見出し画像

~勝利は私達の物!~2000字のドラマ

少女は窓から外を眺めていた
遠くには紅葉で赤く染まった山々が見える

「さて、やるか!」
そう言うと少女はパソコンをあけゲームの世界に入った

「やぁ!元気だったぁ?」
「ルシール!おっそーい!」

先にログインしていたマイが叫んだ

「ごめんごめん!ちょっとリア充w」
「なら良かった。また例の症状かなって…」
「ううん、大丈夫!ここの所出てない」
「カイトは?」ルシールが言った
「まだ…来るかなぁ」

ポンッと男性のアバターが現れた

「ごめん、遅くなった」
「カイト!」二人は叫んだ
「大丈夫だった?」ルシールは心配そうに言った
「OK!早速行こうか!」

3人はボス攻略の為にギルドの他の仲間と合流し向かった

「あぁ!今日も楽しかったねぇ」マイが言った
「本当!俺たちの勝利だ!」カイトも上機嫌だった
「…どうした?ルシール、大丈夫?」
マイは心配そうにルシールに声をかけた

ルシールのアバターはピクリともしない
マイはログアウトして部屋を出た
そして、別の部屋に飛び込んだ

ルシールは苦しそうにベッドに横たわっていた
マイはすぐにベルを鳴らす
看護師が駆け付け医師を呼んだ

「舞香さん、こんな所にいたらだめでしょ!早くお部屋に戻って」
「私は大丈夫!ルシールを何とかして!」
「ルシール?またやってたのね!とにかくあなたは戻って」

マイはしぶしぶ部屋に戻りゲームにログインをした
カイトはそこにいた
「どうだった?心配でログインしたままにしてたよ」
不安そうにカイトは言った
「うん、まだわからない。今お医者さん来るから…」
「俺も駆け付けたかったけど…」
「うん、わかってる。ルシールは大丈夫…」

しばらくすると看護師がマイの部屋にやってきた
「まだやってたの?仕方がないわね。ちょっと測るわね」
「ルシール…瑠衣(るい)は?」
「落ち着いたわ、大丈夫よ安心して」
「はぁ、良かった。カイトに言わないと!」
「もうちょっとだから、待ってて」看護師はそう言うと血圧を確認をした
「大丈夫そうね、脈が早いのは心配しているからって事で」

看護師が部屋を出るとすぐにカイトに報告した
「あっ、待っててそっち行くわ!」
マイは部屋の外を確認すると、エレベーターに乗り足早にカイトの部屋に向かった
カイトの部屋は最上階の一番端にあった
マイは大きく息を切らしながら部屋に入った

「マイ走ったらだめだよ」カイトは言った
「見つかっちゃうから」マイは笑った

カイトはベッドの上にいて身動きが出来ない状態にあった
動くのは右腕と首から上だけだった
マイは見た事を全てカイトに話した

「調子良かったのにね」カイトはつぶやいた
「うん…」
「俺たち、いつまで…」そこまで言うとカイトは口をつむんだ
「まぁ、行かれる所まで!だね」マイは明るくそう言った
「そのマイの楽観主義。それですごく救われる」カイトは笑った

数日後、マイとカイトはゲーム内にいた

「今日は来るかなぁ」
「来る!絶対に来る!私にはわかる」

カイトはマイの言葉に歓喜のダンスをした
ポンッ!ルシールが現れた

「ほらっ!ルシール」
マイも嬉しそうにダンスした

「ごめん、心配かけて」
「そうだよ、もう無理しないで」マイは言った
「うん、今日は時間があまりないんだ」
「サッサと片付けちゃおう~」

カイトも同意見だった
3人はいつものように戦いに向かった

「あぁ、だめだ!あいつつえー」カイトが言った
「ちょっとなめてた。もっと鍛えないとね!マイ!」
「本当!明日みんな来れる?」
マイが聞くと2人は同時に「もちろん!」と言った

瑠衣(るい)は静かにパソコンを閉めた

ここはターミナルケアが整った病院
各病室で無線LAN(WiFi)が使えた
そのおかげで、辛い治療や症状にも耐える事ができ、明日を迎えたいという気持ちにもなれた

マイ、舞香(まいか)20歳一番年上
カイト、海斗(かいと)17歳
ルシール、瑠衣(るい)16歳一番年下

3人はそれぞれ異なる病気であったが、ケアマネージャーから「ゲームをやってみてはどうか」と進められた
ログインをすれば、3人で会え一緒に楽しい時間を過ごすことが出来た
時には、話し込んでゲームをしない日もあった
自分は一人で頑張っているのではないと自然に思え、そのせいか症状も落ち着いていた

「明日こそ倒さないと!計画立てて…」

瑠衣(るい)は何やら書いていた

「これでいい!」

パソコンをベッドの横のテーブルに置き、メモ用紙をその上に置いた
そして、ベッドの中に入るとニヤニヤしながら目を閉じた
瑠衣(るい)は、とても幸せそうな顔のまま静かな眠りについた

医師達があわただしく病室を出入りしている
少し冷たい風が窓から入ってきた
カーテンが瑠衣(るい)のパソコンの上のメモ用紙に当たった

『マイはいつも敵に近づき過ぎるから、それを注意しなくっちゃ!時々後に下がる事忘れないで!』

『カイトはやたらめったら武器を振ってる!ここぞって時に振れなくなるからダメだよ』

『二人には本当に感謝してる。こんなに楽しい毎日を過ごせて!次は絶対に勝つ!勝利は私達の物!』


ど素人でとても下手かもしれませんが、もし良いと感じていただけましたら、スキやシェアやフォロー頂けると嬉しいです。どうかお願いします<(_ _)>