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ホスピタリティ? 「英語のそこのところ」第78回

【前書き】

 今回、投稿するエッセイは7年前の2015年6月4日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。
 日本人のホスピタリティは世界に誇れるものだと言われて久しいですが、Native English Speakerはちょっと違う感想を持っているようです。知っておかないとまずいなと思った噺です(著者)

拙著「英語の国の兵衛門」のkindle版を出版しました。

2008年に株式会社メディア・ポートより上梓され、その後同社の解散により入手不可能になり、みなさんにはご迷惑をおかけしておりましたが(一時は、古本が2万3万ぐらいで取引されていたようで。いやはや、私には一銭も入りませんが_| ̄|○)、kindle という形で復活させることが出来ました。
これを機にぜひお手に取ってみてください。

最新刊!  
「英語の国の兵衛門」「英語のそこのところ」の作者徳田孝一郎の作った英語テキスト「English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト9 形容詞とその仲間たち2(関係詞)」販売中!

 前巻の「形容詞とその仲間たち」で形容詞・不定詞の形容詞的用法・分詞を取り上げ、様々な表現をするスキルを身に着けていただきましたが、今回は、文で名詞を飾りたいときに使う関係代名詞・関係副詞です。
「質問をしてくる奴=私たちにいくつかの質問を頼む少年たち」
「あいつらがする質問=少年たちが私たちに頼むいくつかの質問」
と言った日本語を英語にする手順をすっきり身に着けることができます。

【本文】

 日本に働きに来たNative English Speakerは、日本政府のやっているJETプログラムでやって来てるのが多いというお話は、何度かさせていただいています。繰り返しになってしまって恐縮ですが、JETプログラムって何? って方もおられると思うので説明させていただくと、JETプログラムというのは大学を卒業したNative English Speakerに日本で働きませんか? と声をかけてリクルートする事業のことです。で、日本に来たNative English Speakerがなにをやるかというとほとんどがアシタント・ランゲージ・ティーチャー(ALT)。一日2、3コマのレッスンを小・中・高校でやるだけで、まぁまぁの金額をもらえる。でも、せっかく異国に来たわけだし、もうちょっと働きたいというNative English Speakerの多くが英会話スクールでバイトということになります。
 なので、実は、あんまり日本には興味はなかったけど、給料もいいし来てみたというNative English Speakerは多いんです。なかには、日本ってインドの隣にあると思ってたよ、ははっ! なんてNative English Speakerもいる。

 でも、一方で熱烈に日本が好き、日本の○○が好き、っていうNative English Speakerもいます。
 もう当たり前の話になっている感はありますが、多いのはアニメ・マンガ好きのNative English Speaker。以前勤めていた英会話スクールの講師採用面接でドラゴンボールのTシャツを着てこられたときにはまいりましたね。当然、不採用でしたけど(笑) あと多いのは、武道系に興味があってというタイプ。日本人は全員黒帯だって思い込んでいる奴もいたりする。
 でも、こういうのはまだまだ可愛いほうで困るのは、忍者ファンというか、忍者が日本にいるって信じ切っているNative English Speakerです。

「いや、もう忍者なんていないってば」
 徳田が冷たくマシューの夢を壊すことを言う。
「そんなはずないよ。忍者はいるんだ。おれはいつか会って、弟子入りするんだ」
 マシューは徳田こそ判ってないと、人差指を左右に揺らす。なにを根拠にしているのかわからないが、マシューにとって忍者がいるのは神聖にして不可侵のことらしい。
「だって、おれ、会ったことないもの、おれ忍者だってやつに」
「当たり前じゃん、忍者が自分が忍者なんて言う筈ないでしょ。徳さんも判ってないなぁ」

という感じで、説得の糸口はまぁぁぁぁったくない。ホツレひとつ見つからない。ほぐしようがありません。まぁ、ほぐさなくったっていいんでしょうけど。
 で、おもしろくなって、話を深めていく。なんで、忍者がいるって信じてるんだってね。
「だって、日本人って、人の心が読めるじゃん。普通の人がそうなんだから、忍者だっているはずだよ」
「人の心が読める? そんなことないよ。エスパーじゃあるまいし」
 徳田が目を白黒させる。
「ええ? 徳さんだって、この前おれがレッスン前にうろうろしてたら、受講生のファイルをなにも言わずにとってくれたじゃん。『おお、テレパシー!』って感動したよ」

「いや、それはテレパシーじゃなくて……」
 徳田は、マシューのキラキラした目をみて、話の方向を変える。処置なしだ。
「おれ、『ニュータイプ』だから」
「ああ、そっちかぁっ」
 本気か、巫山戯ているのかわからないけど、マシューは大喜びです。

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