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効果的な目標設定の方法

生産性をあげるために何が必要?今回紹介するのは、数年前に話題になった本なので、読んだ方も多いと思います。

モチベーション3.0 ダニエルピンク著


人間は金銭だけをモチベーションの源泉として働いているという考え方に問題定義を投げかけた本です。

産業革命が始まって以来、金銭によって従業員のモチベーションを上げようとする方法がいまだに主流になっていることを問題視しています。
単純労働から創造的な仕事をする人が増加しているため、これまでの外的報酬だけで働いてもらおうとする考えは時代遅れなのでは?と疑問を投げかけています。

お金よりもやりがいを重視する人は、以前から少なからずいたわけですが、様々な実験結果を引用して科学的根拠を提示していることが説得力を持たせてるなと感じました。

本書では、人間のモチベーションを3つの段階に分けています。
・モチベーション1.0
生理的要因。睡眠や空腹など人間が生きていくうえで必要としている根源的な欲求。
・モチベーション2.0
金銭や名誉などの外的報酬を目的にしたもの。人間は、この2.0を軸に働くと考えられてきた。
・モチベーション3.0
内発的動機づけに基づいたもの。例えば、自分の成長のため、社会への貢献のため、誰かの役に立ちたいため、

創造的な仕事が増えている現代では、2.0の動機付けは、生産性を低下させることもある。
こんな実験結果が紹介されていました。

子供に絵を描かせる。
Aグループは、描き上げたら、賞状がもらえることが約束されている。
Bグループは、何ももらえない。
2グループとも描き上げた。
後日、同じ課題をさせる。今度は、どちらのグループも報酬はなし。

結果:
 Aグループの達成度はBと比べて著しく低かった。


要は、絵を描くことが目的ではなく、賞状をもらうことが目的にすり替わってしまった。
外的な報酬(これをしたらあれがもらえるといいった交換条件付きの予期された報酬)によって、第三の動機付け(内なるモチベーション)が消え去ってしまったということだと思います。

モチベーションの源泉が、金銭か内発的動機づけかの問題というよりも本書でも紹介されていた「鼻先のにんじん」という例えが、個人的にはすんなり納得できました。
金銭というにんじんをぶら下げられたことによって、本来の目的(上の実験では、絵を描くこと)がおざなりになってしまうということ。

いわば、短絡的な目標設定によって気持ちに余裕がなくなる、視野が狭まってしまう。ということだと思います。

実際、本書では
高額の基本給は魅力的なボーナス構造よりも業績や組織への貢献度を高める効果があると他の経済学者も証明している。

ことが紹介されています。
これは、金銭へのこだわりをなくし仕事を打ち込みやすくする、気持ち、考えに余裕を持たせてくれることに繋がり、このような結果になっていると感じます。

また、あらかじめ報酬が決められた作業(アナグラムや数字を記録)をさせる実験においても、一番高い報酬をもらえるグループが一番作業完了時間が遅かったとの結果も紹介されています。

これらは、下記の本で書かれている内容と本質的には同じことだと思います。


欠乏=心や気持ちに余裕があるかどうかが意思決定や処理能力に大きな影響を与えることを解説しています。


視野の狭窄に陥らないような目標を立てること、そして心に余裕があることの大切さを実感させられました。

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