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食べ物の「脂質」はどこからくるのか

 気付いている人は気付いていると思いますが、コロナ禍でダイエット・筋トレブームは最高潮になっています。当たり前のようにコンビニにはプロテインやプロテインバーが置かれ、高タンパク質や低糖質を謳う食品も棚に溢れています。

 糖質制限という言葉が流行ったのも今は昔、最近はローファット=脂質制限が注目されているのをご存知でしょうか(いや、元々両方大事だよというのは置いといて)。結局の所、ダイエットにおける食事に関しては結論が出ていて、

  1. 総摂取カロリー

  2. PFC バランス

 の二つが最重要課題となります。PFC バランスというのはタンパク質・脂質・糖質のバランスのことで、まあ詳しくはググってもらいたいんですが、ムキムキマッチョマンを目指さない限り大体一日の脂質は30~45gくらいに抑えるのが理想です。つまり、ちゃんとバランス良い栄養摂取を心がけようとすると必然的に弱めの脂質制限が必要になるんですよね。

結局和定食が最強ともいう。

 自分はローファットダイエット中なので35gが目標値なんですが、これ、結構厳しいです。例えばショートケーキ一切れの脂質が25gです。ゲームオーバー。トンカツやこってり系ラーメンは一撃で50gとかいくので諦めてください
 そもそも、同じ脂質でも飽和脂肪酸やら不飽和脂肪酸やらオメガ3やらオメガ6やらあり、「できる限りよい脂質を取る」が昨今の標語ですので、揚げ物なんて食べてる暇はありません。アマニ油や青魚、オリーブオイルで脂質枠を埋めていくべきなのです。

 そしてローファットダイエット第二の難関が、「低脂質」が売り文句にされている製品がまだ少ないこと。低糖質はこんなに溢れているというのに。なので、裏の栄養成分表をいちいち見るしかありません。巷に売ってるプロテインバーは脂質が高すぎて爆死します。BASE BREAD もね(そもそも BASE BREAD はアミノ酸スコアが……ゴニョゴニョ)。
 一方で、めちゃくちゃ脂質の低い製品もあるんです。大福の裏とかを見てください。ほぼ0です。そう、和菓子にはほぼ脂質が無い。

 糖質ゼロ食品でない限り割と満遍なく存在する糖質と違って、脂質はかなり極端に分かれているのです。では、脂質とは何か? どこから来て、どこへ行くのか(いや、行き先は腹か……)。
 ぼくは別に管理栄養士でもなんでもないので、ただの素人が栄養成分表見まくって得た知見ですが、誰かの役に立つかもしれないのでチラシの裏に書いておきます。



脂は油から来る

 当たり前ですね。サラダ油、キャノーラ油、オリーブオイル、ごま油。料理に油が使われていれば食材に付着した油がそのまま脂質になります。モノによって微妙に違いますが、15gの油はほぼ15gの脂質になると思っていいでしょう。バターももちろん油ですよ。30gのバターを使うお菓子はほぼ30gの脂質が含まれています。脂肪確認!

 で、必然的にオリーブオイルを大量に使うことになるイタリアンなどの洋食や、油を衣に染み込ませるようなトンカツ・天ぷらは多くの脂質が含まれることとなります。バターをぶち込みまくる洋菓子より和菓子の方が脂質的には優れているのもこの理由。

脂は動物から来る

 で、その油はどこから来るかなんですが、脂肪には動物性脂肪と植物性脂肪の二種類があります。動物性脂肪はその名の通り動物から来ます。(厳密には昆虫性脂肪という第三の油があるらしいんですが……割愛します)

 代表的なのが脂身で、サーロインステーキとか豚バラみたいな見るからに脂が多い肉は、そのまんま脂質が多いわけです。PFC バランスを考えたとき人間は F より P を遥かに取る必要があるので、PF = 1:1 くらいの肉を食ってたらアカンわけです。
 そんなアナタに救世主となるのが……鶏肉! 脂身の多い皮を除けば、なんと胸肉でタンパク質22g vs 脂質1.5g。驚異的です。もう鶏胸肉しか勝たん。ボディビルダーが蒸した鶏胸肉ばかり食べるわけですね。

 というわけで肉類を食べる時は注意しましょう。特に気をつけたいのは加工肉類で、ソーセージやベーコンは驚くほど脂質が多いです。一方でロースハムは何故か鶏胸肉級の脂質の少なさ。ハンバーグなんかも既製品だと脂質が高めなので注意してください。

乳製品・卵も要チェック

 そして、忘れてはならないのが牛乳。転じて、チーズ、バター、ヨーグルト、生クリーム。これらが含まれた製品は必然的に脂質を含みますが、バターと生クリーム以外は大したことがないケースも多いです。ただし生クリームてめーはダメだ
 特に、ギリシャヨーグルトはメチャクチャ優秀で、パルテノなんかはパッケージに堂々とタンパク質10g!と書いてるわけですが、脂質はその半分以下なので他の乳製品と比較しても圧倒的にパフォーマンスが良い。しかもアミノ酸スコアは100。脂質制限してる時はギリシャヨーグルトを擦ってください。蜂蜜入れても大丈夫だよ。

 卵も言わずもがなですが、ボディビルダーがよく食べているように、良質なタンパク質と良質な脂質が豊富に含まれており、摂取はむしろ推奨されます。食べ過ぎは禁物ですが、2,3個くらいなら大丈夫です。ボディビルダーは一日5,6個食べる人も。

魚類は?

 魚は「基本良い」と認識しつつも、種類によっては高脂質なので注意してください。「脂が乗ってる!」と思う奴は大体高脂質です。とろサーモンやマグロの大トロ、ブリやサバなど。銀鮭やカツオやヒラメ、マグロの赤身なんかはかなり優秀です。あとは貝類も最強ですね。
 ただ、多くの人が聞いたことのあるように脂質といっても DHA、EPA という良質な脂質が魚類にはたくさん含まれているので、摂りすぎには注意しつつ、積極的に摂っていくのがいいとおもいます。寿司を食え!


脂は植物からも来る

 で、上で述べた通り植物を絞ることで油を抽出できるものが一定数あります。すごいですね。一般的には動物性脂肪より植物性脂肪の方が飽和脂肪酸が少ないので、優先して摂るべきと言われています。

 代表的なのはオリーブや胡麻、大豆。彼らをめちゃくちゃに絞ると油が出てきます。当然原料となるそれらも脂質がそこそこ含まれているんですが、動物性脂肪と違って大量の原料からちょっとしか抽出できないので、たとえば普段調味料として胡麻を掛けるくらいなら気にするほどでもないでしょう。漬けオリーブをポリポリ食いまくるとバカにならない脂質量ですが。あと枝豆も多い。

 ナッツ類もなかなかの脂質量ではあるんですが、これは俗に言われる「良い脂質」。不飽和脂肪酸の中でもオメガ3/6/9脂肪酸が豊富で、その効能は……ググってください。最近ナッツミルクも流行ってますね。ナッツミルク・豆乳は牛乳より身体に良さそうな気もしますが、脂質の値的には大差ないです。
 そういえば小麦やオーツ麦なんかにも、多くはありませんが脂質が含まれています。シリアルも結局食いすぎれば太る
 あとはアボカドなんかも良質な脂質が大量に含まれてますね。

 一方で、それ以外の野菜類・果物類はほぼ脂質を含みません。野菜は基本的にどれだけ食べてもOKです。ただし、サラダになるとドレッシングに含まれているオイルがただならぬ量になってくるので注意。大さじ1杯のオイルドレッシングは脂質15gです。

白米は?

 ほぼゼロです。白米は神。ただ、食物繊維やGI値を考えると玄米やもち麦を入れた方が良いです。


まとめると……

  • 油そのもの(あるいは油を吸った衣など)

  • 肉(魚)の脂身

  • 牛乳・卵

  • オリーブ・胡麻・大豆・アボカド・ナッツ類

 が含まれていないものは低脂質です。意外と簡単ですね。

 なかやまきんに君が食べているような、蒸した鶏胸肉とブロッコリーみたいなメニューは糖質も脂質もほぼゼロなわけです。そこに雑穀パンやバナナのような低GIかつ食物繊維豊富な炭水化物と、亜麻仁油やオリーブオイルのような品質の良い脂質を足すことで、まっこと健康で内臓への付加も少ない食事が生まれるわけですね。味がない

 一方で外食は全体的に油ドバー塩分ドバーで「味がある」料理を作るので、脂質は必要以上に高いです。食べたいと思ってもらえるような味が優先なので、健康は二の次。やっぱり自炊最強ですね。



ラーメン

 ラーメンはダイエッターをぶん殴る凶器のような文脈で描かれますが、実際はラーメンの種類によって大きく変わってきます。

ラーメンの種類と脂質の目安

 醤油ラーメンは、出汁の取り方にも寄りますが基本的に脂が浮く余地は少なく、脂質はせいぜいチャーシューくらい。10g未満に抑えられることもあります。ただし、鶏油を浮かせたり背脂かけ始めたら終わりです。
 塩ラーメンも似たような感じ。味噌ラーメンは大豆の成分がむしろコレステロールを下げてくれるらしいですね。本当か

 問題は豚骨ラーメンで、豚骨を煮込むと多分に脂が浮きます。そしてこってり感を出すために、ラード・背脂で補強され、山盛りのチャーシューを載せられるので、脂質は50g~青天井になります。豚骨魚介も同じ。基本的に、白濁したスープは脂質が多いと考えてください。

結局糖質と塩分がヤバイ

 ちなみに、共通して驚異となるのは糖質と塩分。大盛り、替え玉、小ライス。どれもデブの元です。カロリーは醤油ラーメンならそんなにありませんが、塩分はめちゃくちゃ多いです。文献によってまちまちですが、ラーメン一杯あたり5gくらいというのが共通認識のようで、一日に推奨される塩分の摂取量上限は6g~9gなので、あとは味のない鶏胸肉でも食べていてください

 というわけで、脂質制限しているとラーメンなんて食べてる場合じゃなさそうですが、意外と食べれます。重たい方のラーメンもたまに食べます。チートデーに爆食いではなく普段食わないラーメンやトンカツを食べればそこそこ満足するのも脂質制限のいいところです(?)。

和菓子

 和菓子は脂質面だけで言うならメチャクチャ優秀です。なんせ、ほぼゼロですから。これが脂質制限の不思議なところです。
 大豆は20%くらいが油分なのに対し、小豆は1%しかないんですよね。なので、あんこは脂質ほぼゼロ。調理に油を使わないので、オイルの脂質もゼロ。求肥に用いるもち米も砂糖も水も脂質ゼロ。というわけで大福くらいならほぼ脂質ゼロなわけです。生クリームさえ使わなければ……。

 じゃあ好きなだけ食べていいかと言われると、全然ダメです。まず、糖質がご飯一杯分かそれ以上にあります。一食分ですね。そして、砂糖は単糖類ですので、一気に血糖値が上がります。血糖値が上がるとインスリンが分泌され、せっせと中性脂肪を蓄え始めるわけです。
 結論として、ダイエット中たまーにお菓子食べたいなら、せめて洋菓子より和菓子にしなよ……程度です。なおギリシャヨーグルトは最強

ポテチ

 パーソナルトレーナーに昨日何食べましたか? と言われて答えたら助走付けてラリアットされる可能性ナンバーワンお菓子、それがポテチです。その栄養成分、殆どが脂質で残りは炭水化物です。油食べてるようなもんですね。
 ローファットダイエットといえどボディービルダーでなければ多少お菓子や脂質の高いものを食べてもいいんですが、ポテトチップスはここ最近食べた記憶がありません。これ食べるならラーメン食べたほうがいいです。貴重な脂質貯金をこんなものに使ってたまるか。

幸福度=糖質+脂質

 で、色んな食物の栄養成分を見て気付いたんですが、結局のところ、食べて幸福を感じる栄養素って糖質と脂質なんですよね。そして、糖質が少ない食べ物はその分脂質が多く、脂質が少なければ糖質が多い。悪夢のトレードオフです。逆に(?)、糖質の塊みたいなもんを揚げたらめちゃくちゃ幸福度が上がって内臓脂肪も爆上がります。ドーナツとか。揚げ大福とか。
 糖質も脂質も少なくなれば塩分が多くなり、ここから塩分を引けば無が残ります。味がない。(ギリシャヨーグルトはホント優秀なんですが、糖質も脂質もそこそこ含まれてます)

 幸いにも、糖質と脂質を完全にカットすることは不要ですし、無理です。PFC バランスを計算し、一日に摂っていい糖質量と脂質量を調べ、効率よく幸福度を稼いでください。お菓子のような一時の快楽よりも、普段の食事が美味しくなる方を選びましょう。


結論

 やっぱり自炊しか勝たん。

ボディビルダーを信じろ

 ボディービルダーが信仰するのは筋肉と科学だけです。彼らは「なんとなく筋肉に良さそうなサプリ」を摂ることはありません。最新の研究のエビデンスだけを参考にし、自分の肉体で実験するのです。その彼らが黒烏龍茶やダイエットサプリを飲んでいないなら、つまりそういうことです。

 

成果

 筋トレも複合してますが、二ヶ月強でLDL(悪玉コレステロール)がめちゃくちゃ下がりました。体型・BMIは標準値ですし、いわゆるメタボ指標である中性脂肪も高くなく、「これは遺伝性かもね~そろそろお薬飲もうか」なんて言われて絶望していたんですが、ただの脂質とりすぎだったんですね……。LDL だけが高い人はぜひ、ローファットやってみてください。中性脂肪が高い人は痩せろ。

 ちなみに妻は太らない体質なので、妻の食生活に合わせていたら爆散します。無限におやつ誘ってくるやん。

 一応ローファットの目標はほぼほぼ達成しつつあるんですが、総コレステロールはまだ多めですし、腹筋割れるまでやります。というか健康を考えたら一生涯やるべきですね。脂肪を取りすぎると老化が激しくなりますし。


オマケ

 本文中ではググれと言いましたが、ググるのがめんどくさい人のために自分がソラで言える範囲の知識を書いておきます。ソースはググってください。ボディビルダー、アスリート、食育が趣味な人は全員知っているようなことしか書いていません。

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