アニメ・漫画との【素敵なコラボ】をするために
広告会社に勤めてしばらく経つが、一方で「好きなものを仕事にしたい」欲も出ている。もちろん広告の仕事も大好きだけど、好きなものに、自分が全力で携われたら、とても幸せだと思う。
私はめちゃくちゃアニメ・漫画・ゲーム大好きである。
なので、それらに関係する仕事に関われたら、と強く思っています。
…と、幸いにもいくつかアニメやゲームのタイアップの案件を担当させてもらっている!
は~、幸せ幸せ…。
…。
あれ、あんまり楽しくないものもあるぞ!!
キャラクターにも愛着あるし、仕事できるのは嬉しいんだけど…。その作品への愛を全然活かせていない!
と、ここで気づいてしまいました。
コラボすること自体が、目的になってしまっていることに!
アニメ・漫画コラボって、下手すると、思考停止してしまう。コラボすること自体が価値みたいになってしまって、描きおろしイラスト描いて終わり。みたいになってしまう。
そうならないために【よきコラボ】と【よくないコラボ】の違いは、はっきり意識しておきたいんだけど、何がどう「違う」んだろうか。
【よきコラボ】と【よくないコラボ】
例えば、まずはこのCMを見てほしい。
うんうん…!
これこれ~!
なんていうんだろう、「コラボしただけ感」のあるCM!!個人的に、これを【よくないコラボ】ととします。※あくまで個人の感想です。制作に携わった方、ごめんなさい。
では次に、これはどうでしょう?
何か、根本的に違うプロセスで作られてるような。
今後の自分が、皆さまが、楽しいアニメ・漫画コラボができるように、個人的【よきコラボ】をまとめて、そこから今後のヒントを編み出したのでごらんください。
1.原作リスペクト、超大事
1-1.ブルボン「アルフォート」×ブルーピリオド
こちらのCMをごらんください。
鳥肌立つわ。アルフォート×ブルーピリオド×YOASOBIのコラボ。
全部、青い。
ブルーピリオド
成績優秀かつスクールカースト上位の充実した毎日を送りつつ、どこか空虚な焦燥感を感じて生きる高校生・矢口八虎(やぐち やとら)は、ある日、一枚の絵に心奪われる。その衝撃は八虎を駆り立て、美しくも厳しい美術の世界へ身を投じていく。美術のノウハウうんちく満載、美大を目指して青春を燃やすスポ根受験物語、八虎と仲間たちは「好きなこと」を支えに未来を目指す!
ようするに、美術マンガなんですが(語彙力の死)
これ、涙出るほど感動したのが「作中に出ている絵画の実物が見れること」なんです。作中の絵画が実際に描かれていることは知っていたんですが、こんな形で見れるとは。
そして、YOASOBIの楽曲「群青」もブルーピリオドにインスパイアされて作られた楽曲で、「渋谷の街に朝が来る」「好きなものを好きだという、怖くて仕方ないけど」とか、歌詞の中にも漫画のシーンを彷彿とさせる部分があって…。それらすべてが、美しくて、クールな中にアツさをもった世界観を演出している。
この企画自体が多大なる原作リスペクトに溢れていて、漫画自体の世界観を底上げしてくれるような…良い企画です。
企画した人は、相当ブルーピリオド好きだよね。
そして、たしかにアルフォートってパッケージ美しい…。
ブルーピリオド、とりあえず読み直そう。読んでない人は、読んでどうぞ。
次、行ってみます。
1-2.日清食品「カップヌードル」×ワンピース
みなさん、アオハルしてますか?
私全然してないので、この「HUNGRY DAYS」のシリーズ正直好きじゃなかったんですが…。
なんと、最近ワンピースにハマってから、評価が変わっています。なぜかというと【超・原作リスペクトに溢れているから】です。
上のはビビ篇なんですが、めっちゃ細かい“隠し要素”に溢れています。
なお、今回こちらのCMだけで、60人以上のワンピースキャラが出演している!!
例えば、この祭りのシーン…。
めっちゃ隠し要素あるやんけ!
アニメ・漫画コラボはやっぱり、ファンマーケティングなんですけど。それなら、とことんまで突き抜けないと!という強い意気込みを感じるCMだったんですね。
このように、タイアップにおいて「リスペクト」があるということは、企画の根っこの部分として非常に重要だと感じた。「神は細部に宿る」といいますが、この「分かってる感」を生み出すことが良質なコラボになる、1つの条件だろう。あと、こういうの考え出すと楽しいしね!
2.共通点探し
2-0.まずはワンピースで図解させて
次のポイントは「共通点探し」です。
アニメ・漫画のタイアップにおいて、重要なのは「共通点探し」だと強く感じる。なぜなら、コラボをする目的は、コラボをすること自体ではなく、サービスの良いところを伝えることだから。
つまりどういうことかというと…ワンピースで図解するね!
まず、あなたは歯ブラシを売りたい。
そんなあなたがワンピースとコラボするとします。
まずは、普通に「コラボだけ」させてみましょう…
しょ、しょうもなさそ~~!!
ルフィが歯磨いてるときに寝落ちしてて、みんなで「「「オイッ!!!」」」みたいな。
じゃあちょっと、この中で共通点を見つけてみます。
しょうもな…!でも、面白いかどうかはさておき、さっきよりは「歯ブラシの良さ」がメッセージとして伝わる企画になりそうじゃないですか?
100万ドルの夜景、とかいいますが、ルフィの笑顔は15億ベリー(懸賞金)です。そんな「笑顔」と「白い歯」をフックに企画を考えると、なんか、みんなの笑顔が集まる素敵な企画になりそうじゃないですか?
このように「共通点探し」をしっかりとしておくことが、ただのファンマーケで終わらないコラボを生み出す。
2-1.「クラフトボス」×クレヨンしんちゃん
例えば、上述したクレヨンしんちゃん×クラフトボスのCMについて。
これまで「ボス」は働く日本の男性たちへ、缶コーヒーは働く男の飲み物という強烈なメッセージを送り続けてきた。その反動と、サードウェーブコーヒーの台頭もあり、20代~30代は「缶コーヒーノーサンキュー世代」になっている。
そんな中、生まれたのがクラフトボスである。働き方もどんどん自由になる中で「働く人物像」みたいなものも変化していく。その変化を体現したものが、缶コーヒーからの脱却、丸みを帯びたデザインボトルの「クラフトボス」だった。
野原ひろしはサラリーマンなんだけど、クレヨンしんちゃんで描かれる姿は「父」としての姿である。職場だけでなくて、そんな「父」としての野原ひろしの日常に寄り添っているクラフトボス。
こんな感じかな?サラリーマンのイメージがあるけど、仕事だけでない「多様な人物像」を描ける人…。つまり「クラフトボスが伝えたいこと」との接点を探ると「野原ひろし」がベストだったんじゃないか、と思う。
2-2.マクドナルド「チキンタツタ」×タッチ
これ爆売れしたキャンペーンなんですが、「タツタ」と「タッチ」のダジャレ、これが共通点かよ…。
と思ってしまいそうなところなんですが、重要な共通点はタッチのストーリーが「タッちゃん」と「カッちゃん」の2人の間で揺れ動く南、という部分である。
そう描かれてみると、なんとなーく…2種類から選びたくなる…。
瀬戸内レモンのような甘酸っぱさを感じるようなキャンペーンである。
は??
2-3.ワンピース×都道府県「OPJ47」クルーズ
またワンピースの例ですみませんが、「日本縦断OPJ47クルーズ」は【原作リスペクト】+【共通点探し】の宝庫です。ONE PIECEがコミックス累計発行部数3億冊突破記念キャンペーンということで日本の各都道府県の新聞をジャックしたのが、この「ニッポン縦断!OPJ47クルーズ」。
この企画、もはや「接点探し大喜利」の様相を呈しています。
千葉⇒ピーナッツ×サンジ=鼻血
山口⇒ふぐ×マゼラン=毒
佐賀⇒いかしゅうまい×ドフラミンゴ=見た目似てる
うーん、この企画の打ち合わせ死ぬほど参加したいですね!
このようにコラボする両社の共通点を探すことは作品の【コラボ先】の魅力や、メッセージを伝えるうえで非常に重要なポイントだということが分かりますね!
3.そもそもアニメ作品に介入しちゃう
さらにもう一つ「そもそもアニメに作品に介入する」というパターンもある。例えば新海作品に出てくるMacBookみたいな話。
3-1.SAO(ソードアートオンライン)×IBM
ちょっと、動画見ただけでSAO未視聴の方はわかりづらいと思うので、補足をば…。
SAO(ソードアートオンライン)
西暦2022年、1000人のユーザーによるベータテストを経て世界初のVRMMORPG「ソードアート・オンライン」(SAO)の正式サービスが開始され、約1万人のユーザーは完全なる仮想空間を謳歌していた。
しかし、ゲームマスターにして開発者である天才量子物理学者の茅場晶彦がプレイヤーたちの前に現れ、自発的ログアウトは不可能であること、舞台「浮遊城アインクラッド」の最上部第100層のボスを倒してクリアすることだけが脱出する唯一の方法であること、そして死亡した場合には現実世界のプレイヤー自身が本当に死亡するということを宣言した。プレイヤーの1人である少年キリトはこの絶望的な狂気のデスゲームで生き残るべく戦うことを決意し、始まりの街から旅立ってゆく。
しかし、後に「SAO事件」と称されるこのデスゲームは、仮想世界をめぐるさまざまな事件の幕開けにすぎなかった。
あらすじムズっ!
ようするにSAOは、VRゲームしてたらゲームの中に閉じ込められて、現実世界に帰ってこれなくなるアニメ」です。そして、今よりもっと未来の世界で、VRゲームはほぼ自分、みたいな没入感のあるもの進化している、という設定です。
そんなアニメに、VR技術の最先端を研究するIBMは、本プロモーションの中で「SAOの世界はIBMの技術があったから開発された」というストーリーにした。つまり“作品の世界観に介入した”のである。
同時に、VRでSAOの世界が体験できるイベントも実施して…ファンからしたらたまらんよね。
3-2.タイガー&バニー×たくさんの企業
他にも「Tiger&Bunny(タイガー&バニー)」は革命的なコラボを果たしている。まず、タイガー&バニーのオープニング映像を見てほしい。
お気づきだろうか?キャラクター達のボディに光るスポンサーロゴに!
TIGER&BUNNY
NEXT(ネクスト)と呼ばれる特殊能力者がこの世に誕生してから45年。大都市・シュテルンビルトには、スポンサー各社との契約下でその能力を駆使し、街の平和を守るNEXTによって構成されたスーパーヒーローたちが存在する。ヒーローたちの活躍は専用の特別番組『HERO TV』で中継され、その年の「キングオブヒーロー」の座を巡るランキング争いを続けていた。
つまり、タイガー&バニーは「スポンサー付きのヒーローが、番組映えを気にしながらバトルする」新感覚のヒーローアニメなのだ。もちろん、上のOP映像を見て分かる通り実在の企業がスポンサーになっている!
ヒーローを応援する人たちは、スポンサーのことも好きになっていく。まるでサッカーチームのようなアニメとなっている。
面白いので、見てないなら見てくだちい。
このようにアニメ自体にスポンサーとして介入することで「その作品自体に、自分たちの価値を作る」ことができる。オンリーワンなコラボを生み出せるのだ…。
「その作品以外には置き換えられない」かどうか
いかがでしたでしょうか?アニメタイアップの事例。
ここまで見た結論として
ここまでの話を踏まえて、初めにアップした【よくないコラボ】のCMを見てみたい…(制作に携わられた方本当にごめんなさい)
このCMって「別に野原家じゃなくてもよい」と思うんです。別にキャスティングしたエキストラ家族でも、同じメッセージが伝えられる。この「その作品以外で置き換えられるかどうか」がめちゃくちゃ重要な“良質なコラボの予防線”だ。
・これじゃないとダメ、ってくらい熱烈なファンマーケティングができるか?
・これじゃないとダメ、な共通点があるか?
・そもそも、これじゃないとダメ、なオンリーワンなアニメに介入するか?
このあたりを念頭に置けば、「よきコラボ」ができるのではないでしょうか?
皆さまが、私が、よきコラボをできますように…。
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