見出し画像

CCDとCMOSの話

CCD(シーシーディー、Charge Coupled Device:電荷結合素子)センサーを搭載したカメラと、CMOS(シーモス、Complementary Metal-Oxide-Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)センサーを搭載したカメラでは、センサーの構造原理に起因して、写真の描写に違いが発生するのかという問いが、ネットで話題になっていた。
以下は、その発端になったと思われる記事。

初期のデジタルカメラは主にCCDセンサーを用いていて、しばらくしてから、ほとんどがCMOSセンサーに置き換わった。
仕組み上、CMOSセンサーは消費電力や発熱量が少なく、ライブビュー表示に有利。それが決め手だったらしい。
CMOSセンサーが主流化すると、過去のCCDセンサーの描写を懐かしむ、あるいは積極的に再評価する動きが生まれた。
「CCDセンサーで撮影した写真は色に深みがある」云々。
確かに、かつて僕も愛用したオリンパスE-1やE-300は、空や海を写したときの独特な深い青色が「オリンパスブルー」または「コダックブルー」(コダック社製のCCDセンサーが使われていたため)と呼ばれていたし、「色再現がこってりしている」との評価が通り相場だった。

ところが、世代刷新されてセンサーがCMOS素子に変わると、それまで慣れ親しんでいた油絵調は、軽やかで透明感のある水彩画風に大きく変化した。正直、同じメーカーのカメラとは思えないほどの変わりようだった。
なので、当時は、
「ああ、やっぱり、CCDとCMOSでは色が違うんだ」
と本気で信じたものだ。
僕はエンジニアではないから、大雑把な理解しかできていないが、上記のリンク先の説明によれば、CCDでもCMOSでも、出力される電気信号に原理的な違いはない、とのこと。
色再現への影響は「カラーフィルターアレイの分光特性や後段の画像処理による違いの方がはるかに大きい」とも書かれており、そのとおりだろうと思う。

アナログフィルムの場合、たとえメーカーやブランドは違っても、基本的に同一の工程で像を生成する。そこに化学的組成のさじ加減が加わるから、製品ごとの個性が発揮される。
デジタルカメラも「CCDセンサーだから」「CMOSセンサーだから」だけではなく、製品個々に備わる技術仕様によって色再現や階調特性が異なるのは、考えてみれば当然だ。
そして、その事実を逆側から見るとしたら、例えば、コダックセンサーのE-1で撮影した写真を「ああ、いい色だな」と感じる感覚は、決して間違っていないし、懐古趣味のひと言で切り捨てられるものでもない。

あなたが本当にそう感じるのなら。

いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!