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現役文学部生が考える、敢えて文学部に入る理由

こんにちは、穎才学院講師のMです。

私は現在、文学部で勉強をしています。この記事では、文学部での学びを楽しんでいる私の経験談を交えながら、「文学部ではどんな勉強ができるのか」・「文学部の魅力とは何か」・「文学部で学ぶために必要な力とはなにか」についてお伝えできればと思います!

この記事をご覧になっている読者のみなさんの中には進路選択に悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私自身も中学生・高校生の頃は「法学部に進んで弁護士になりたいな」「でも、国際関係を学んで国連なんかで働くのもかっこいいな」という具合に、自分の進路について迷っていて、なかなか文学部が自分の進路として選択肢に上がることがありませんでした。世間に浸透している(?!)文学部に対するマイナスなイメージの影響があったのかもしれません。

しかし、実際に入ってみると文学部はとても魅力のある場所なのです!「正直文学部って何するところかよくわからないし...」「社会で役立つことは学べなさそうだし...」といった理由で文学部が進路の選択肢から外れてしまうのはとってももったいないので、以下、文学部の特徴を説明していきますね。

1.文学部に対する世間のイメージ


 

本題に入る前に......

文学部と聞いて皆さんは以下のようなイメージを抱かれるのではないでしょうか。

・就職に弱そう
・学生はいつも遊んでいそう
・社会で役立つことを学べなさそう
・正直何の勉強をしているのかよく分からない

他の学部と比べて具体的に何をしているのかが分かりにくいのか、あまり魅力的な場所だとは思われていないようです(笑)
しかし、冒頭でも少し書きましたがこのようなイメージは、文学部の実情(少なくとも実際にそこで勉強をする一学生から見て)についての情報が少ないがゆえに生じたのだろうと私は強く感じています。では、文学部の実情とはどんなものでしょうか。文学部での学びは、世間に浸透するマイナスイメージにどのように対峙できるのでしょうか。


2.文学部ではどんな勉強ができるのか

ひとくちに「文学部」と言っても、具体的に何を学べるかは、大学の提供するカリキュラムによって様々です。

例えば私が通っている慶應義塾大学では、17の専攻の中から何を専門的に学ぶのかを決定し、二年次に自分の専攻に進みます。17の専攻は大きく5つの学問タイプ(哲学系/史学系/文学系/図書館・情報学系/人間関係学系)に分けられ、自分が一番興味のある分野に進むことができます。

私は哲学系の倫理学を専攻していますが、知り合いのなかには人間関係学系の教育学や心理学、文学系の英米文学を学んでいる人たちもいます。同じ文学部でも、それぞれが自分の好きなこと・興味のあることを中心に学んでいるので、全体として学部には知的に多様な雰囲気が流れているような気がします。彼らと話しているだけで毎度新しい発見があり、それがとても楽しいのです!

前述したとおり、私は倫理学を学んでいるので、僭越ながらここで少し倫理学についてのお話をさせていただこうと思います。「倫理学って何だ?」と思われた方も多いと思います。この学問領域について、慶應義塾大学文学部倫理学専攻紹介ページには以下のように説明がなされています。

倫理学は、「人はどう生きるべきか」を問おうとする学問です。グローバル化の著しい進展により従来の価値観が揺らぐ現代において、誰もこの問いを避けて生きることはできません。倫理学専攻では、この問いに答えるためのさまざまな理論的枠組み(義務論や功利主義、正義論、徳倫理学、自然法論、メタ倫理学など)を学び、倫理学の一次文献を自ら読み解く技術を身につけることができます。

この説明に目を通して、「なるほど、よくわかったぞ!」となるかは分かりませんが、少なくとも倫理学はその中心に「人がどう生きるか」、もっと言ってしまえば「人間はどうしたらよく生きられるのか」「より良く生きるにはどうしたらいいのか」という問題意識があることは確かだと思います。それでは、私たちが何かについて「良い」/「悪い」という価値判断を行う際に前提としている「善」/「悪」とは一体何なのでしょう?それは、何か絶対的で普遍的なものなのでしょうか?それとも、人によって異なる、何か相対的なものなのでしょうか?この問いに対する唯一の正解など存在しませんが、私たちはこの問いに向き合い考えることができます。その際に哲学者たちが残した言葉に耳を傾け、それを手掛かりにして身の回りの問題を見つめ、解決しようと試みることができます。倫理学は他にも「人間本性」「人間社会」「自由」「責任」といった概念にも向き合います。これらの概念について問い、思索を深めていくことは、決して私たちの生活とは無関係で役立たないことなどではなく、それは私たちを自らの生き方と向き合わせ、私たちの「生」をよりよいものへと向かわせるのではないでしょうか。そこにこそ倫理学の魅力があるのだと思います。

倫理学以外にも文学部では様々な学問を学ぶことができるので、そこが文学部の最大の魅力だと言えるでしょう。

3.文学部で学ぶために必要な力

では、文学部で学ぶにあたっては、どのような力が必要になるでしょうか。また、それは中学・高校の勉強とどう関係しているでしょうか。

文学部で学ぶにあたっては大きく以下の二つの力が必要になると思います。

①母語を適切に運用する力

②外国語を適切に運用する力

①に関しては、母語(読者の皆さんの多くは日本語だと思います)で書かれた文章(ないし口頭で語られたこと)を正確に理解して、そこから自ら考え、言語化する力だということもできるでしょう。
この力を培うためには、絶えず言葉に触れている必要があります。私の場合は、思想家の残した文献の読解(概念の説明に線を引いたり、内容理解ができない箇所に印をつけたり、関連事項をメモしたり、質問したい箇所に印をつけたり)や、その哲学者が用いた概念を他の哲学者はどのように説明をしているのかの比較などがメインです(というかこれができるようになろうとしています)。その際、著者は言葉をどのように定義しているのかなどを厳密に考えるように心がけています。
この作業は、中高生の学校の授業だと主に現代文(現代文に限らず、古文・漢文もそうかもしれません)の時間に行うのではないでしょうか。文章を読む際に、そこで用いられる考えが詳しく説明されている箇所をマークしたり、接続語をチェックして文章の関係性を掴むように取り組んだりしている方も多いでしょう。このように、文学部での学びは、中高における学びを基礎としています。哲学者の難しい言葉を理解する場合にも、まずは中高で行ったものと同じ方法からスタートするのです。

②に関しては、①の応用と言えるでしょう。大学に入ると、英語だけではなくもう一つ外国語を学びます。私の学科ではドイツ語やフランス語を用いて哲学的な文章を読解する授業があります。(一年次にドイツ語かフランス語を選択していなかった学生は、二年次の原典講読の授業では英語を選択することになります。)もちろん、これら言語の基礎文法は一年生の時に一から学び、応用的な内容は二年生から取り組み始めます。ドイツ語やフランス語で書かれた内容を理解するのはもちろん簡単ではありませんが、そこでも中高時代に英語の授業で学んだ内容が活かされています。それは、文の主語や動詞や目的語の位置を確認したり、倒置や省略がないかを把握したりするといった具合に文構造をとる作業です。これが大学での学び、ここでは原典講読に直結していることを実感しています。
そして最終的には書かれた内容を理解する必要があるので、そこで①にあげた読解力が関係してくるのだと思います。はじめは大変でしたが、次第に慣れてきて原典に触れること、辞書を丹念に引くことが楽しくなってきました!

外国語で書かれたテクストに日常的に触れるなんてワクワクしませんか?

いかがでしたか?この記事ブログを通して文学部での学びを具体的にイメージしていただけたら嬉しいです!

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https://eisaigakuin.com/


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