命乞いする蜘蛛 #毎週ショートショートnote(612文字)
「TVの見過ぎですよ」
取調室で刑事に言った。
テーブルに赤と緑の2枚のカードが置かれる。刑事に赤のカードを選ぶように指示された。
「犯人は色盲の疑いがあります」
「私には関係ない」
私は犯人であり、色盲でもある。
私はメンタリストであり、嘘をつくのも容易だ。
このゲームは不確実だ。単に1枚だけ出して色を聞くだけで良いのに、わざわざ赤・緑を2枚出す必要はない。50%の確率で当たるからだ。
拒否してもよかったが、私は読心術のプロだ。受け立つ。
「当てたら帰ります」
「結構です」
「さて、私が右を赤と言ったどうします?」
刑事は何も言わず緊張している。その行為がバレバレなのだ。
罠である。
カードに正解は無い。2枚すべて緑だ。
「2枚とも緑ですね」
刑事は動揺して眼球がグルグル回っている。当たりだ。
「不当尋問で訴えます」
「待ってください」
刑事は罠に捕らえたはずの獲物に反撃されて、命乞いする蜘蛛の様に狼狽えていた。私はカードを手に取り刑事の顔に突きつける
「どこからどう見ても緑じゃないか!」
「どこから、どう見てもですか・・」
<刑事がニヤリと笑った>
「そのカードは表が緑で裏が赤なんですよ。我々に見せているのは緑ですが、あなた側からみた裏は赤なんです」
「まさか」
「あなたが嘘を付いた理由を詳しく聞かせてもらえませんか?」
「なんだと!アリバイも密室トリックも完璧だ!証拠はない!」
「あなたTVの見過ぎですよ。証拠は犯人に聞けばいいんですよ」
今回は612文字で、410文字を大幅に超えてしまった・・
ここらへんがまだまだ未熟なとこですね。コンパクトにまとめることができませんでした。
※公開後に5回書き直しましたが、もう無理です。
これが私の限界です
失敗したと思いましたが、消すのは惜しいので公開しました。
時間があればもう一つ、作ろうと思います。
<補足説明1:メンタリストとは?>
私はTVのメンタリストに懐疑的です。
TVでのメンタリストは心理学や暗示などのテクニックを用いて人の心を読んだり、行動を操ったりしているように見せている点が特徴なのですが、私は素直に楽しめません。
あるTV番組で、テーブルのカード立てにカードを5~6枚並べて、その中にタレントが欲しい景品カードを1枚入れて、メンタリストに当てられなければ成功としていました。
99%はメンタリスト勝利になりますが、カードがあまりにも不自然です。A3サイズのカードに裏に細かい柄のトランプの絵がわざわざ入っています。数字を当てるゲームではないのにトランプ柄は不自然です。
トランプの柄に目印が入っていれば当てるのは容易だからです。
<補足説明2:蜘蛛の巣の罠>
蜘蛛の巣は獲物を捕らえるために様々な巧妙な方法を備えています。主な方法は以下の4つです。
1. 粘着糸
多くの蜘蛛の巣は、粘着糸と呼ばれる特殊な糸でできています。この糸は昆虫などの獲物が触れると、その体に付着して動きを封じ込めます。粘着糸は非常に細い繊維でできており、獲物が触れた瞬間に広範囲に広がるため、逃れるのは非常に困難です。
2. 糸の構造
蜘蛛の巣は、単純な網状ではなく、獲物を誘導したり、絡め取ったりするような複雑な構造をしています。例えば、円網の放射状の糸は、獲物が中心部に近づくと振動して、蜘蛛の存在を知らせます。また、不規則な糸や袋状の巣は、獲物が方向感覚を失い、迷い込んでしまうように設計されています。
3. 蜘蛛の待ち伏せ
多くの蜘蛛は、巣の近くで獲物が来るのを待ち伏せしています。獲物が巣に近づくと、蜘蛛は素早く飛び出して捕らえます。蜘蛛は優れた視覚と聴覚を持っているため、獲物の動きを察知することができます。
4. 糸の強度
蜘蛛の糸は非常に強靭で、獲物の体重を支えることができます。獲物が暴れても、糸が切れることはほとんどありません。また、蜘蛛は糸を使って獲物を巣に引きずり込んだり、包み込んだりすることができます。
つまり、蜘蛛の巣の様な罠には入らないことが鉄則です。
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