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僕は、病気を受け入れることにした。

脳脊髄液漏出症(CSF leak)という病気になって、
今日でちょうど1年が経ちました。

脳脊髄液漏出症とは、脳と脊髄を取り囲んでいる「髄膜」に何らかの理由で穴が開き、そこから脳脊髄液が漏れ出す状態のこと。脳脊髄液は脳と脊髄を保護し、衝撃から守る役割で、この脳脊髄液が減少すると脳が直接頭蓋骨に接触する可能性があるため、頭痛やめまい、耳鳴り、視力低下などの症状が生じ、相当まれに認知症、脳卒中、昏睡などが報告されています。

出典:SPINAL CSF LEAK FOUNDATION

仕事で伊豆大島での撮影を行っている際に発症し、
僕の場合はひどい起立性頭痛により頭を少しでも動かすと激痛が起こる症状から始まり、首や肩甲骨間、腰のひどい痛みや倦怠感、少しの認知障害(ブレインフォグ的なものや記憶が曖昧になるなど)が続いています。

昨年一瞬改善した時の画像:下が酷かった時。漏れている。

2度の手術と4度の入院を重ねてきて、

あと1,2週間安静にしたら大丈夫かも。
この手術で完治するはず。
寝たまま1ヶ月過ごしたら治るかもしれない。
次の手術で治る、きっと。

そう思って、過ごしてきました。
でも、今回の手術では改善がほぼ見られずで。
「希望の喪失」となりました。

自分で言うのもなんですが何があっても前向きで、絶対に折れはしないと思って生きてきた自信がありました。
でも、さすがにメンタルにきてしまって、あまり体験したことのない絶望を感じてしまいました。ずうっとずっと支えてきてくれた妻に吐露できたことで、何かひとつ区切りがついた気持ちになりました。

振り返ると、病気になってからというもの、たくさんの人の助けによって、自分がどれだけ幸せであったのかということに、本当にたくさん気づかせてもらえました。
波が凄まじかったこともあり、全ての人に伝えたい感謝は始めた数個の投稿で終わることが続いていますが(ごめんなさい)。
自分が一度この世からいなくなったのかと思うくらい、日頃お世話になっている人たちに愛情をもらえました。

- 大丈夫?といただくメッセージの数々。
- 休んで!安心して、全て任せて、と仕事を巻き取ってくれる人たち
- 家まで飛んできてくれる人たち。
- 何かの足しにしてくれと、いろんな支援をしてくれる人たち。
- とんでもない長文やメッセージ動画をくれる人たち。
- 元気になったら一緒に仕事しようなと言ってくれる人たち。

その全てがとても勇気で、
生きていてよかったと、毎日毎日思うことができました。

決意を受けた昨日の藤井家の食卓 by妻


同時に、頭痛で起き上がることもできなかったり、背中と首が地面から全力で引っ張られているような鈍痛で、起きていても寝ていても何をしても集中できなかったり、脳が揺れたせいか記憶が曖昧になっている部分があったり、元気だと思った次の日に急に身体が動かなくなったり、

治るんだという僕の強い思い込みが、
恩返しをしなければという僕の気持ちが、ひとつひとつの症状の変化に一喜一憂してしまい、

「完治しました、これからバリバリやらせてください!」
「すみません、やっぱり再発してしまいました。」
「手術来週には治っていると思うので、がんばります!」

と言った浮き沈みの多いコミュニケーションになってしまい、自分自身も謝罪をする機会が増えたし、関わってくださる人たちにも負担をかけてしまうことになりました。未熟でした。

もとより、僕は人より多く走り回って、アップアップしながらも全力で取り組むことで価値を発揮してきた人間で、その僕にとって、動ける時間が圧倒的に減ったり、考えることができなくなることは恐怖でしかなく、自分が自分らしくなくなっていくような気になって、
辛くて苦しくて悔しい、そんな状況でした。

世の中にはたくさんの苦しい状況の方々がいることは想像に難くないですが、僕にとっては大きな現状でした。

なんとかその現実から目を逸らそうとしてしまっていたのかもしれません。受容することに、たくさん時間をかけてしまいました。

だけど、今日で1年。
これ(脳脊髄液漏出症を抱えて生きること)が当たり前なんだというところからスタートしようと思うことにしました。

何をして、どう力を発揮できるのかを見極めながら、
休んでも状況は改善も悪化もしない(現状は理由が明快にならないため)ですし、何より休んでいることが最もストレスがかかる人間ということも強くわかり(分かってたけど)、
もちろん、大きな無理をすることは問題外ですが、

たくさん考えて、たくさん向き合って、
僕はこれを抱えて生きていくことにしました。
歯を食いしばって、克服してゆきます。

たまに苦しい顔をしたり、ふとした時に痛み止めを服用したりするかもしれませんが、無理のレベルに行く前に自分でコントロールすることを約束しますので、
「頑張っとるな」
と笑っていただけるとありがたいです。

とても勇気をもらいました。宮崎駿さんありがとう。


弱々な気持ちになれたこともあったので、これを記録しておきたく書きました。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。

克服します。

Photo by Hiromichi Tanaka

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