見出し画像

夢の記録「月旅行の夢」(2000年前後)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今年、民間人で初めて前澤友作さんが宇宙旅行の夢を果たしたということもあり、私は、昔見たこの夢を何度も思い出していた。

当時、「私が夢で見る(すでにアイデアがある)ということは、宇宙旅行が実現する未来がいつか来る可能性があるなぁ」と思ってみたりはしたものの、それが本当に実現する時代が来たのだからこんな素晴らしいことはない。それだけでなく、地球に戻った前澤さんが「次は月に行くのが夢」と公言しているのを聞くと、「夢で見た月ツアーもあながち単なる夢ではなくなるのではないか?」とさらにワクワクしてくる。そういうわけで、今年の終わりに私にとってとっておきの月に行く夢の話をお届けすることにする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その夢の中で、私は、抽選で数人だけが行けるという宇宙旅行に当選した。近所のスーパーのくじ引きだったかもしれない。私は飛び上がって喜び、その宇宙旅行に迷うことなく参加することにした。

ロケットに乗り込むと思いのほかあっという間に月に到着するが、そこは何もない真っ暗な砂漠のようなガランとした場所であった。遠くには地球がぽっかりと浮かんでいる。「もしかすると、こちら側はあの月の欠けている方の暗い部分なんじゃないかな」などとぼんやり思っていると、ツアー客の当選者たち数人を目の前に、月ツアーの旗を手にしたツアーコンダクターが突如として「さて、どうしますか?」と言う。

何を言われているのかわからずにいると、間髪入れずに「で、地球に帰りますか?どうしますか?」と普通に聞いてくるではないか。

私はフリーズすると目の前が真っ暗になった。

「え?今どこにいて何が起こっているのだっけ…?」

帰るに決まってるから喜び勇んで来たのであり、帰らないならくるわけない。そんな当たり前の前提が突如として突き崩されている。何も疑わずロケットに乗ったけど、当たり前のように、戻らないという選択肢があるなんて…!ぼーっと受け身でいたのに、頭が叩き起こされ、急にどうにかしなければという思いで全細胞が開いたような感覚になった。そして、私は、真っ暗な宇宙に向かって全身全霊で祈るように叫んだ。

「今を生きたい!」

すると、それまで何もなかったはずの月の砂漠のような地面に大きな穴がぐわんと開いたかと思うと、そこから白い服を着た男女が二人、大きな穴から顔を出して私を手招きした。それで、私は、彼らに案内されて地下に続く大きな階段を降りていった。どうやら、そこからの道は地球につづいているらしい。

地下に降りていくと、そこは洞窟のように狭い通路が整備されている。あかりはぼんやりと懐かしくあたたかい。周囲には、修学旅行に来ているかのような生徒たちもいて、これもツアーの一環だったのだろうかとふと思った。

その通路は博物館のように、所々にガラスのショーケースがあり、これまでの地球の産物が飾られている。例えば、岩のように大きな琥珀が展示されていたのには驚いてじっくり観察したのを覚えている。私はそれを眺めながら、「地球までの道のりがどれくらいかわからないし、まさか徒歩で帰れとは度肝を抜かされたが、道中は案外悪くなさそうだ」と感じている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
目が覚めると「今を生きたい」という自分が夢の中で選択を迫られて口にした言葉がぐるぐる細胞を巡っていた。そして、これが夢で良かったと心からほっとした。それから、月の地下から地球に続く道を思い出しながら、宮沢賢治の銀河鉄道の世界を思い浮かべてしばらく懐かしい気持ちに浸った。これもこれまで見た中で忘れられない鮮明な感覚を伴う夢の一つである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?