【毎週ショートショートnote】お題:ロバート教授「風を治すクスリ」(580文字)解説&おまけ
ロバート教授は人類学者で日本民族を研究している。教授が最近興味を持っているのが、疫病・自然災害と伝承だ。
<コロナ禍で有名になった妖怪「アマビエ」>
江戸時代末期の弘化3年(1846年)に肥後国(現・熊本県)にアマビエと名乗るものが出現。「姿を描き写して広めれば疫病を封じ込める」と予言を告げた。
これは、江戸時代末期にコレラ流行を予防したとされている。【他人との接触感染を極力避けるために家に籠れ=家で姿を描き写せ】
SNSやテレビなしの時代、疫病の警戒と自主規制を広めるには、人外の神(妖怪)の予言が効果的ではないか。
また、雨乞い祈祷となるモノも存在した。干ばつに苦しむ村が祈祷師を呼んで、神に祈りを捧げる。
ーしかし、祈ったから雨が降るのではないー
【雨が降るまで みんなで祈ったのだ】
同様に、「風を治すクスリ」なるモノがあった。台風の時に飲むクスリらしい。文献で成分を調査すると下剤の成分が含まれており、クスリを飲むと6日間は腹を下し外に出れなくなる。
これらは、疫病、自然災害時(干ばつ・台風)にはむやみに外に出ないで、まずは一致団結して、身を守ることを優先しろとの日本民族の教えなのだ
ロバート教授は、レポートを書き終えると、鼻水をすすりながら風邪薬を飲んだ。
「カゼは薬を飲んだら6日でおさまる」
「カゼは薬を飲まないと6日もかかる」
どちらが起源だろう。早く家に帰って温かくして寝ようか。
<ロバート教授シリーズ>
⇒日本民族と缶蹴りの謎を解く
解説&おまけ 予言獣について
※ショートショートに出てくる「風クスリ」などは存在しません。
アマビエは疫病を封じる予言獣の分類になります。
他に同種として山梨県立博物館の学芸員が発信した江戸時代末期にコレラ流行を予言したとされる「ヨゲンノトリ」も話題を呼びました。
「私の姿を朝夕に拝めば難を逃れることができるぞ」姿は白黒の2匹の鳥です。
そのような妖怪が本当にいたかどうかは別として、大昔のSNSやテレビが無い時代に、疫病の流行に対する警戒、自主規制の勧めをいち早く広めるにはにはどうしたら良いのだろう。
どんなに偉い人が言ったとしても、思うように伝わるのか?
なら、人外の神(妖怪)が予言したとしたら?
人は純粋には敬い、怖れをなして広め従うのではないのだろうか。
「アマビエ」や「ヨゲンノトリ」はそのために必要だったのかもしれない。
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