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緑の風に吹かれて【日常エッセイ】

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自由気ままに書いたココロのエッセイです。
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#思い出

ひとり遊びと音のない記憶。

仕事が終わって、トボトボと歩く。駅のホームでぼんやりとする。結構待ち時間があることに気づく。昔はちょっとした時間つぶしには、薄い文庫本を1冊用意して、何気なく立ち読みしていたけれど、この頃は、それさえも疲れるような感じがして、ただ、ぼんやりと、駅の雑踏を眺めていることが多くなった。

頭が何かを考えたくない。仕事でずうっと考えていたものだから、せめてこんな時くらいひと休みしたいのだと思う。でも、頭

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何か口ずさむ歌。

何か口ずさむ歌。

さっき、ふと、思い出したこと。

まだ、父が元気だった頃、定年退職をして、家でのんびりしていた頃。
それまでわりと頑固だった父が、いきなり私にこんなことを聞いた。

「何か口ずさむいい歌はないかなぁ?」

・・・なんなんだそれは?

私が不思議に思っていると
父は勝手に自分で話を進める。

「とても気分のいいときに、気軽に口ずさむ歌はないかな~。あぁ、そうだ。サザエさんの歌がいい。♪お魚くわえてど

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夏と不思議な彼女の事情。

夏と不思議な彼女の事情。

ちょっとした用事を済ませて、銀行の駐車場に停めてあった私の車に乗り込もうとしたときだった。

向こうから、30代のOL風のきれいな女性が、長い髪を揺らしながら、なんと、小走りで私のほうへと向かって来ていた。

こういう思いがけないシーンに出会うと、一瞬、人は本当に、何も考えられなくなるものらしい。私は呆然とその場に立ち尽くしてしまい、身動きが取れなくなってしまった。

それでも走馬灯のように何事か

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