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著者 徳田孝一郎からのご挨拶

 拙著「英語の国の兵衛門」が上梓されたのは、2008年のこと。
 なんとなく知ってはいるが、使いこなせてはいない英文法を使えるものにできる、ドタバタが面白いと、読者の方にはずいぶんとお褒めいただいた。面映い限りで、ちょっとほめ過ぎだよと思ったが、実際はまんざらではない(笑)

 調子に乗って第2弾を、と自分も思っていたし、版元からも次の本のネタはないかと言われていたのだが、好事魔多しとはよく言ったもので、突然版元が解散してしまい第2弾は立ち消えとなってしまった。

 やる気が削がれること甚だしい。第2弾は、主人公の兵衛門とディドが世界を旅してまたぞろスラップ・スティックを展開して、英会話を習得していくという話にしようと思っていたのだが、発表する場がなくなってしまったのだ。

 そんなとき、兵衛門の出版でもお世話になった出版プロデューサーの安齋栄氏が「よく会話に出てくるNative English Speakerとの驚いたり困らされたりしたエピソードを、エッセイで世に出さないか」と提案してきてくれた。発表の場としては、ご自身のやっている「みかど商会」でファクシミリ配信誌を作るという。

 ありがたい話で、ちょっとモチが下がっていた私としては渡りに船だった。
 それに、たしかに2011年まで勤めていた英会話スクールでは毎日のようにNative English Speaker独特の考え方に泣かされたり、感心させられたりしたし、一方で、Native Japanese Speakerの特徴を無下に捨ててはいけないとも感じた。ある種、主人公が英会話習得していくという話より、面白いかもしれないと思ったのだ。

 そのエッセイは「英語のそこのところ」というタイトルで、2013年10月から連載が始まり、2021年2月現在で223号を数えている。ありがたいことにいまだに多くの購読者を得ている。
 そのなかには、ありがたいことにバックナンバーを読みたいという奇特な方もいて、そういう方には個別にお送りしていたのだが、昨年2020年あたりから、なかなかの量になってしまった。

 それならば、ブログのような形でバックナンバーを公開すればよいのではないかと、調べたところnote が読者とのコミュニケーションも取りやすくいいということが判った。「英そこ」はエッセイの末尾に英文作成の「お題」がついているので、インタラクティヴなやり取りができることが必須だったためだ。
 バックナンバーを公開することに関しては、安齋氏からも快諾を得ることが出来た。

 内容としては、7年ほど前のことでもあるので、多少話題が古びている部分もあるが、発表当時そのままの文章でアップすることにした。英語の内容は古びていないし、テーマになっているNative English SpeakerとNative Japanese Speakerの考え方の違いもいまだに明確化する必要があることだと思ったためだ。また、7年前のことというのはもうふた昔という感じがして、ノスタルジックなところもある。「ああ、そういうことがあったなぁ」と思って読んでいただけると嬉しい。

 お通しの代金をとられたことを知ってNative English Speakerが怒りはじめる話。
 何気なくいった仕事終わりの『疲れたぁ』の一言にNative English Speaker食いつかれて困った話。
 値段交渉で、Native English Speakerとうまくやり取りする方法。

 なにげない一言で巻きおこった様々なNative English Speakerとのエピソードを通して、英語の良さ日本語の良さを再確認する機会になってもらえれば、幸甚である。

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