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『糞袋』

藤田雅矢・  新潮社。
1995年12月10日、発行。
第7回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。

【「人間なんぞみな、糞袋よ」時は江戸、舞台は京都。ひょんなことから、花街の糞尿配達屋を営み、あれやこれやと出世をとげた男の天晴れな人生。痛臭!洛中肥えたご蘊蓄物語】


 これまた、痛快!

江戸時代の江戸は、世界に類をみないリサイクル都市だった、と聞いたことあるけど、京都もそうだったんだね。
もっとも、化学肥料はなかったし、まして水洗便所でなかった当時のこと、糞尿は貴重な肥料だったわけで。
それにしても、京都。
お公家はんやら高貴な御方やらは江戸より多かったわけで、やはりウンチの相場もケタ違いやったそうな。 それに、花街、ぽんと町。 おいらんともなれば、ひりだすウンチの香りも芳ばしかった、そうな。 ?

しかるに、京都。
和菓子屋やら呉服屋やら薬屋やら、そして御物御茶師と称する将軍家ご用達のお茶屋。
そんな大旦那衆が、また競うようにそんなウンチやおシッコを、金にいとめをつけぬ程までに求めた、、と。(そういうお話)
もちろん、お茶屋は、より効果の高い肥料としての糞尿を求めたこともあるが、 旦那衆には、贔屓の女の糞尿を欲しがる者がいた。で。? おシッコを飲んでた。ウンチは・・・
 その道に精通していくと、今日は元気とか今日はどっか具合でも悪いかとかツキのものの日かとか、さらには糞尿をみて嗅ぐだけで誰のものかイッパツで言い当てられた、、。 (もうヒツコイから〈そうな〉は書かない)
で、花合わせならぬ、糞合わせが催された。
おいらんたちのウンチとおシッコを集めて、まずはどれとどれが同じ人のものかあて、ついで誰かを言うゲーム。 その正解率ポイントを競い、優勝者には・・・

それから、下肥え。
これがまた、そのての人たちのものともなればたいそうなもんだった。

で、、主人公のイチは、単なる下肥え運びの下っぱから、商売で出世していくんだけれど。付き合うお得意さんたちも、大旦那衆や公家はんやらになり。
・・・

 より高価な下肥えの利権争いを絡めた、アクションもの娯楽小説かと思いきや、さにあらん!

まさに、、まさにウンチク。
ウンチクもりだくさん。
日本ファンタジーノベル大賞審査員でもあった井上ひさしをして、「糞尿を扱いながら品がある」と評せしめた、 絶品。


いやぁ~~~~。
奥が深いです。

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