「切り抜き動画がほしいなら、黙ってオタクに任せとけ」って思う、3つの理由
することはないだろうと思っていたのに、TikTokの投稿側になって数か月経った。自分起点のゼロイチが得意ではないし、自分自身の動画を世界に流してと言いたい部分も特にない。それでもいつの間にか毎日投稿をしている今がある。それは「切り抜き動画」というものに出会ったからでしかない。
「切り抜き」と一言でいっても、それはとても奥が深い。同じ1時間の生配信動画の切り抜きをする人が何人いても、ひとつとして同じものはない。そしてそこに、瞬時にスワイプされてしまうものと、何千回・何万回と再生されるものとの差が生まれてくる。同じ素材からつくっているのに、すごいよね。
個人的には、TikTokの切り抜き動画の制作は確実にライターのプラスになる要素しかないと思っている。しかも、わたしのような偏愛型のライターさんなら、息をするように自然とできてしまうはず。偏愛タイプのオタクが切り抜き動画にハマる理由を、書き並べてみようと思う。
理由1. ここ!という“推しポイント”を見つけるのが上手すぎる
切り抜き動画づくりは、素材から使う部分を選定する作業から始まる。このとき、論理的な人なら「今回のコンセプトは~~~なので、こういうシーンを集めて……」などと設計していくのかもしれない。が、私たちオタクは、一度通しで見たら自然とできる。
その基本は、こんまりさん流片づけと同じ考え方を使う。その世界を「ときめくかどうか」で見る。そしてどんなに素敵なシーンの連続でも、特に強くときめくシーンを選び取ることができる。日々、キラキラ輝く対象を見ているので、ベースが輝いているものの中から一際輝きが強いものを見つけ出す力は鍛え上げている。
オタクの面白いところは、視点だろうとわたしは思う。「見る目がある」という表現があるが、注ぎ込める対象を見つけられている人は見る目があるんだ。そして光るポイントを見つけられる目をもっている人たちだけが、そのジャンルを味わって楽しめるオタクになるのだ。きっと。
理由2. “惹きつけられる構成”を感覚として体得している
オタクは、人を惹きつける動画の構成も作れるはず。なぜなら、日々ライブやアニメなどのコンテンツを摂取し、自分が散々惹きつけられる側を経験しているのだ。選んだ素材をどんな流れで使えば見る側を夢中にできるのか、分かる人が多いだろう。
動画の構成を考えることは、コンサートのセットリストを組むのと近い。あれは、見る側の感情をどんな風に動かしたいかによって流れが作られる。年間何十回、何百回とコンサートや舞台を観ているちにいつの間にか、「きっとこういう意図でこのタイミングでこの演出を入れたんだろうな」と制作側の視点が分かるようになっていた。人はひとつの出来事に対し、感情が最も高まったときと、ラストの2か所で全体的な印象を判断する、ピーク・エンド法則。あれはライブでもその通りだなと、日々の現場で実感している。
ショート動画が主流の現代において、惹きつける経験のある人は強い。2秒以内に興味を引けなければ、すぐに次にいかれてしまう世界だ。最初に何を見せたら惹きつけられるのか。少なくとも「自分だったら」を持っている時点で、0から動画編集を学ぶ人よりずっと強い。
理由3. “ハマる”が分かっているから、ハマらせられる
動画は、1本見てもらえば終わり! めでたしめでたし、ではない。その後に、気になってその人の他の動画も見るとか、継続的に見たくなってフォローボタンを押すとか、もしかしたら商品を購入してもらうとか。切り抜き動画があったらと思える内容であれば、ハマって、何かしらの行動をしてもらう目的があるはず。それならやっぱり、オタクが強い。
“ハマる”が分からない人に、人々が“ハマるもの”をつくるのは難しいんじゃないかとわたしは思う。マーケティングの手法を使って論理的に組み立てることもきっとできなくはない。けれど最後、ハマるかどうかって結局は感情の部分が大きい。「どこが好きとか、もはや説明できない。だって全部が好きなんだもん」とかなる世界だ。世界がその対象に染まって見えるほどになる。となると、理論ではつくりきれない、感覚的なものが最後には必要な作業なんだ。
オタクは“好き”というポジティブな感情だけに浸っていたいと願いながらも、「こういうのはうれしい!」「こういう風にされるとイヤだ」「これをされたらもう好きではい続けられない」と様々な心の動きを経験している。”ハマらせる”を設計することはかなり高度だけれど、”ハマらない”要素を減らすことならできる。オタクの「なんかイヤ」は、単なるわがままではない。それだって一つのセンスだ。これから磨こうたって、一朝一夕では身に付かない、一つの貴重な才能なんだ。
オタクって、謎に能力高いのに持て余してる人が多すぎる
「切り抜き動画がほしいなら、黙ってオタクに任せとけ」
ここまで書いてきたような理由で、心底私は思っている。対象にもよると思うけれど、しっかり布教という名の魅力紹介をしてあげて、担当制にしてあげたらしっかりハマっていいもの作り出せると思うんだ。
今回はわたしが今、TikTok動画編集に時間をかけているという理由で切り抜き動画を作るなら~という話をしたけれど、どの分野でもオタクをもっと使ってほしい。強すぎる「好き!!!」を抱えている我々オタクは、気づかぬ間に好きに付随してさまざまなスキルを、かなりハイレベルで習得しているので。
さしあたって、「本当にオタクが切り抜き動画をつくるといいものができるのか?」はわたし自身もしっかりと確かめたいところ。「それならうちのサービスの、社員の、動画ちょっとつくってみてよ」という企業・個人の方いらっしゃったら、ぜひコメント欄やDMでご連絡ください。イベントはもちろん、セミナーとか、ある程度の動画素材があるものならやれるはず。一緒に実験してみましょう~^^
動画に限らず、熱量注いでいるうちに身に付いたスキルを持て余している! という方もただいま募集中。一緒に楽しいことしましょ。
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