だって漢字が覚えられないんだもの【デンジャラス前向きくん】

小学生の息子は、漢字の書き取りが苦手である。
一度、漢字のテストで100点中16点をとってきたことがあって、
「すごいでしょ」と開き直るので、壁に飾っておいたことがある。

しかし私も、うすうす、気づいているのだ。
パソコンで文章を書くのが主流になってしまった今、
漢字が読めることは必要であるが、
書けることはそれほど重要でない気がする。

じゃあ小学生が漢字練習を放棄していいかといえば
やれ内申だ、受験の点数が足りないだのと、漢字能力が学力を左右する。
数学の証明文で、漢字を間違えると減点になるのだそうだ。
やれやれ。

工学博士で小説家の森博嗣さんが著書で、こんなことを書いていた。

僕は、人の名前が覚えられない。固有名詞の記憶が苦手である。
教科書に載っている、歴史上の人物の顔を思い描くことはできるし
漢字で五文字だった、教科書の左下に載っていた
ということは覚えていても、その名前にピントが合わない。
その人が何をして、どんなことをして有名なのかも、
抽象的になら答えられるのに
名前が言えないというだけで試験では点数が取れない。
世の中ではそれを「知らない」と評価する。
――『集中力はいらない』(SB新書)

彼は、漢字の読み書きも曖昧にしか答えられず、
英語のスペルも精確に覚えられないため
だいたい理解しているのに、
ほとんどの教科で偏差値以下になってしまうのだという。
だが、数学と物理は何も見なくても答えることができたため
そこで点数を稼いで国立大学に入ったのだと書いていた。

それでいいのじゃないか、と今は思わなくもない。
日本人は、得意なことと、苦手なことも、
平均的にできるよう勉強をする傾向があるが
全部満点を目指さなくてもいいか、と。
苦手を50点、得意を150点にするやり方も、あるのではないか、と。
好きなことをエキスパートと言われるぐらい、つきつめていくと
途中で、算数や英語が必要になってくることに気づくから。

150点は、決して楽じゃないんだけれど
「やってやるぜ!」というエンジンはかけられる。
そこで自分なりの勉強のやり方を見つけて
頭で考えたことを人に伝えられさえすれば、
世は渡っていける気がしている。

伝える力。
多分それが本当の「国語力」なんじゃないかな。

ちなみに、息子は16点のテストの後、
追試も勉強しなかったので、26点だった。
「わー、前よりは成長してるね!」とは本人の談。
のび太みたいだと言ったら、
「ぼくはあんなに0点は取れないよ」と真面目な顔で言った。


■森博嗣『集中力はいらない』(SB新書)
だらだらしたり、非効率なことを排除して
集中するすることが良しとする風潮に疑問を呈した一冊。
分散思考をしたほうが、いいアイデアが出ることもある。

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