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『新しい家族の形』ってなんだったんだろう

 はじめに。
 この記事は、ryuchellさんの訃報を受けて、私の知っている情報と、私個人の考えをまとめたもので、事実とは異なる憶測も混ざっていることを念頭において下さい。

 また、捉え方によっては、批判的に感じる部分もあるかもしれません。
 ご不快に感じられる方は読むことをおすすめしません。

ryuchellさんの訃報について

 YouTubeで夕食を食べ終わり、トップ画面に戻ったところ、ryuchellさんが亡くなったというニュース速報が上がってきました。
 まさか私の知っている人が、そして若い方が亡くなられたことに、大変ショックを受けました。

 報道されたのはおそらく今日(7/12)夕方ごろで、死因は自殺とのこと。
 都内の事務所で、死亡した状態で発見されたようです。

なんかすっげぇ人だな

 私が初めて『りゅうちぇる』という人物を知ったのは、もう何年も前、二人が結婚するずっと前に、『ぺこ』と共に、今世間を騒がせている『読モ(読者モデル)』としてテレビで紹介されたことがきっかけでした。

 個性的すぎるメイクに、これまた個性的すぎるヘアバンド、ちぇるちぇるランドから来たという謎設定等々、第一印象は正直なところ「なんかすっげぇ人だな(ちょっと引き気味)」って感じでした。
 でもその後、思ったよりもテレビで粘り強く生き残り続けていて、テレビの印象とは違うしっかりした人なのかも?とも感じていました。

 ぺこさんもりゅうちぇるさんも、お付き合いしていることは公表していて、バラエティ番組では「いつ結婚するのか」で話題になっていたことをよく覚えています。
 テレビ風のちゃらけた感じで「結婚します!」って言われても、ぺこさん的には「信用できない!」って感じだったけれど、りゅうちぇるさんが超地声で「結婚する」みたいなことを言った時、ぺこさんがすごく喜んでいたなぁと。もうなんの番組だったか、細かい言葉の一字一句なんかは忘れてしまいましたが。
 私は当時、青春を走り始めた中学生頃だったと思うので、ぺこさんの気持ちに「めっちゃわかる!!」と強く共感し、また自分もそういう日がきたらキャッキャと喜ぶんだろうなぁと想像してしまいました。

 なんかすっげぇ人だけど、素敵なカップルだなと感じていました。
 パートナー関係において、一種の理想系のようにさえ感じていました。

結婚、そして離婚…

 2016年、誰もが待ち望んでいた通りぺこさんとご結婚され、2018年には第一子のリンクくんも生まれ、歳が近い私個人的には純粋にあこがれを感じました。いつか結婚したい、いつか子どもが欲しい、いつか自分の家族を持ちたいとはずっと思っているので、ごく自然に。

 正直なところ、「りゅうちぇるさんがちょっと落ち着きがなくて大丈夫かな?」「ぺこさん、旦那さんもお子さんもわちゃわちゃしていたら大変じゃないかな?」なんて、お節介なことを思ったりもしていました。
 カップルとしては上手くいっていても、夫婦として、また子どものいる親として上手くやっていけるかは全くの別問題なので、多少心配はありましたね。私は女性ですので、余計ぺこさんの気持ちを勘繰ってしまいました。

 それでも、メディアでは『良いパパ』として取り上げられることが多かったので、「ああ、子どもができると人って変わるんだなぁ」なんて驚きましたね。
 そしてこれまた、「私も子どもができたら、きっと何か変わるんだろうなぁ」なんて、自分の人生について考えていました。

 しかし約1年前、二人は突然『離婚』したと報道されました。

『新しい家族の形』

 りゅうちぇるさんは元々、『性自認』について違和感を感じていたようですね。
 妻のぺこさんやお子さんはもちろん、世間までもに『パパ』と認識されることに、耐え難い何かを感じていたのでしょう。

 そのことをぺこさんに打ち明け話し合った結果、書類の上では『離婚』するけれど、りゅうちぇるさんとぺこさんはお互いの人生の『パートナー』という形で、リンクくんは変わらず『息子』という形で、一緒に『新しい家族の形』を追い求めていく…的な発表をされました。

 これに関して私は、純粋に「応援したい!」と強く感じました。

 私自身、性自認に関して違和感があるわけではありませんが、かといって無いわけでもありません。というか、一応は『女性』ですが、自分が女性だったとしても男性だったとしても、それは変わらず『自分』であるという考え方をしているので、『女性』と一括りにされることに関しては、『私』という『個人』を見てくれていないような気がして、不快感を覚えます。
 例えば、「女同士だから分かり合える」みたいな言葉には、強い不快感と嫌悪感を覚えますね。女だろうと男だろうと、分かり合える奴とは分かり合えるし、分かり合えない奴とは分かり合えないというのが、私の『個を見る』考え方だからです。

 そういう私独自の価値観もあり、お二人の新しい門出に関しては前向きに応援したい気持ちでいっぱいでした。

りゅうちぇるから、ryuchellへ

 私が一人暮らしを始めてから、パソコンメインの私にとってテレビは生活必需品では無いため買わなかった上、雑誌は読まないし、インスタもフィギュアスケーターしか見ていませんでした。
 そのためお二人の情報は、それこそ子どもが生まれた時や離婚を発表したときなど、Twitterのトレンドに上がるときでなければ手に入らないような感じでした。

 まあしかし、実家に帰ったら流石にテレビがあるので、ついていたら見る、みたいな感じではあって。
 そこにたまたま、名義を『ryuchell』に変えて、ヘアバンドもバチバチのチークもなくなった、生まれ変わったりゅうちぇるさんを目にした時は、母と一緒に驚きました。

私「この人、なんか見たことあるなって思ったら、りゅうちぇるじゃん」
母「りゅうちぇる?聞いたことあるけど誰?」
私「ちぇるちぇるランドの人」
母「…あ〜、知ってるかも。えー、これあの人?」

 みたいな会話をしましたね。
 まじでびっくりするくらいにイメチェンしていましたね。多分、まだ離婚前だったと思いますが、その時点ですごく綺麗で、清楚というわけでは無いけれど落ち着いた感じの雰囲気の、それでもおしゃれさは隠しきれないような方になっていました。口調や仕草も、以前とは全く違っていましたね。

 もう本当に、ひらがなの『りゅうちぇる』よりも、おしゃれなアルファベットを筆記体にしたくらいの『ryuchell』が似合う方でした。

離婚後の性転換(?)

 離婚後、次に私が耳にした情報は、pecoさん(ぺこさん)との離婚後、性転換をし、どんどん女性らしくなっていくryuchellさんが、自分勝手すぎないか?みたいな感じで炎上した時でした。

 しかし、pecoさんは、離婚報告はもちろん、その数日後の投稿でも、しっかりと言い切っています。

だけどこれが、わたしたちが決めた、進もうとしている、新しい家族のかたちです。🎀

pecoさんのインスタグラム

 その時、SNSの投稿なのかニュースサイトなのか、出所は忘れてしまったのですが…。
 お二人の関係は良好であることや、ryuchellさんも育児に参加していることなどを、pecoさんが訴えているものを目にして、「二人が納得しているのなら、外野が言うことは何もないな」なんて、安心していました。

 私の勝手なイメージですが、最近のryuchellさんは以前にも増してソロでの活動が増えたように思います。ですので、まだ小さい息子のいるご家庭では、pecoさんが家や育児を、ryuchellさんが稼ぐことで、夫婦の分業は成立しているのではないかと思っていました。
 確かに、外だけ見れば、ryuchellさんは離婚して妻と子どもを捨てた挙句、性転換した(実際には、手術や注射等はしておらず、色々な方法で見た目を変えているだけのようです)とも思えるようなレベルのイメチェンをして、SNSに投稿したりメディア露出したりして、無責任な男のように見ることができます。クリスマスなどの大切な日に一緒にいられないことも、見方によっては無責任とも取れます。

 しかしそのどれもが、ryuchellさんが『稼ぐ』という役割を担っているの ならば、仕方のないことだったように思います。
 『LGBTQ』や『ジェンダー』などという言葉と共に、『モデル』や『タレント』として芸能界を生き抜くためには、すべて必要な変化だったのではないかなと、私は思います。また、クリスマスや誕生日など、大切な日を家族と過ごさない親なんて、父親・母親問わずいくらでもいるでしょう。ケーキを買うどころか、お祝い事をしないご家庭もあるかと思います。

 きっと、オフの日はいっぱい子どもと遊んでいただろうし、仕事の終わりが早ければ、お風呂のお手伝いなんかもしていたかもしれません。
 日常生活の全てにカメラを向けて、SNSなどを使って伝えるのは、とても難しいことですし、常に人の目を浴びている芸能人であれば尚更、”カメラのない時間”はありのままの自分で居られるかけがえのないものでしょう。

 とにかく、お二人の関係について、お二人が満足している以上、「何も言うことはない!」と思い続けていました。
 今日までは。

馬鹿だよ、悔しい…

 この記事をかいている私自身も、精神病(うつ病)を持っており、実はつい先日、死ぬかと思うような目にあったばかりでした。

 そんな私はもちろん馬鹿ですが、本当に死んでしまったら、そんな私よりもずっと馬鹿なことです。
 取り返しがつかない。何も言えない、伝えられない。もう二度と、愛を伝えることもできなければ、ぎゅっと抱きしめることもできない。
 握っても握り返してくれない寂しさも、冷たい大切な人に触れる悲しさも、全て生き残った人たちに降りかかってくる。
 悔しい。

 私は、お二人の『新しい家族の形』を、とても楽しみにしていました。
 あれだけ強い絆で結ばれているお二人ですから、万に一つも仲違いをすることはあり得ないだろうと思っていましたが。
 もしかしたら、今後また結婚するかもしれない。リンクくんが大きくなったら、テレビにpecoさんとのコンビが戻ってくるかもしれない。
 もしかしたら、お子さんのリンクくんも芸能界入りを果たすかもしれない。ryuchell&pecoではなく、ryuchell familyとしてテレビに出るかもしれない。

 そして、これは”もしかしたら”ではなく、”必ず”くらいに強く思っていたのは、LGBTQの人たちや、その家族にとって、太陽のような強い光、大きなお手本になるだろうと思っていました。

 何が理由かはわかりません。
 しかし彼は、何かに追い詰められていたのか、或いは自分を追い込んでしまったのか…自死を選択し、成し得てしまいました。

 考えもしなかった、最悪の結末でした。

誹謗中傷との戦い方

 私は過去に一度、誹謗中傷というか、リンチみたいな状況に遭遇したことがあります。
 中学生3年生の頃の話ですが。色々と気持ち的な問題から、合唱コンクールの練習に行けなくなって、それについてクラスメイトの前で「ごめんなさい」「これからも行けないことがあるかもしれないが、理解してほしい」と頭を下げたら(これは一方的なお願いのつもりでした。それだけ切羽詰まっていたのです)、「理解できない」等の厳しい意見というか暴言が飛んできた経験があります。

 もしかしたら、彼の状況はそれと、若干似ていたのかもしれませんね。

 先述した通り”世間から見れば”、彼の行動は『自分勝手』と言われても仕方のないものだったと思います。実情がどうだったとしても、SNSやテレビなどのメディアで観測できる範疇で、離婚後に彼が積極的に育児へ参加していたかどうかは疑わしいものがあります。

 だからといって、誹謗中傷を肯定することは断じてできないし、あってはならないことだと強く感じますが、ネット社会である現代で、誹謗中傷をゼロにしろというのは無理な話です。学校という狭い枠でさえ、さも正論が如く「理解できない」ときっぱり言い切る人がいるのですから、億単位で日本人アカウントの存在するであろうSNSの世界にはもっといるし、もっとキツい言葉も飛び交っていたことでしょう。

 実は私も、こうして冷静に記事にしようと思い至るまでは、内心批判する側の人でした。
 離婚して好き勝手やりすぎだろとか、産んでおいて責任を押し付けるなんて最低だとか、挙句自死するだなんて最後まで自分勝手だなとか、結構ひどいことを思っていましたね。私がSNSを使って彼に届くようにそれを発言していたとすれば、間違いなく彼を苦しめる側の人間の一人だったでしょう。
 しかし、よくよく考えてみれば、先述した通り。夫婦分業だと考えれば結構納得がいったり、実情は目で見えないことの方が多かっただろうと考え直したり。

 とはいえ、そんな”最低な私”も、ある意味では”社会の目”の一つであるというのが、現実なんですよね。
 実際、Twitterを見てみると、”最低な私”と似たような意見を持った方が少なからずいたので、そういうものなのでしょう。こればかりは仕方がないと思います。(誹謗中傷を肯定するわけではありません。)

 誹謗中傷の全てを目にしていたとまでは言いませんが、一端でも目にすれば誰だって傷付くし、そのような状態が続けば精神的にも病んでいくでしょう。

 これは私の勝手な想像ですが、彼は周りに『理解』を求めがちで、周りの『期待』に応えるのが好きな方だったのではないかと思います。
 そのように、”誰か”を大切にする人であればあるほど、愛したい”誰か”に理解されないこと、心無い言葉を投げられることには、人一倍傷つき、疲弊すると思います。

 一方で、当初彼が掲げていた『理想の彼氏』『良いパパ』『幸せな結婚』のようなイメージを覆して、『LGBTQ』や『新しい家族の形』を掲げ活動するようになれば、世間がついていけるはずがありません。
 時間と共に、『批判』が生まれ、育ち、『誹謗』や『中傷』になっていくのも、仕方がないとも思います。(誹謗中傷を肯定するわけではありません。)

 私個人の厳しい意見として、『LGBTQ』を武器に活動する芸能人であれ、『新しい家族の形』を模索するパパであれ、やるからには突き通して欲しかったと思います。
 それが何より、pecoさんとリンクくんのためであったのではないかと思うからです。

 自死するくらいなら、芸能界を離れる決断をしても良かったのではないかと思います。引退してきっぱり離れても、活動休止して一時的に距離を置くでも構いません。
 汚い話ですが、きっと貯金はあったでしょうし。金銭面に不安があれば、一時的にpecoさんとポジションチェンジしても良かったのではないかと思います。或いは、全然違うお仕事をする手もあったでしょう。

 それでも彼は、表舞台に居ることを選び続けたのは、掲げた『LGBTQ』や『新しい家族の形』に関する認知を広め、理解を深めるためだったのかもしれないし、ただただ様々な役目に追い込まれていただけかもしれない。
 そばにいる人間でもない私には到底わかりようもないことですが、とにかく、結果として、自死を選んでしまったことは、どうしようもない現実です。

 ryuchellさんとpecoさん、そしてお二人の大切なご子息・リンクくん、3人家族と、それぞれの未来が楽しみだった私——隠れファンの一人として、悲しくて悔しくてたまりません。
 何かできたわけでもないのに、時計の針を戻したいと感じてしまう。


 ryuchellさんのご冥福をお祈りします。
 そして、pecoさんとリンクくんに、たくさんの幸せが訪れますように。
 どうかこれ以上、お二人の悲しい涙を流させないで…

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