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2020年10月の記事一覧

想像の翼を広げて

想像の翼を広げて

シャルロット・デマートン作・野坂悦子訳 『ぼくといっしょに』(ブロンズ新社、2020年)

この絵本を開いたときに一番最初に思い浮かんだのが
旅人を探しながら世界中を旅する安野光雅『旅の絵本』シリーズ

安野さんの「旅人」は大人だけれど
この絵本の水先案内人は「ぼく」

身近な日常の壮大な冒険の世界へと誘う
「ぼく」の声

「ぼくと いっしょに くる?」

今、いつものともだちと遊べなくても
絵本

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ありのままの不思議

ありのままの不思議

三田村信行『オオカミの時間 今そこにある不思議集』(理論社、2020年)

三田村信行『おとうさんがいっぱい』以来
45年ぶりの佐々木マキとのコラボ『オオカミの時間 今そこにある不思議集』

※『おとうさんがいっぱい』は頭木弘樹編『絶望図書館』にも収録

世の中は理性で説明できることばかりではない
にもかかわらず
「子ども向け」にするために
大人は余計な脚色を加えてはいないだろうか

この2つの作

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病気の友だちと介助犬と『おいで、アラスカ』

病気の友だちと介助犬と『おいで、アラスカ』



てんかんの患者さんを支える介助犬が
飼い主と元飼い主の狭間でどんな選択をするのか

スリルある展開に心奪われつつ、一気に拝読

介助犬やてんかんの知識はもとより
SNSの怖さや
上手に使いこなした際の威力についても盛り込まれており
楽しみつつ学ぶことができる

が、それ以上に
病気や障がいを抱える友だちと
どう接したらよいか
深く考えさせてくれる本

また素敵な本に出会えた

芸術の秋にこの1冊『アドリブ』

芸術の秋にこの1冊『アドリブ』

イタリアの国立音楽院に通うユージは
進路に悩む15歳

10歳の夏にフィレンツェの大聖堂で
同音楽院の生徒たちの演奏を聴き
フルートの音色に魅せられて以来
フルートを学ぶことを決意したのだった

ユージにはきっと芸術的センスがあるのだろう
とりわけ音楽や美術の道には
生まれもった才能が不可欠だと信じる私は
主人公がとても遠い存在に思えた
 
ところが
音楽院の入学試験に
フルートすら持参せずに挑ん

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