「有田屋千三郎」第2話(全23話)

シーン2 制作会社

制作会社の扉が開き、岩田が笑顔で入ってくる。
電白堂との打ち合わせの後、会社に戻ってきた。

熊谷
「どうでした?」

岩田
「うん。いい感じだったと思う。コンテも褒めてくれた。なるほどー!なるほどー!ってなんども頷いてくれたし」

熊谷
「ちょっと見せてもらっていいですか、、、これなかなかひどいですね。。。」

岩田
「なるほどー。君にはちょっと早かったかな。映像になった時のイメージしないと。」

熊谷
「そんなもんですかね。いや、ちょっとわかんないです。僕からすると、これなんか紙一重で、、、クソやばって思っちゃいます。まあでも一流のクリエイターがいいってゆうなら間違いないんですかね。それか、岩田さんが超大御所監督かなんかに間違えられてたりして。」

岩田
「出た。君、好きだよね、その妄想話。業界バカにしすぎだよ。仮にそうだとするよ、そうだとしてもだよ。誰も意見が言えない超大御所監督なんてこの世に何人もいないだろ。考えすぎだよ。今までの努力がさ、誰にも見つけてもらえなかった才能がさ、やっと見つけてもらった。そーゆーことだよ。経歴や実績じゃない、中身で勝負する時代がやってきたんだ。売れてる売れてないに引っ張られているのは、むしろ僕たちだけだったんだよ」

シーン2B オーディション

会社をクビになる男役のオーディションに臨む売れない俳優有田屋千三郎
*観客にはオーディション風景ではないと思わせる。

有田屋
「お願いします。僕を見捨てないでください。」


第3話に続く

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