スクリーンショット_2019-11-23_22

#006 ページ設定と用紙(版下作成編・その1)

⬅️ 前の記事  次の記事 ➡
 📔 egword チップスマガジン

egword は縦書き編集が軽く、しかも美しいレイアウトができるので、DTP アプリの代用として同人誌の版下としてデータ入稿できるのでは? と考えている人が多いと思います。今回は小説の同人誌の版下を egword で作るにあたっての基本的な考え方についてご案内します。

版下のための用紙設定

データ入稿をする場合、紙での入稿用の版下とまず異なることろは最終的な印刷物の寸法でデータを作るということです。たとえば、紙で入稿する場合、本の寸法がA5の同人誌の原稿はA4サイズの原稿用紙に描きます。これに対してデータ入稿の場合は、A5サイズの本ならばA5の用紙設定に対してレイアウトしてゆきます。ここがまず根本的な違いです。
原稿の作り方については、印刷所各社のデータ入稿ガイドに目を通してみて、そのうえで egword で小説同人誌の版下を作るには、3通りの方法が考えられます。

❶ 仕上がり寸法と完全に同サイズの用紙で原稿を作る。
❷ 仕上がり寸法に対して、塗り足しの余白を付けた用紙で原稿を作るが、トンボは打たない。
❸ 仕上がり寸法に対して、塗り足しの余白を付けた用紙で原稿を作り、かつ、トンボも打つ。

以下では、それぞれにの用紙にどのような特徴があるのかくわしく述べ、そのあとでその操作手順について説明します。

❶ 仕上がり寸法と完全に同サイズの用紙を使う

画像1

これは最もシンプルで簡単な方法です。A5の本を作るのに、A5の用紙を選ぶというやりかた。A4のビジネス書類を作るのに、A4縦用紙を選択するというノリです。もし作ろうとしている本に裁ち切りのレイアウト(= イラストやページ飾りなどが用紙端まで続いている)がないならば、この方法で入稿できるはずです。(実際は印刷所と相談になると思いますが。)
なぜこれで OK かというと、版下データは印刷所で直接印刷機に投入されるわけではなく、「面付け」といって複数のページを並べた状態の完全な版下としてレイアウトし直します。その際、印刷用の余白を考慮して並べられるので入稿データ自体には必ずしも余白は必要ないのです。
ただし印刷所によっては「裁ち切りのレイアウトがない」という念書を書かされるというところもあるようです。

❷ 塗り足しの余白があるが、トンボはない用紙を使う

画像2

これは、特殊な用紙寸法を自分で定義する必要はありますがとても簡単にできる方法です。そして裁ち切りの画像や図形は塗り足しの部分まで描いておきます。これならほとんどの印刷所は納得するでしょう。
❶でも書きましたが、印刷所では面付けするときに入稿データを余白込みで並べ直します。そのときトンボを目安にすることもあるでしょうが、ほとんどの場合は余白込みの面積に対して原稿をセンタリングして配置します。したがって原稿の中心を指示するトンボがなくても問題ないはずです。
ただし、カラーページ、2色刷り、箔押しなどがあると、トンボが必要になる場合もあり、そのときは❸の用紙にする必要があるかもしれません。

❸ 塗り足しがあり、トンボもある用紙を使う

画像3

これは、特殊な用紙寸法を自分で定義し、かつ、egword の図形機能を使ってトンボを作図してセクションの背景に貼り付けるというやりかたです。印刷所がトンボを利用するかしないかにかかわらず、トンボを打っておけばどんな入稿にも対応できるのでほぼ究極的な用紙設定といえるでしょう。
極端な例ですが、白黒の原稿ならこれを実際に印刷して紙の版下として印刷所に入稿することも可能です。
カラー原稿、2色刷り、箔押しなど、どんなタイプの原稿も入稿できます。

以上が、egword の版下を作る3通りの用紙設定の考え方です。引き続き『ページ設定と用紙(版下作成編・その2)』でそれぞれの用紙を作る操作手順について書いていゆきます。

余談

わたし自身は、❸の用紙設定で両面カラー三つ折りのフライヤーを egwrod PDF でデータ入稿したことがあります。その際、カラーに関しては色々とトラブルがありましたがその印刷所の担当者のお兄さんは親身に対応してくれました。(そもそもカラー原稿を egword で入稿というのはかなり特殊な例だと思います。)
印刷所には長年の経験で得たワークフロー(流れ作業化された手順)というものがあります。それは InDesign や Illustrator だけでなく、Microsoft Word や一太郎で作られたドキュメントに対しても30年近い蓄積があるのです。しかし egword PDF に関してはほとんどの印刷所は経験がありません。
したがって印刷所によっては断られる可能性がゼロではありません。実際に初めて egword PDF を入稿するにあたっては、事前に相談できる印刷所で、かつスケジュールに余裕をもって入稿しましょう。
egword のカラーデータ入稿についての注意点については、別の投稿でも書こうと思います。

⬅️ 前の記事  次の記事 ➡
 📔 egword チップスマガジン

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?