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ウェディングソングに思う愛の形

この前、とある音楽番組を見ていてふと気になったことがある。
「本当に現代の方が”多様な性”を受け入れているのだろうか」ということだ。

その音楽番組は、昭和・平成・令和の各世代がテーマに沿って楽曲を選びランキング化する、という内容で、年齢的には平成世代なのに、私が思う曲はたいてい入っていないか昭和世代。「あぁ!また違うんかぁーい!」と半ばビンゴゲームを楽しむかのように見ている番組。
その中の『ウェディングソング編』に前述の疑問を抱いた。ランキングや曲が、ではなく、その歌詞に。

著作権云々を考慮して、曲名や直接的な歌詞の引用は避けるが、ざっくりとそのランキングの気になった歌詞を各世代ごとにまとめると、こんな感じだ↓↓

令和:お父さん、お母さん、パパ、ママ、男の子、女の子
昭和&平成:君、僕、あなた、二人

もちろん、昭和世代のように『お嫁に行く』といった表現は平成&令和のランキングにはない。でも、昭和&平成が当たり障りのない一人称/二人称であるのに対し、令和世代が選ぶウェディングソングは、男の役割を指す『父』、女の役割を指す『母』が取り上げられた歌詞が多かった。

昭和&平成の「君」「僕」「あなた」は男女セットを想定した恋歌である。
大学時代、ある授業で日本歌謡曲の変遷を学んだとき、「男性歌手は『僕』と恋人を『君』と歌い、女性歌手は『わたし』と『あなた』と歌った。女性歌手で相手のことを『君』なんて歌うことはなかったよ!」と習った。でも、その風潮もある女性歌手の登場以降、古臭い考えとなる。女性歌手も男性の恋人を『君』と歌い、女性自身ですら『僕』と呼ぶ(「おじさん、びっくりしたよ!」とその先生は力説していた)。

そうであれば、当時は性差を意識した一人称/二人称の歌詞も、現代であれば、男女セットの恋である必要もなく、誰でもが恋心に共感でき笑顔になれる歌詞となる。男性同士でも女性同士でも『僕』は『君』を愛し、『君』と『僕』は『二人』愛を語り合う。

性マイノリティーという言葉がLGBTQと変わりつつある令和。ウェディングの枠組みも男女セットのステレオタイプから、パートナシップ制度や同性婚へと変化している。彼らの世代が選ぶ曲はより一層、性差を意識しない、誰もが高らかに歌えるラブソングだと、思い込んでいた節はある。

「ウェディング」=「家族」=「父&母」と繋がっていく歌詞を歌う曲がいくつかTOP10入りする、ということはやはりまだ「結婚は男女」の考えが根強いのだろう。それとも、昔よりはLGBTQへの認知が高まり批判する方が批判される世の中になっているからこそ「男女」で結婚して子供を産み、「父親のようになる」「母親のようになる」「パパになる」「ママになる」という言葉に憧れを抱くのだろうか。

愛も様々あれば、家族も様々ある。ラブソングやウェディングソングだって、もっと多種多様に増えても良い。性差を気にしない歌詞。そもそも一人称をつけない歌詞。父母になることを限定せず、ただ純粋に愛だけを語る歌詞。誰もが笑顔で歌える歌詞。そんな歌詞作りを目指していきたい。

今回もお読みいただきありがとうございました(。。 )
ちょうどもやもやと考えていたことと、noteの募集お題が似ていたので初めて参加してみました。
誰かを愛する、愛する誰かに愛してもらえる。それだけで生きていられるほど、一生に一度あるかないかのことだと思います。そこに、性別も国籍もないはずで、愛する人たちが臆することなく愛を表せる時代になっていけばいいなと思っています。
(ちなみに、私が選ぶウェディングソングはThe PoliceのEvery Breath You Takeです。もし万が一結婚することがあれば流したい😇)

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