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インドネシアを知り、美しい日差しの午後にある人と再会し

 4月27日、昨日の荒れ模様が嘘のように消え、からりと心地の良い朝。

 本日はバイトであった。電車に乗ってえっちらおっちら、緑の多い新居の街から一転、東京のど真ん中へ出る。
 人生というのは本当にわからないもので、働いている飲食店では、遠いインドネシアからやってきた人たちが同僚となっている。この国には行ったことすらないのだが、まさかこんな縁ができるとは、数年前は思いも寄らなかった。
 敬虔なイスラム教徒の、実に真面目に働く青年たちである。彼らにとって大事な行事である「ラマダン」が終わった数日前は、お祝いに飲むのだという、ココナツとジャックフルーツをたっぷり使った甘〜いドリンクをご相伴に預かった。
 現地のお菓子や聞いたこともない調味料を教えてもらっていると、どんどん興味が湧いてしまうものである。おかげで人生のバゲットリストに、バリ島に行くという夢が加わった。

 ちなみにインドネシアも島国で米食がメインなせいか、価値観や好みが日本人とかなり似通っている。言葉のイントネーションが柔らかく、(意味は全くわからないものの)聞いている耳障りがかなり日本語に近い。宗教上の理由でお酒も飲まないのでおとなしい人が多く、彼らが日本に働きに来ることもうなづけるようになってきた。単純に共通点が多いので住みやすいのだろう。

 今日は、インドネシアで大人気らしい女性歌手の曲を知る。日本で言えば、JUJUや絢香のような立ち位置の人らしい。言葉の意味さえクリアできたら、日本でも売れそうだなあと思った今日この頃。

 ちなみに歌詞の意味は全くわからない。英語なんか分からないのに、いい感じだから洋楽を聞いているマセた小学生のようなことをやっている。noteに書くから歌詞の意味ぐらいは知っておいた方がいいだろうかと思うけども、面倒臭いのでやめておく。多分ラブバラードだろうけども、何も知らなくても雰囲気で聞けるというのが音楽の良いところだと思う。

 午後は、とあるギャラリーを見に行くために、再開発ですっかり様変わりしてしまった虎ノ門へ。実を言うと、ここに来るのはもう3、4度目になる。いつ来ても、陽の光と風が心地の良い空間で、オーナーのセンスを感じる場所である。

 在廊していたのは、アーティストの坂口恭平氏。地元の熊本で、大きな仕事を終えたばかりだが、変わらず元気でホッとする。

 坂口氏とは、知り合いというか、遠い友人(…と言ってもいいとわたしは思っているが、彼はどう思っているかはわからない)という感じである。本当に、ひょんなことで顔見知りになったのであるが。
 まあなんというか、顔の広くて人なつこい彼のことである。日本中に「友人」がいそうなので、その中に私が一人くらい紛れていてもどうということはないであろう。

 ギャラリーで彼は、いつきても色んな人に囲まれ、色んな話をしている。深刻そうな悩みもあるし、よくよく聞いているとそんなに悩むことでもないような事を永遠に話す人もいる。それでも坂口氏はだいたい黙ってニコニコして聞いている。そしてだいたいズバッと答えを返す。アンサーの短さに大抵の人は驚くが、だいたい「へへへ」と笑って帰るのである。不思議なものだ。あんなに悩んでたのに、彼と話した途端「へへへ」って言って帰るんだから。なんなんだろうか、一体全体。

 才能の種があっても、日々の積み重ねでしか開花しないという事実を、自らで持って証明してくれる人である。ちなみに小説も書いていて、「土になる」というタイトルは、朗読すると言葉の柔らかさと音楽的リズムが伝わる、とても良き一冊だった。

 1000枚を描き切ったのですか。何ということであろうか。おめでとう。またお互い、元気で会いましょう。

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