【読書感想文】星の王子様

お腹が痛くて寝れなかったし朝起きられなくて、会社を休んだ。小学生みたいだと思っても許して欲しい。
slackで上司に連絡して仕事引き継いでからマツパを予約して(ここまでは普通の25歳)、その後本屋に行ってみた。

ジュンク堂書店池袋本店。何階まであるのか覚えてないけど縦にタッパがある本屋である。
私は普段仕事に役立つIT関連の本ばかり見ているが、今日はその仕事をサボって来たので流石に違う階に降りようと思った。

3階か4階で降り、フラフラ棚を回った。出版はオワコンなんて言うけど、それでも世の中にはこんなに新刊が出続けているんだと思った。ミステリーとかホラーとか何冊も立ち読みしたけど、なんとなくどれも頭に入ってこない。
ある一冊が目に留まった。

星の王子様 作・サン=テグジュペリ

給食中も本を読んでいたレベルの読書少女だったので、もちろん読んだことがある。しかしパラパラめくってみると、なぜか一文字一文字鮮やかにきらめいて見えて、私は今これを買わないとダメだとわかった。

マツパが終わった後、コメダ珈琲で星の王子様を開いた。
「お願い。ヒツジの絵を描いて…」
日々忙殺されている社畜にとって、目が眩むようなメルヘンなセリフから星の王子様との出会いが始まる。

読み進めて行くうちに、緊迫感を感じた。こんなにもメルヘンでファンタジーで比喩的なのに、途中途中で飛び出すあまりに的確な台詞の数々。サン=テグジュペリが突然こちらの目を真っ直ぐ見て、「きみは愛し方を知っているか?忘れてしまったならさぁ、教えてあげよう」と言ってきている気がした。愛の言葉なんて言い尽くされたはずなのに、まだ聞いたことがないほどどれも適切な表現だと感じた。

キツネが言うには
・なつかせる
・ならわしを大事にする
・ただ1人の大切な存在になる
・なつかせた責任を最後までもつ
ことが愛することなのだと語っていて、動揺してしまった。特に最後、「なつかせた責任を最後まで待つこと」。
この言葉に動揺しない大人なんているだろうか。
友達、恋人、親、子供、あらゆる関係の中で、みんな「なつかせた責任を最後まで持つ」ことができていたら、深く傷つかなくて済んだ魂がたくさんあっただろう。

愛とは、少しずつ距離を縮めること、唯一無二の存在になること、君の足音が聞こえると嬉しくなること、麦畑を見て君の髪色を思い出すこと、あの星のどれかに君がいると思って嬉しくなること。サン=テグジュペリはなぜ大人になってもこの答えが導き出せたのだろう。不思議で堪らなかった。

明日はちゃんと仕事に行く。星の王子様を読んだことがあると言ったが、訂正しよう、今日初めて読んだ。色んな言葉が心に刺さって抜けないがこれは抜けなくていい杭だと思う。私を少しでもろくな方へ導いてくれるといい。

おしまい


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