「有田屋千三郎」第6話(全23話)

シーン6 撮影スタジオ

とても広い撮影現場で準備をする大人数の熟練のスタッフたち
隅で縮こまっている岩田。そこに熊谷がやってくる。

熊谷
「岩田さん、大丈夫っすか?」

岩田
「いよいよだ。いよいよこの時がきたんだ。震えてる。武者震いってやつかな」

熊谷
「大物スターの演出ですからね。僕なんか逆に想像超えて何も緊張しないですわ」

岩田
「君すごい肝が座ってるね。どう演出するかもう100パターンくらい考えたよ」

熊谷
「逆じゃないすかね?だっていい役者なんですよ。それに今回はいつもと違って一流のスタッフです。何もしなくたって合格点のものができますよ。だから何も心配はいらないんです。僕らはそこに、今まで培ってきたセンスを、スパイスとしてふりかける。すると魔法のように素晴らしい作品が出来上がる!!って僕は思いますけどね。それが、演出ってもんじゃないんですかね、岩田さん」

岩田
「そんな風に思える君のメンタルはすごいよ。すごいチャンスをつかむことはできた。いい役者にいいスタッフもいる。でも、でもだ、それを活かすも殺すも今日次第。確かに僕は死ぬほど準備はしてきた、、、ただ、このシタウケンドリームズを叶える力が僕には果たしてあるんだろうか、、、」

熊谷
「ちょっと考え方が違いますよ。僕たちは確かに3流制作会社だし、全く売れてもいないです。でも、だから=3流ってわけじゃないと思いますよ。それを証明してやろうよって話ですよ!!断言します。今まで成功できなかったのは、すべて環境のせいです。信じましょう。今までの自分を。過去の努力は裏切らないぞ!!」

岩田
「熊谷くん、、、ありがとう」

スタッフ
 「千三郎さん入ります!」


第7話に続く

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