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洗足学園小学校Apple Open Dayに行ってみた2023〜デジタルシティズンシップ〜


Apple Distinguished Schoolとは?

Apple認定のICT教育推進校です。Appleの学びに対するビジョンをテクノロジーを通じて実践している、リーダーシップと卓越した教育に対して認定されます。Open Dayはその授業公開日のこと。保護者向けではなく教育関係者向けになります。

デジタル・シティズンシップ教育で新しい学びを創造しよう

授業公開の後は国際大学の豊福先生による講演が後半パートでした。道徳の授業について低学年から高学年に渡ってのデジタルシティズンシップについて段階的な学びについて説明があった。授業の実践例としてご理解ください。

プライバシーと個人情報

プライバシー(知られたくないこと)と個人情報(特定されるヒントになること)について分けて教える。
情報開示の程度は、その人との関係性に応じて判断すると言うもの。
友達に言ってもいいこと。家族に言ってもいいこと。知らない人に言ってもいいことなど、情報と人間関係に応じて判断していく。
人に伝えることには、メリットとリスクがあるためジレンマ課題について、どこまで開示するのか?を考える。
ロールプレイングでは、悪人役を児童がやりながらSNS上での「今どこにいる」という旬な情報から空き巣やストーキングのリスクについて学ぶ。

デジタルと身体性は共存する

メディアバランス

メディアとは?
iPadが教科書であり、ノートであり、読書ツールでもある以上、メディアという考え方に合わなくなってきている。

バランスとは?
何時間なら良いという基準はない。

タイムマネジメントしてみる
自分の毎日を振り返ってみて、何時間メディアに触れているかを書き出してみる。バランスについては自分でしかfeedbackできない。自分で多いと感じるか少ないと感じるか?基準はどこか?友達と比べてみて自分で判断してみる。

※メディアバランスはメディアに触れている時間で失っていることの可能性について考える。一概に何が正しいと判断できない。事実、貧しい家庭環境だとメディア使用時間は長くなるが、家に本がない、新聞がない家庭においてはネットが文化的なリソースへのアクセスツールとなるため一概に制限できない。

デジタルを推進するからこそ木材の温かみのようなアナログの良さを理解

情報発信と社会的意義

守らなければならない著作権と脆弱性のある肖像権について学ぶ。
著作権は法律として守らなければならない。一方で肖像権は侵害してしまいがちで、許可を取る必要がある。

ここでもジレンマ課題。学内新聞を書くにあたって「失敗ばかりだった競技も練習を通して見事成功した」という記事を書くとする。失敗のストーリーを写真とともに掲載したい。だが友達は失敗の話や写真は恥ずかしいから載せて欲しくないという。そんな時どうする?

社会参加とは

デジタルによって加速している。コミュニケーションメディアを通じて社会に働きかけ、貢献する事を指している。ネット上でやり取りして、ふとした事で相手が小学生だったり、子供が作った作品に触れる機会も増えてくる。
教育ではネット上での安全、責任、相互尊重を教える必要がある。
責任は私→共→公と段階を追って進める。

:自分ごと、他人に知られないように、プライバシーは守られながら取り組む。タブレットを使って、記録、保存する事でメディアツールとしての出会い。「人に見られないように排除する」とはどういうことか、考える。

:友達とのクラウド上での共同作業。自分の行動が友達に対してどう影響するのか?を理解する。相手、場面に応じてコミュニケションの手段、作法を使い分ける。意見を適宜入れて補足、集約、モデレーションができる。
ネット上で他者に頼り、コミュニティへの貢献の仕方を学ぶ。

:自分(と友達)で作った作品や文章が公に公開される。自身の安全、見えない他者への配慮があるかを判断できるようにする。自分の制作物をポートフォリオできる。マルチメディア制作を通じて手段を獲得する。メディアパワーの行使とフィードバックの機会をもらう。フォーマルなメディアメッセージ発信ができる。著作権、肖像権の課題。

ICTは授業のなかだけで使えばいいというのではなく、生活文脈に繋げてネットアクセスに保障、lDの付与、メール、チャット、SNSが自由に使えるようにしてあげる。テクノロジーは道徳のない増幅機、トラブル時、大人がいるとは限らない。自分で解決できるようにしてあげる。

まとめ

ICT教育ってツールを使えるようにするだけだと思ってましたが違うんですね。よくアナログの代替としてデジタルツールが紹介されて、効率性をメリットに掲げていますが、実際はデジタルに置き換えの次ステップがある。デジタルになることで新たな学びが生まれている。例えば道徳ではネット上にいる顔の見えない人への配慮を学ぶ事ができる。デジタルツールを使うことで著作権や肖像権についても考える事ができる。これらをアナログでやるのって難しい。つまりアナログの代替の先にデジタルでしか学べない領域があることを見た。そして実社会でもネットの普及やデジタルツールが普及すればするほど、こういう学びを積み上げていないと大人でもトラブルに陥る。
まさに偏差値等では測れない学びがある当たり前のことに感動。
授業公開パートは以下のリンクにまとめた。

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