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サンフランシスコで見たヒラリーの敗因

トランプ大統領誕生、ご愁傷様です。 日本のメディアでは、慌てて「地方の白人が〜」とか「グローバリゼーションに乗り遅れた人々が〜」といった投票前と変わらない批評をしてますが、現地ではだいぶ違った背景が見えます。

結論から書くと、今回の選挙は反ヒラリー票対反トランプ票の戦いであり、反トランプ票には少なからず民主党の若い教養のある多人種の票が含まれていたと思われます。

ヒラリー支持者が見つからない

民主党の予備選が近づくにつれ、サンフランシスコの街ではサンダース候補のステッカーを貼った車を毎日見かける様になりました。 ところが、優勢と伝えられるヒラリーのステッカーを貼った車が見つからないのです。

結局、車は一台、ボードを貼った家を一件見かけた程度でした。 2008年のオバマのステッカーを貼りっぱなしにした車のほうが多かったです。 街角でプラカードを手に立つのもサンダース支持の若者と、年配の方々でした。

それでも、ニュースでは「いつサンダースは降参するのか」といった論調ばかり。 NPRなどのマイナー局でのみサンダース候補の健闘ぶりが伝えられるだけでした。

知り合いの間でも、FBやtwitterでサンダースを応援するのは20代の若者が中心で、教養のあるアジア系や黒人が多いことに気づきました。

サンダースの支持基盤

日本でも最近やっと注目を浴び始めましたが、米国の教育ローンの問題はもっと深刻です。 学費の平均もこの二十年で1.7倍に膨らみ、無事卒業したところで簡単に返済できるほど景気もよくありません。 なにより、国から借りた場合、法律により自己破産後も返済の義務は消えないのです。 長期間返済が滞り逮捕されたケースもあります。

「激しい競争を勝ち抜いて、学位を取って、なぜ借金だけが残るんのだ!」と既存の体制に不満が募るのも無理はありません。 FBやtweetも、この手の書き込みが目立ちました。 そこへきて、「大学の学費は無料にすべき」と訴えた続けたサンダース候補は彼らの支持を集めます。

また、彼らはメディアが寄付金の総額を勝敗の指針として使うことにも憤慨していました。 サンダース候補は企業献金を断り個人から献金を募ったので、どうしても額面では劣勢に見えてしまうのです。

結果、彼らの怒りの矛先は民主党体制とメディアへ向けられていきます。

予備選直後

勝敗が決定的になってからも敗北演説を行うまで、サンダース支持の若者は諦めず書き込みを続けていました。 アンフェアな状況で競っているという思いが強かったためか「サンダースを指示したのであって、彼が辞退してもヒラリーは投票しない」という話も聞こえましたが、あのときは「まさか。。。」と思ってましたが。

メール漏洩事件

その後、民主党のメールがwiki leak経由で漏洩し党幹部がヒラリー優位になるよう介入したことが明るみになります。 結果、最高幹部(Debbie Wasserman Schult)が引責辞任。 これに対し、民主党は「これはプーチンの陰謀だ」と繰り返すばかりで、メールの内容は偽造ではなく(盗まれた)事実であると暗に認めてしまいます。

この件、なぜか日本では「ロシアが盗んだ」という部分だけが報道されてましたね。 肝心なのは漏洩した内容なのですが。 私は内部告発の可能性が高いと思います。

元サンダース支持者はこのニュースに飛びつきました。 「やっぱりバーニー(サンダース)はハメられたんだ!」と。 なにより、民主党体制に対する信頼は更に揺らぎます。

誰にも言えない

ここからは、憶測になります。 誰も「サンダースがダメならトランプに入れてやる!」と言えるはずがないので。 この時点で、メディアにより「トランプ=強姦犯・人種差別主義者・ナチ」のイメージが完成していますから。

もちろん、みんな反ヒラリー(隠れトランプ票)になったわけではないでしょう。 一つ言えるのは、予備選後、ぱたんと選挙の話題を書かなくなった人が多かったことです。 ヒラリー支持に移った数人を除いて。








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