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ブレイブストーリー

2006年公開
原作:宮部みゆき

<あらすじ>
 小学5年生の三谷亘。学校で噂になっている幽霊ビルへ探検に行くと、不思議な雰囲気を漂わせる少年、芦川美鶴と出会う。美鶴は謎の扉の中へ消えて行ってしまう。翌朝、亘は美鶴が同じ小学校の転校生だと知る。美鶴は亘に、扉の向こうはビジョンという世界が広がっており、宝玉を5つ集めると女神さまが1つだけ願いを変えてくれると教える。
 亘は両親の離婚、母親の病、それらの運命を変え、家族を取り戻すため、ビジョンへ向かう。同じく美鶴も自分の過去、運命を変えるためビジョンで旅をしていた。

☑受け取ったテーマ
 ・正しさ
 ・現実を受け入れる
 ・叶えたい願いとの葛藤

☑こんな人におすすめ
 ・懐かしいアニメ映画を見たい人
 ・芸能人が声優をしている映画を見たい人
 ・好奇心や冒険心をくすぐらせたい人
 原作は長編小説。2時間の映画にキュッとまとまっているため、原作を読んだことがある人には物足りない作品になっているのではないかと思います。登場人物の多くは芸能人が声優をしており、「あ、この声どこかで…」となることがしばしば。
 2010年代以降、背景が写実的で美しいアニメ映画が増えましたが、2006年公開の本作品は少し懐かしさを感じるタッチです。

☑作品の特徴
 原作が長編小説なだけあって、物語の展開が非常に早く感じます。亘を中心に進む展開はまるでRPGの世界のよう。ゲーム好きにはハマる作品かも(?)。しかし、美しい背景を極めたような作品が多い近年の映画を見慣れてしまった人には、違和感を感じる作画かもしれません。

☑感想(ネタバレ含む)
 正直、そんなにハマる映画ではないなー、という感じです。ストーリーの大切なところだけが点で浮いているように見えて、全体の流れがスムーズでなかったり、アニメと声に熱量の差を感じてしまったり、残念に思うところが目立ちました。

 ブレイブストーリー(勇敢な物語)のタイトルの意味は物語の終盤でやっと意図開きされるように思います。終盤に美鶴の過去や見えにくかった亘の心の中が一気に言語化され、二人が一体何と戦っていたのか見えてきます。そういう意味では序盤から中盤にかけて飽きが来るかもしれませんね。
 正しさとは何か、勇敢な行いとは何かを問いかけられる作品。自分の願いを叶えるためには何を犠牲にしても構わない。それを正義だと、勇敢だと呼ぶのか。天邪鬼な答えをすれば、自分の願いを叶えるためなら何をしたっていいじゃないか。と思いますけど。如何せん、ビジョンという世界が一体何なのか、わからない。最終的に家族を取り戻すという願いを取り下げ、ビジョンを救うことに願いを使った亘。女神も亘に問うていましたが、彼は何のために闘ってきたのだろう、と。
 ここから得られるのは、現実を受け入れる大切さ、自分の願いを叶えるために他人を巻き込んでしまうのは正義でない、といった教訓なのだとは思いますが。いまいちしっくりこない感覚が否めない。骨折り損のくたびれ儲けとは正に。命を賭して得られたものは現実を受け入れるという何とも残酷な終わり方でありました。

 そんなの、大人にだってしんどいだろうに、まして小学5年生が。。
 と、考えると、モヤモヤしたい人にもお勧めしたい映画です。

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