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欧州の親ロシア派若者に忍び寄る破壊工作「闇バイト」の実態(国際的なおとり捜査より)

組織犯罪と汚職報道プロジェクト(OCCRP)と複数のメディアが合同で行ったおとり捜査では、親ロシア派の若者を利用した破壊工作の勧誘手口が明らかになりました。

ジャーナリストらが行ったおとり捜査では、架空の親ロシア派エストニア人(ロシア語話者のエストニア人という設定)を利用した。Telegramにある親ロシア派アカウントと接触し、親ロシア派アカウントの裏にいた人物が持ちかけた話とは、お金と引き替えに犯罪行為や妨害行為をする事。
その犯罪行為や妨害行為とは軍事基地でのスパイ行為、NATO車両の放火、更には殺人など。

捜査に関与したジャーナリスト達がドイツ、エストニア、オーストリア、そしてラトビアの諜報機関に架空の人物と親ロシア派アカウントとのやり取りを見せたところ、ほとんどの諜報機関はロシア政府関与の破壊工作勧誘手口と極めて似ていると指摘しました。

実際に起きた破壊工作事件の一例:

・2022年には複数のラトビア人男性がNATOの空軍基地でのスパイ行為、エストニアの軍事施設で落書き、そしてウクライナ国内で放火をする目的で勧誘された。2024年1月にはスパイ行為で有罪判決を受けた。
勧誘されたサイトはTelegramで、ロシアの軍事諜報機関GRUのために働いていた。


・同じくラトビアでは二人の男性が、ソ連時代に受けた抑圧と弾圧の実態を展示している「ラトビア占領博物館」の放火未遂で捕まり、現在裁判中との事。同じくTelegramで勧誘された

・ポーランドでは、ロシアのためにスパイ行為をしていたとして複数の人物が逮捕された。ウクライナに武器と支援物資を届けていた列車を妨害しようとしていた。またポーランド当局曰く、ロシア政府はこの破壊工作のためにプロのスパイではなく、あえてTelegramで素人を勧誘したと証言しています。

・2024年4月にドイツ連邦検察庁は、ドイツとロシアの二重国籍を持つ二人が米軍基地を含む軍関連施設や工業施設の爆破テロと放火テロを計画していた事、更にはロシアの諜報機関と接触をしていたという事で逮捕されたと発表しました。

エストニアの国際防衛研究センター局長は、ロシア政府が指示する破壊工作や妨害活動の最も重要な役割が、「西欧社会に恐怖心を煽り、無秩序状態を作り出し、それによって侵略された側のウクライナを支援する余裕がない政治勢力を権力の座に就かせる事」と話しました。


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