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(4)〝デジ力〟の前に〝読書の筋力〟―「よく読む子」に育つ5歳頃からの本好き大作戦 ~図書館利用編~

 図書館で本を借りて帰宅ーさて、続いてこれからの2週間です。
  
 これからお話する「家での過ごし方」は、パパ、ママ共にフルタイムでお仕事をしていたり、在宅ワークしている場合は理想通りにいかないかもしれません。
 それでも、夜の時間、外出しない週末など、それぞれのご家庭でとれる時間内、できる範囲内で参考にしていただけたらと思います。
 「こうだからできない」ではなく、「少しでもこうしたら本好きにつながるかも」…と感じていただけたら嬉しいです。
  

〈家に帰ってからすること・・・ここで「本棚」が登場〉

 図書館から帰ったら、借りた本を子どもがメインで過ごす場所、いつでも目につく場所、手の届く場所に並べてみてください
 
 リビングのソファの周辺やおもちゃ箱の横・・・など、パパ、ママもできるだけ日常的にその様子を眺められる場所がベストです・・・というか、「わざわざ本を取りに行く」ような場所に置いたらもうその時点でアウトなのでご注意を
 
 ここで、「子どもが本好きになる環境」でお話した「本棚」の登場ですが、立派なものである必要はまったくありません
 すぐに用意できなければ段ボールや百円ショップのボックスなどを使った手作りで構わないので、その本棚に10冊すべてタイトルや表紙が見える感じで並べてみてください。
 
 これが「家に本がある」というシチュエーションの第一歩。
 まるで壁の一部であるかのように、「当たり前に本(本棚)がある家」の演出です。
 子どもの目線からすると、お気に入りのオモチャと一緒に本。ごく当たり前の場所に本・・・という感じです。
 
 子ども自身が「読みたい」と思った時、目の前に本があり、「おもしろい」と思ったら「次の本」と気軽に選べる環境が大切。
 視覚的に、いつも見えている…というのは愛着を持つうえでも重要です。
 
 そういえば、大掃除や引っ越しの際、昔の雑誌や本が出てきてついつい読んでしまうということってありますよね。あれと同じで、ほっと一息ついた時や気分転換したい時、人は目の前に本があると手に取ってしまう生き物なんじゃないか…と私は思います。
 
 ちなみに、本棚の本はきちんと整列されていなくても大丈夫。雑多な感じで構いませんし、「読んだらすぐに戻しなさい!」と叱ったりしないでくださいね。「本と一緒にゆるやかに生活する」感じを大切にしてみてください。
  

〈すぐに読み始めなくても、焦らなくて大丈夫〉


 「さぁ読んでみようか!」とすぐに声かけしてもいいのですが、お気に入りの1~2冊以外さほど食いつく感じがなければ、2~3日見守ります
 
 もちろん、子どもが自分から本を手に取っているようなら良い傾向。ただしその場合は、「読んでるのね!偉い!」などと大騒ぎせず、これも見守ります
 結局〈A郡〉しか手にしていない様子でも、とりあえずOKです。
 
 もしもほとんど興味を示さない場合、ジリジリするのはわかりますが、決して「ねえ、せっかく借りてきたんだから読もうよ」とか、まちがっても「ママ重くて大変だったんだから・・・」 とか、「あなたが本を読んでいるところ見たいな・・・」なんて言ってはいけません
 
 子どもは気まぐれです。やりたい時に、やりたいことをする生き物。「自分のタイミング」にこだわる自我の強い子もいます。
 
 ましてこれは子どもに「本っておもしろい!」と感じてもらうための作戦なのですから、人から強制されたらつまらないですし、「ママ(パパ)と楽しく選んだ」というせっかくの楽しい思い出を、小言で上書きするのはやめたほうが賢明です。
 
 ―あせらず様子を見ます。見守ります。
 
 そして数日経って、「そろそろかな・・・」と思ったら行動を起こしてみましょう。
 特に〈B郡〉のなかで、あまり読まないな・・・という本があったら、その本を手に、声かけしてみてください
 
 たとえばこうです。
 「ママ(パパ)ちょっと休憩。この本借りてもいい?」とお願いし、お子さんの隣に座って読んでみてください。
 わざとらしく「あ~おもしろい!」と言わなくてもいんです。大した感想も必要ないので、笑顔で本のページをめくってみてくださいね。
 もしも子どもが一緒に本をのぞき込んで来たらしめたもの。声を出して一緒に読むのもいいですし、「ママはこの本のここがおもしろいな・・・」と軽く感想を言い合うのもいいでしょう
 1日10分でもいいので、そういう時間をつくってみてください。
 
 読み終わったら「おもしろかった。貸してくれてありがとう」と元の場所(本棚)に返却しましょう。
 それで子どもは、「自分の本を、ママが読んでおもしろいと言ってくれた」という印象を持ちます。
 
 

〈「本へのポジティブなイメージ」を親子でつくる〉

 こうした触れ合いを繰り返すことで子どもは、「ママも自分と同じ本を読んで楽しいと思うんだな」という、本に対するポジティブなイメージを抱くようになります。
 
 それだけでなく、肌をくっつけ、心を通わせて一緒に読んだ体験が、良い方向に働かないはずがありません
 
 もしかしたら数日後、子どもはママと読んだその本を自分から手にしているかもしれません。
 そういう時はすかさずーあくまでさりげなく声をかけてあげてください。
 「ママもその本、好きだな」「おもしろいよね」―と。
 
 こんな風にして2週間、できる限りパパ、ママも積極的に、借りた本と子どもが一緒に生活するのをサポートしてあげていただけたらと思います。
 
 大切なのは「本のある日常」を体験すること
 読書が特別なものではなく、日常だという認識はその後の生活のベースになります。
 
 元々本が好きで、家にお気に入りが数冊ある場合は、それらの本と混ぜて一緒に置いておくのもいいかもしれません。
 
 子どもの人生は長いです。
なので「何日かで必ず結果を出したい」とあせらないで
いただけたら…と思います。
 
 
つづきます。

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