和の「心」と「おもてなし」を知る(其の弍)
近く、小布施から上京してくる友人夫妻を連れ立って都内、横浜を旅する予定だ。
いつもお世話になっているのにすっかりお土産を手配するのを忘れていた。
さて、何にしようか?
「そうだ、折角なのでこれにしよう!」
瞬時に、昨年クリスマスの日に思い立って訪れた「銀座 菊廼舎本店」にもう一度行こうと決めた。
目的はふたつ。
女将さんにお会いして記事にした御礼を直接伝えたい。
そして、もうひとつは丹精込めて作った結晶である林檎やブドウをいつも送り届けてくれる友達夫婦への感謝の気持ちを伝える品として、詰め合わせを購入することである。
※昨年12月25日に訪れた際の記事はこちら。
身繕いをして午後3時前には家を出て、銀座に向かった。
ところが、、、、、こんな時に事件が起きた。
何と、1本前を走る電車が人身事故に逢い、私が乗った電車も緊急停止。
おかげで1時間以上も足止めを喰らってしまったのだ。
乗務員に振替え輸送手段を尋ねに行くも、数人が同様の質問をしている。
耳に聞こえてきたのは、「駅事務所に訊いてください。
私らではバスや最寄りの路線のことは分からないんですよ。」の声。
ならば、駅事務所に行って確認するしかない、と向かうも振替え輸送の切符を求める人達で長蛇の列。
恐らく、近くの別路線の駅までバス移動しても、この人の波では乗り切れないだろうし、バスのダイヤも30分に一本しかないとのアナウンスだ。
離れ小島に取り残されたようだ、とつぶやきつつ、、、
これは、じっと我慢の子で座り続けるしかない。
目の前に座っている2人の子供連れのお母さんは、静かに読書に勤しんでいる。
下の女の子はぐったり母親に寄りかかっているが、上の男の子は駅のホームに降りたり、乗ったりを繰り返し退屈な時間をやり過ごしていた。
実証見分が済んだので、間もなく発車するとの車内アナウンス。
ほっとすると同時に、とんでもないタイムロスとなったことに気がつく。
17時も近い。
兎に角、目的を果たす為に向かうしかない。
途中、丸の内線に乗り換え銀座へ一直線。
銀座駅改札を出て地下道をぐるっと歩いてから地上に上がり、あずま通りを目指す。
人が群れをなす銀座4丁目交差点を渡り、日産ショールームのフォーミュラーカーを横目でチラ見しながら左へ折れその先右手のあずま通りへ入る。
すぐに銀座トリコロール本店の看板が見える。
よし急ごう!
ところが、トリコロールを過ぎてもお店が見当たらない。
どうしちゃったんだろう?
きょろきょろして見渡していたら、、、、、。
あったが、閉店している。
灯りが消えていて、気づかずに通りすぎていたのだ。
定休日?
土曜日にそれはありえない。
入口の貼紙をじっと見る。
なんと、土曜日は17時30分まで営業の表示。
スマホの時間は18時を回っていた。
あ~、電車が止まらなければ、こんな目に逢あわなくて済んだのに、、、。
仕方ない、ならば女将さんには会えないけれど、東京駅にあるお店に向かおう。
有楽町から東京駅へ。
コンコースも駅内も休日の夕刻時なので、どこも人の群れ、また群れ。
東京ギフトパレット店にどうにか辿り着く。
落ち着いた感じの店員さんが語りかけてきたのでこちらから口火を切った。
私:「実は、前回クリスマスの日に銀座本店で女将さんに接客して貰ってその時の事を記事にさせてもらったんですよ。勿論、電話してお断りした上でですけどね。」とスマホから記事を取り出してお見せして話した。
私:「地方から友だち夫婦が出てくるので、お土産として使わせて貰おうと思って、その際に女将さんに記事のお礼もしようと思い銀座本店に向かったのですが、営業時間後で閉まってたんですよ。」
私:「人身事故で電車が止まってしまい、1時間カンヅメ状態だったので営業時間に間に合わなかったんですよ。
もうがっかりしてしまって、こちらに来た次第なんです。」
店員さん:「そうだったんですね、失礼致しました。女将にお伝え致しますね。お名前とかお伺いできますでしょうか?」
私:「いやいや、事故だったから仕方ないですよ。そちらのせいではないので。私、noteの記事を書いたEijyo、◯◯とお伝えして貰えれば、、、。でも女将さんそれだけで分かりますかね?」
店員さん:「分かります、分かります。私、毎日の様に女将と会ってますのでちゃんとお伝えしておきますから。お任せください。」
語り口といい、凄く安心を与える言い回しだ。
一瞬、もしや和装してない女将さんでは?と、見まごう錯覚に陥った。
前回、女将さんと話した時と同じ語り口なのだ。
流石、老舗和菓子店の精神が徹底されている。
私:「お土産として渡したいんだけど、どんなのが良いですかね?」
店員さん:「ご予算にもよりますが、季節限定のこれなんか可愛くて良いですよ。」
紅白の缶に収まっている「ことほぐ桜色缶」を薦められた。
まもなく季節を迎える桜がちりばめられ別彩色の金平糖も添えてあって艶やかで愛らしい。
折角なので自宅用としても楽しもうと、くず餅が入った「桜色くず餅」も買った。
トラブル発生で女将さんに直接お会いする事は叶わなかったけれど、目的を果たして帰宅した。
何だろう?
大変な目に逢ったけど、嫌な気持ちにならずに清々しく明るい気持ちになれた1日であった。
さあ、上京する友だち夫婦に逢って、都内、横浜を巡る旅がとても楽しみになってきた。
そして、旅が終わり帰宅した彼等夫婦から喜びの声が届くのが待ち遠しい。
(了)
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