『現代短歌の鑑賞101』を読む 第二回 柴生田稔
二人目は、柴生田稔。私はなじみのない歌人である。
鬼面人を驚かすようなことは言わないが、「そうかもしれない」と納得するような作風だ。
一首目、まとまらない思いが重なって疲れて眠るというのであるが、「重なりて」の実感と「ほとほと」のおふざけがうまくバランスを取っている。
二首目、私はこの一首にうなずいた。卑怯な傍観者でなかった、しかしそれは「せめては思ふ」のであり、傍観者でなかったからそれでよいと満足はできない。
年齢とともに心がこわばってしまうことを、亡き父だけではない