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【訪問看護】利用者さんのケア手順書を作ってみるNo.1

 過去に取り組んでおりました、研究内容をご紹介したいと思います。
現在、臨床、研究の現場を離れておりますが、訪問看護ステーションや退院支援・退院調整部門等でお手伝いできることがありましたら、喜んでお邪魔させていただきます。お気軽にお声掛けください!

ケア情報に関する研究を始めたきっかけ

ある訪問看護ステーションの管理者さんの一言がきっかけでした。

急にスタッフが休んだ時にかわりに訪問することがある。
ケアが複雑なケースでは対応が大変・・・
何かよい方法はないかしら?

学生実習でお世話になっていた訪問看護ステーションでは、数名の看護師が一人の利用者さんを担当 していました。

子育て世代の看護師が多い ため、子どもさんの体調不良等で、急なお休みもあるとのこと。

利用者さんの「ケアに関する情報共有の方法」は、「同行訪問による口頭での申し送り 」と「手書きのケア手順書」でした。

「同行訪問による口頭での申し送り 」は、「同行訪問」は、「コストが余分にかかる」という問題、同行訪問時に、「各自がメモをするため、効率がよくない」という問題がありました。

「手書きのケア手順書」を作成することもあったようですが、手間と時間がかかるわりには、わかりにくいという問題がありました。

ケア情報共有ツールの開発

平成22年開発当初は、デジタルカメラ等を用いて手順書を作成しましたが、その後、モバイル端末等を用いたツールを開発しました。

1.利用者宅によって異なる物品の位置の把握に有効
「物品の場所がわかりやすい」
「写真で見やすい」

2.ケア情報の時系列配置により、看護師が訪問前にケア手順をシミュレーションでき、訪問に対する不安の軽減につながる
「突然の訪問の際には不安が軽減される」
「心の準備ができる」
「訪問していないケースでも イメージがもてる」
「訪問頻度の少ないスタッフ には有効」

平成23年度の実態調査

635件の訪問看護ステーションを対象とした質問紙調査の結果、訪問看護師は、下記のケアについて、詳細な情報を共有していました。
「ケアに必要な物品」
「物品のある場所」
「物品の使用方法」
「物品等の片付け方法」
「家族の協力状況」

共有方法としては、
「口頭」
「手書きによる文章」
「手書きによる絵・図」
が多いという結果でしたが・・・。

ケアが複雑なケースでは、「手書きによる絵図」「写真」などの視覚的情報を用いる方法が用いられていました。

※ケアが複雑なケースを「ケア情報を共有するニーズが高い」とし、以下のいずれかの状況と定義しました。
① 医療依存度が高い療養者
② ケア方法または物品への要望が強い療養者あるいは家族
③ 特殊性の高い用具を使用している療養者あるいは住宅環境が特殊な場合

ケア情報の共有における課題

1.手書きによる情報伝達の煩雑さ
「情報がタイムリーに更新されない」
「申し送り内容にもれがある」

2.記録や申し送りに費やす時間的負担
「利用者毎のケア手順書の作成」
「申し送りノートの作成」
「1回/日,情報交換の時間を確保する」
などの工夫をしているが時間がかかる

3.同行訪問による経済的負担
「一回の同行訪問ではケア方法を覚えることができない」
「同行訪問による経済的負担」

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