英語にする手順をすっきり身に着けることができます。
【本文】
「よっちゃん」は転校生でした。同じく転校生だった「こいちゃん」は、よっちゃんが転校してくるとすぐに仲良くなりました。
ふたりは学校から帰る方向が同じだったので、よくクイズを出しあいながら帰ったり、どぶ川にささ舟を流しては、ばくげきだぁ、などといって石を投げつけてささ舟をしずめる遊びをして帰っていました。
でも、不思議なことに、よっちゃんとこいちゃんにほかの子どもたちが加わることはありません。
同じ方向に帰るほかの子たちは、こいちゃんとは一緒に帰るのですが、よっちゃんがいると何気ない風を装って離れて行ってしまうのです。
こいちゃんは、頭は悪くないのですが、少しニブイ子だったので、それには気が付いていませんでした。よっちゃんとは、ふたりでたくさん話ができるなぁ ぐらいにしか思っていなかったのです。
しかし、ある時、こいちゃんにいつもお姉さんぶるクラスの女の子が変なことを言ってきたのです。
「こいちゃん、あんま、よっちゃんと一緒におるとピカがうつるばい。気ぃつけんといかんとよ」
休み時間、いっしょうけんめい粘土でロボットを作っていたこいちゃんは、そう言われて訳もわからずに、
うん。
とうなずいていました。
ピカがなんのことかわかりませんでしたし、その女の子は学級委員をやったりする一目置かれた存在だったのです。
「じゃ、きょうから石渡君たちといっしょに帰るとよ」
と、その女の子は、良いことをしたという満足感にほおを輝かせてその場を去っていきました。
その日から、こいちゃんがよっちゃんといっしょに帰ることはなくなりました。
よっちゃんがいっしょに帰ろうとしても、石渡君たちのグループがこいちゃんの周りに集まってしまうのです。
好かれていないと判るのか、よっちゃんも無理に石渡君たちのグループに入ってこようとはしません。遠くから、寂しそうな眸をしてこいちゃんを見ることがよっちゃんにできる精一杯のことでした。
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