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「赤ちゃんを心から可愛いと思えて嬉しい」出産の環境は大切だと思った話

11月9日(月)午前6時37分、妻が3550グラムの元気な男の子を出産しました。

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(妻の指をぎゅっと握りしめる赤ちゃん。新生児の手のひらに指を入れると、握り返してくるんだよね。その姿がかわいい〜!)

次男の誕生時の身長は55センチと大きくて、誕生前に用意した赤ちゃんの肌着があっという間にサイズアウトしそうです。

彼は生まれて3週間ほどしか経っていないのだけど、顔立ちがこんなに変わっています。誕生直後はなんだかむくんでいるけど、3週間経つとなんか顔のパーツがはっきりしてきました!

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毎日おっぱいとミルクをたくさん飲んで、どんどん成長しています。まあですね、口からたくさん飲んで、お尻からよく出すんですよ。オムツ交換が大変です。そりゃお腹が空くわけです。

今年は新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が出て保育園は登園自粛になるし、妊婦さんへの感染リスクは不透明だし、産院へ入れる人が制限されたから妊婦健診に夫である僕は同行できないし……。

そんな中でも2人の子どもの命を大切に育んでくれた妻には深く感謝しています。ありがとう!!

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夏までは妊婦健診どころか、立ち会い出産もできない状態だったのだけど、病院の方針が変わって立ち会いができるようになりました。長男の誕生時には妻の隣にいて感動を味わったので今回も楽しみにしていたのですが、僕は次男の出産を目の当たりにできませんでした…。

もともと妻と僕・長男(3歳5ヶ月)は離れた部屋で寝ているので、お互いに立てる音があまり聞こえません。たとえば妻が夜中にトイレに起きても、まったくわからないんです。長男の寝相はとにかくダイナミックで、夜中に裏拳、かかと落としなんてしょっちゅうですよ。ひどいときには僕の上に乗って寝ていることがあります。息苦しいからやめてほしい…。

そんな寝相激しいマンとお腹の大きい妻を同じ部屋で寝かせるわけにはいかないので、別室で寝ることにしていました。でも陣痛発生時は、それが裏目に出てしまったんです。

妻の陣痛は早朝4時くらいに始まったため、妻は自分で陣痛タクシーを呼んで産院に向かったのですが、その際に妻が発した音に僕も長男もまったく気がつきませんでした(おい!)

まさかそんなことが起こっているなんて知らない僕と長男は、いつも通り6:50に目覚ましで起きました。アラームを止めようとスマホに手を伸ばしてびっくり。

ポップアップには早朝に陣痛があり、産院に行ったことが書かれていたからです。寝起きの悪さ選手権があったら確実に上位にランクインするであろう僕でもこの日ばかりはすぐに目が覚めました。

陣痛に耐えながら1人で陣痛タクシーに乗った妻のことを考えると、なんとも言えない気持ちになりました。だっていくら医療が発達している現代とはいえ、お産にはリスクがあります。無事だと信じてる。でも万が一ということもある。なぜ隣について妻の精神的な支えになれなかったのかと思い、悔しくてたまらなかったんです。

でも次の瞬間、僕のミッションは長男をいつも通り保育園に送ることだと気づき、朝準備に全力で取り掛かりました。長男の出産に要した時間を考えると、6:50から準備し、長男を登園させれば立ち会いには間に合う!とふんだからです。

長男を動揺させないよう、僕はあらん限りの力を振り絞って平静を装いながら、長男の好きなゆで卵とロースハム、白ごはんをお皿に並べます。でも僕はポーカーフェイスがとても苦手で、感情が顔に出がち。長男はそんな僕の心を察したのか、驚くほどスムーズに動いてくれました。長男よ、気を使ってくれてありがとう!

「よし!この調子だ!」と思っていたやさき、妻から「生まれたよー!」とのLINEが入りました

初産よりも出産にかかる時間が短い傾向にあることは知っていたけど、まさかここまでスピーディーとは思いませんでした。後から妻に聞いた話ですが、病院に着いたときには子宮口がかなり開いていて、到着後30分くらいで生まれたそうです。

LINEには、顔をくしゃくしゃにして泣いている次男の写真が添えられていて、母子の健康がわかった嬉しさに目頭が熱くなりました。

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長男を滞りなく保育園に送った後、僕は産院に急行して妻と次男に対面!!

新生児室でギャンギャン泣く他の赤ちゃんを傍目に、次男は悠々と寝ていました。

初めて見たときには、感動したなー!!

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産院でスタッフから「こちらがお子さんです」と案内され、初めて直接次男を見たときにはあまりの可愛さにメロメロでした。今でも思うんだけど、愛しすぎて食べてしまいたいくらいです。妻からは「食べたらいなくなっちゃうけど、いいの?」と突っ込みが入ります。

少し前まで妻のお腹の中にいた赤ちゃんがいま僕の目の前にいる。前駆陣痛で一度産院に来たものの子宮口が開かず、戻されたこともありました。その後予定日が近づいても一向に生まれる兆候がなかったので、家族で「次男は生まれる気があるのかな〜」なんて冗談を言って笑ったこともあったね。

そんな次男がついに世界に飛び出してきた。嬉しかったよー!

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ちょっと長くなったけど、以上が僕の出産立ち会えなかったエピソードです。

でもね、久々にnoteを書いたのは妻の出産に立ち会えなかったことを伝えたかったからではなく、2人目の出産から僕が感じたことを書きたかったからなんです。

長男と次男の出産で大きく違ったのは、「無痛分娩を選んだこと」と「産院の環境」の2つでした。

次男の出産に妻が選んだ産院は、東京都町田市にある「ベルンの森クリニック」ということろでした。自宅からは少し離れているのだけど、仲良くしているご近所さんが「私は2人目をここで産んだけど、とってもよい環境だったよ!」と教えてくれたことがきっかけで妻が興味を持ち、ここで産むことを決めたのです。

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これは外観なのですが、こんな感じでぱっと見は全く産院に見えません。クリスマスのシーズンなので、建物がライトアップされていて夜はとても綺麗でした。

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内装も美しくて、受付や待合スペースはホテルみたいです。新型コロナが流行っているからか、マスコットキャラクターもマスク着用です。

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陣痛室や分娩室もぱっと見で「いかにも医療現場!!」という印象を与えません。妊婦さんに余計な緊張をさせない配慮があるように思えました。

産後の入院環境も素晴らしいです。ベルンの森クリニックで出産した女性は総合病院でありがちな大部屋はなく、基本的には個室で過ごします。

部屋もまるでホテルの一室のように整然としているし、スタッフが身の回りのケアを行ってくれます。いたれりつくせりで、まるでお姫様のような入院生活を送ることができました。そんな環境もあって、2人目出産後の妻はかなりリラックスしていました。

出産の痛みの軽減が、産後の状態に大きく関わったと僕は感じます。

長男の出産にあたって妻は、自宅近くの総合病院での自然分娩を選択しました。自然分娩とは、帝王切開のような医療的な介入をせず、文字通り自然な形で赤ちゃんを産むこと。個人差はありますが、相当の痛みが伴います。

なにしろ出産の痛みレベルは指の切断に匹敵すると言われますからね…。麻酔なしで指を切られるなんて考えただけで身の毛がよだちます。それほど痛いのに麻酔をせずに産むわけですから、つらくないはずがありません。

長男出産時に僕は立ち会いをして妻の横にいましたが、痛みのあまり廊下まで響くほどの大声を妻があげる様子を見て、身震いしたことを覚えています。妻はその経験から、「第二子は絶対に無痛分娩で産む!」と決意していました。

無痛分娩とは、腰や背中から麻酔を打って分娩時の痛みを軽減する処置をすることです。

陣痛は感じるので出産にかかわる全ての痛みを取り去れるわけではありませんが、赤ちゃんを産む時に感じる痛みが緩和されるので、母体の負担は軽くなります。日本では自然分娩が多く、無痛分娩の実施率は一割にも満たないですが、アメリカやフランスでは7から8割に達しています。

痛みはストレスに直結するし、心身を疲弊させます。たとえば虫歯で一晩中歯が痛かったら眠れませんし、とても前向きな気持ちになれませんよね。歯痛でこんな感じですもん。指切断レベルの痛みの出産で妊婦さんが心身に受けるダメージはかなりのものがあると思うんです。

もしかしたら、出産では我が子に会える喜びとか、ホルモンの働きなどによって、女性が相当なレベルの痛みを耐えられる「何か」があるのかもしれません。

仮にそうだとしても、ただですら妊娠中に女性の体内ではいろんな変化が起こっているし、分娩では骨盤や腰に負担はかかり、時に陰部に裂傷を負うことを考えると、出産の痛みを意図的に軽くすることの価値は大きいと僕は感じます。

出産後には赤ちゃんとの生活が始まるわけですが、その暮らしは痛みであふれています。授乳でおっぱいと乳首は痛み、子宮がもとにもどろうとして痛み、会陰切開をしていれば陰部もズキズキして座るのがつらいこともあります。だからこそ、産後の暮らしを考えて、お産のときの痛みを和らげることは大事だなと思うのです。

とまあこんなことを書いたのですが、妻は無痛分娩を選んだものの、実は自然分娩で次男を産んでいます。

どういうことかというと、冒頭でチラッと話した通り、妻が産院に着いた時には子宮口がかなり開いていてお産が進んでいて、無痛分娩の処置が間に合わなかったのです。

結果的に自然分娩になったものの、「『自分は痛みを軽くした状態で赤ちゃんを産める』と思って妊娠生活を送れたので、精神的には楽だった」と妻は話していました。

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(11月2日、前駆陣痛で産院に行ったときの写真。この日は子宮口が開かず、帰されてしまいました)

実際のお産で痛みを軽減できるのはもちろん大切なのだけど、「出産の痛みを軽くできる!」と思いながら生活できたことが、妻の安心につながりました。スムーズなお産もあいまって、次男出産後の妻の心と体にはゆとりができたのです。

「長男の出産はとても痛かったし、産後には夜中の授乳スケジュールが決まっていて、ゆっくりする時間が持てなかった。お腹もお股もおっぱいも痛いのにあんまり休めなくて、気持ちの余裕がなくなってしまったんだよね。だから産後、長男のことを心から可愛いと思えないこともあって、そのことが悲しかったんだ。でも、いま次男のことは心から可愛いと思えていて嬉しい」

妻が個室で発したこの言葉を聞いたとき、出産の痛みを取る手段があるなら、それを使ってみることの大切さを痛感しました!

手術では当たり前のように麻酔をします。まさか麻酔なしで受けようとする人はいませんよね。

でもお産については、かなりの痛みを伴うのに麻酔を打たずに産むことが多い。今回初めてそのことに僕は疑問を抱きました。

なぜなのかを自分なりに考えたところ、背景には痛みを経験してこそ、親になれる、みたいな考えが根強いのかなと思いました。

実を言うと、この考えは僕も持っていたんです。「お母さんなら、どんな痛みにも耐えられる」や「お産の痛みが親になるための通過儀礼」のように。

でもそれって、本当なのかな?帝王切開では分娩の痛みはありませんし、陣痛すらもない状態で赤ちゃんを産むケースがあります。でも親子の絆が得られないなんてないと思うんです。僕の知人で帝王切開で出産した女性がいますが、お子さんをめちゃめちゃ可愛がっていて、見ていて微笑ましいです。(ただお腹を切るので、術後は痛いと聞きますが…)

麻酔なしで手術を受ければ、その痛みの激しさから体をより労るようになるのかなぁ…。たとえがちょっとオーバーですが、「お腹を痛めてこそお母さん」みたいな考えは、これと同じ理屈に僕には聞こえるんです。

調べまくればお産の痛みと子どもへの愛着の関係性が実証されてるかもしれないけど、軽くできる痛みは軽くしてお母さんの心身にゆとりをつくり、その後の生活に前向きに臨む環境を整えることも大事ではないかと、妻の様子を見て僕は心から感じたんです。

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痛みの緩和だけではなく、2人目の出産では産後の環境も一人目とは違いました。

繰り返しになるのですが、ベルンの森クリニックでは産後の女性が手厚いケアを受けます。面会で妻の個室に行くと、妻はいつもニコニコしていて、本当に過ごしやすいのだろうなと思いました。

このクリニックでは産後の女性のことをゲストと呼び、病室ではなく客室と呼んでいました。ゲストですから、いたれりつくせりです。

プロのマッサージ師さんが客室に来て施術をしてくれるし、3時のおやつの前にはスタッフが「どんなお茶がよろしいですか?」とオーダーを取りに来てくれます。まさにホテルのルームサービスですよ。

それにご飯がめちゃめちゃ美味しくて、ここはレストランかな?と思いました。

これはある日のお昼ごはんです。

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とっても美味しそうじゃないですか?

この日は中華だったのですが、カニチャーハンのトロミ具合は絶妙だし、麻婆豆腐は本格的!事前に希望を出せば面会に来た人の食事も用意してくれます。妻と次男と同じ空間で食べられて、幸せな気持ちになりました。

あとこれは出産当日のお昼ごはん。

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肉~!!

妻から何切れからもらったのですが、お肉は柔らかくて、満足度が高すぎました。

病院だと食器がプラスチックなことが多いですが、ベルンの森クリニックではお皿が美しいのが印象的でした。陶器やガラスの器に盛りつけられていると見た目の色や触ったときの感触もあって、食事の時間がより豊かになる。こうしたちょっとしたこだわりが、心地よさを感じさせてくれました。

落ち着いた環境に美味しい食事、マッサージのような体のケア。ここでは産後の女性が心身を休ませることに集中できます。

産後はとにかく、休むことが大切。日本でもかつては「床上げ」の文化があって、産後、21日間はとにかく横になって心身の回復に努めていました。お母さんが休んでいる間は、家族や地域の人が交代で家事や育児を担ってくれていたんですね。

でも現代は核家族が多くて、家のことをしてくれる人の手が圧倒的に足りません。僕ら夫婦も含めて、家庭内でマンパワーを駆使してどうにかしている人は多いと思うんです。時間に追われるし、バタバタしている間に赤ちゃんが泣いてミルクだ!オムツ交換だ!となって、落ち着いてコーヒーを飲む時間もない。

そのやり方だと、どうやっても誰かが無理をしないといけないし、なんだか疲れてしまう…。

産院でどんなに手厚いケアを受けても、退院後に激務とワンオペで家事・育児をしてしまったら、心身があっという間に参ってしまいます。「退院=もう元気、無理してOK」という意味ではありません。

長男出産後、僕はこの点を勘違いしていて、妻に家事と育児の負担を負わせてしまい、産後の不調に繋げてしまった経験があります。あのとき僕は、「入院期間は終わったし、もう大丈夫だろう」と安易に考えていたのです。

1人目の育児での経験をふまえ、2人目では産後の妻のケアと家事について、初めての試みをしています。そのへんのところを後編のnoteでお話したいと思います。

お読みくださり、ありがとうございました。

薗部雄一
charoma0701@gmail.com

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