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英語のそこのところ 第18回 共感の前提が大切

著者 徳田孝一郎
イラストレーター 大橋啓子

 いよいよ3月になって、Jリーグも開幕(初出 水戸みかど商会ファクシミリ誌 2014年3月6日)、昨日は今年最初の日本代表戦もありましたが、みなさん観ておられますか? 私は当然観ていますが、日本代表戦なんかを見ているとああいいもんだなぁと思いますね。もちろん、Jリーグで普段は戦っている敵同士が、代表では協力して相手ゴールを陥れるという少年ジャンプ的な良さ(日向小次郎がいつの間にか大空翼の味方になっている的な奴です。あ、例えが古い?)もあるんですが、観客席という空間の良さです。サッカー好き、いや、フットボール好きの外国人たちと代表戦の応援に行ったことを思い出します。

 アメリカ人やオーストラリア人はともかく、UKやヨーロッパ、南アメリカ、アジアから来ている外国人講師たちは一様にスポーツと言えばフットボールでした。南米の女性はそうでもなかったけど、ヨーロッパの女性たちもフットボールが好きで、なかには熱狂的な人もいる。
 ポルトガル人の若い綺麗な女性講師がいて、これがポルトガルのベンフィカというチームの熱烈サポーター。週明け月曜日の表情で、ベンフィカの成績が判るんです。もうご機嫌で、鼻歌を歌いながらオフィスに来ると勝ってるし、まあまあの時はドロー。黙ってPCの電源を入れるようなときは、フットボールの話をしてはいけません。オフィスで、遊びの話はしないでなんて怒られちゃう。いつもは、自分から振ってくるくせに。

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 そんなこんなで、フットボールが大好きな綺麗な女性がいたりすると、オフィスのアメリカ人やオーストラリア人も、サッカーに興味を持ち始めて、にわかサッカーファンに早変わりする。でも、フットボールと言わずにサッカーと言ってしまって、ちょっと違うなという顔をされてしまうんですが(笑)
 で、フットボール観戦に行こうということになるわけですが、そこはJリーグにはいきにくい。なぜかっていうと、自分のフェイバリットなクラブチームを持っている人は決してほかのチームを応援しないんです。それは、強いからとか、かっこいい選手がいるからとかで応援しているわけではないから。愛着があるから応援してるんですね。ということで、フットボール観戦は、多少外国人も愛着を持ってくれている日本代表戦ということになります。

 土曜や、火曜の夜に集まって、ぞろぞろ、スタジアムまで道を歩く。私なんかはもう最寄り駅についたところから青いユニフォームに着替えていて、Native English Speakerにおちょくられる。なんといっても着ているのがレプリカじゃなくて本物の特注品。しかも、自分の一番好きな選手の名前を勝手に入れてある。
「あれ、代表の10番は中村俊輔じゃなかったけ?」
「なにそれ、中村じゃないじゃん」
「本山って誰?」
「それは秘密」
 なんて言っても、いつもみたいに
「だれ? だれ? なんで? なんで?」
なんて言われません。なんといっても、みんなで一緒に代表を応援する大前提がある。日ごろ、相手は違う人と思っているNative English Speakerでも、その一点でまとまっていて、みんなでニコニコ愉しくそぞろ歩きです。

 スタジアムについて、ビールを購入して、観客席に陣取って愉しく観戦するわけですが、Native English Speakerたちはもうなんていうか、こういう時は弾けますね。誰よりも大きな声で、チャントしてくれる。

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