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濱松の歳時記

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忘れ去られそうな浜松の風習や年中行事の歳時記で一句詠んでみました。
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記事一覧

濱松の歳時記 9月

二百十日   避難マウンド二百十日の人はゐず 防災の日   座布団や前後に長し防災日 二学期   靴音や二学期の朝ドア閉まり 秋の蚊   秋の蚊や宴会場の飛び疲れ 秋の蚊帳   聞こえ来ぬ秋の蚊帳吊る手も重し  蚊帳の別れ   回廊の果てに積み置く別蚊帳 秋の蝶   どたどたと秋の蝶追ふ学者かな 白露   水出しのかをり去りゆき白露の日    蜻蛉   隊列の順番待ちて赤蜻蛉  糸瓜   自己主張全部それぞれ糸瓜揺る 二百二十日   棚田道二百二十日の落暉かな  秋の夜   

濱松の歳時記 8月 

大歳神社(天王の花火)   待ちに待ち天王花火傘さして 花火   落ち着かぬ花火の音のあちこちに 素麵   ケアホームつるり素麵願い事 西瓜   落とさぬとハンドルさばき西瓜揺る 蝉取り   蝉取りに見たこともなき友も来て 七夕まつり   七夕や難読文字を偉そうに 立秋   立秋や鏡が体躯若さなき いぐさ干し   強光と熱さの作りいぐさ干し 日射病   介抱をされてみたくも日射病 ビール   ビールだけ門前払い冷蔵庫 盆踊り   子らはしゃぎ見様見真似で盆踊り 遠州浜の夏祭り

濱松の歳時記 7月

海開き   色いろいろ浮き輪の走り海開き 山開き   山開き兄はいそいそ富士山へ プール開き   縁に立ちプール開きの笛の音 弁天島の花火大会   定時ベル弁天島の花火の日 浜垢離   浜垢離や屋敷周りの浜の砂 小暑   アイロンや手拭ピンとけふ小暑  七夕祭   唾つけて七夕祭のこよりより 笹流し   七夕や瞼こすりて笹流し 内施餓鬼   一人欠く兄弟揃ひ内施餓鬼  寺施餓鬼   寺施餓鬼谷のタイヤの続く音 盆仕度   篭盛の届く六畳盆支度 盆飾り   花花と妻の望みの盆飾

濱松の歳時記 6月

蛍   指先の光る蛍のむず痒く 衣替え   衣替え朝の電車の明るさよ 鮎解禁   鮎解禁去年迄友や川に向き 虫歯予防デー   がらすきの虫歯予防デーの歯医者 厄病除け   無花果の葉厄病除けの線香よ 芒種   音もなく水流れ込み芒種かな 時鳥   電線やぐらぐら揺れて時鳥 田植え   女だけ田植えは進む声進む 閑古鳥   閑古鳥姿見せずに尾瀬の道 時の記念日   店巡り時の記念日の賑わい 梅雨   流れゆく色無き窓の梅雨景色 農繁期   あの家も見知らぬ人が農繁期 油虫   

濱松の歳時記 5月

メーデー   メーデーや分かつ長袖半袖ぞ  八十八夜   蒸気の香八十八夜舞ふ白さ 憲法記念日   露の戦憲法記念日の平和  浜松まつり   時報打つ浜松まつりの開戦  五社神社   浜松まつりの練入り五社神社   端午の節句   木登りや端午の節句凧はるか  子供の日   でか軍手凧糸を引き子供の日  立夏   半袖やクローゼットもけふ立夏 母の日   母の日や水切直し白花瓶 バードウィーク   生態系バードウィークのパンの 竹の秋   石投げやこんこんこんと竹の 麥笛

濱松の歳時記 4月

エイプリルフール     エイプリルフール騙されまいと有給に 四月バカ    四月二日未だ使ってる四月バカ 花見    人だらけ埃喧噪花見かな 桜まつり    ぼんぼりの消灯早き桜まつり 清明    清明の波の泡音中田島 桜餅    去年の葉やかをりも食べて桜餅 入学式    袴姿が入学式の出会いかな 姫様道中    桜舞ふ姫様道中姫も舞ふ 花冷え    花冷えや公園一人敷くシート  れんげ草    股上げてぴょんぴょん跳んでれんげ草  菜の花    菜の花や畑の端に

濱松の歳時記 3月

春雨    改札や迎えの来ない春の雨 東風    借金の担保となりぬ東風の歌 桃の節句    雛のゐぬ桃の節句の広き部屋 ひなまつり    三尺やぶらぶら遊びひなまつり 学芸会    母の縫ふ学芸会のその他かな 啓蟄    啓蟄や原発のそばロシア軍 花学院の初午    花学院飾り初午鈴の鳴り 苗床    ふかふかと跳ねて苗床温しかな 蘆の角    長靴や転べぬ沼の蘆の角 春雨    傘がないしゃれて一気に春の雨 東日本大震災    こんな場所思い出させる東北忌 山焼く

濱松の歳時記 2月

二月    まだ温し骨壷の妻けふ二月 初春    初春や風がJA人疎ら 節分・豆まき・なた餅・木を叱る・ヤイカガシ    恵方巻今宵壬(みずのえ)偏(ひと)へ食み 偏:ひたすら 立春    立春やもう着ぬ妻が衣類減り 初午    初午や先頭に立ち祈る父 なた餅    なた餅や箕の新しき舞ふきな粉 山の講    川に向き叫ぶ大声山の講 八日餅・事始め・おんべ・針供養    母と搗く父残業の八日餅 針供養    お喋りもけふはしずしず針供養 木を叱る    そっと鉈低き首(こうべ

濱松の歳時記 1月

元日・初詣   お神楽 お年始 お年玉 年賀状 お雑煮 初日の出   縦並び父の下駄音初日の出 初夢・とろろ汁   とろろ汁薬も飲めぬ姉が喉 初荷 若水迎え 書初め   部屋拡げ墨の香占めて書初めぞ 初山   初山や石鹸かをり作業服 初競り   初競りや幟舞はせトラック来て 小寒   小寒の動かぬ釣瓶省く顔 出初式   出初式バルコニーからクラスの子 七草粥   母が節七草粥の鳥が歌   七草やストトントンとこぞ(去夜)叩き 成人の日   ぎこちない成人の日や選挙権 だるま市

濱松の歳時記 12月

百八つの鐘    風呂の中百八つの鐘数えられ 除夜の鐘    那智黒を百と八個の除夜の鐘 年越しそば    うどんやの年越しそばは仇なり まかない残し    一膳のまかない残し神棚に 大晦日    することもなくする仕事大晦日 大祓い    隙間風神殿正座大祓い お供え    お供えや今年のサイズ父次第 しめ飾り    掃除終え父が出番としめ飾り 大掃除     抜ける風裏まで見えて大掃除 餅搗き     妻の言う暇でもすんなくんち餅  おせち料理    

濱松の歳時記 11月

切干大根    突っ切りて並べて切干大根  浴衣干し    風に舞ひ色鮮やかに浴衣干し  空っ風    空っ風佐鳴湖の葦片葉にし  渡り鳥    佐鳴湖や映る夕日の渡り鳥  秋の火災予防    連れ立ちて秋の火災予防の聲  小雪    ちらちらと細葉に映えて小雪よ  新嘗祭    祢宜開く新嘗祭の御簾の奥 勤労感謝の日    この会社勤労感謝の日仕事 椎の實    風強し椎の實だけが待っていて えべすこ    えべすこや赤いはんぺん桜ご飯 恵比須講    恵比須講絹網の待つ太

濱松の歳時記 10月

落穂拾ひ     見渡せて落穂拾ひに風の押す 秋の夜長     ながながと秋の夜長の手紙かな 灯火親しむ     マンガ借る灯火親しむ図書カード 読書週間     窓際の読書週間席のなく 柿     柿喰えど鐘ぞ遠くに鳴りもせず 枝豆     熱々の枝豆分けて赤き指 毛芋     指先に力をつるり毛芋剥く 団子     真ん中を力を込めてへそ団子 豆名月     縁側に差し込む光豆名月 十三夜     雨戸閉む明日は晴れるか十三夜 村芝居     村芝居しゃべる道草道つくり