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教育のオンライン化が進むと履修主義よりも修得主義の方がいいのではないか?

昨今、コロナの状況下において、休校状態が続いておりますね。皆様はこのGWいかがお過ごしでしたでしょうか。

このGWはオンライン飲み会、オンラインセミナー、など何かと「オンライン〇〇」が世間を賑わせています。もちろんオンライン学習も一つ大きなトピックスとして取り上げられています。

今日はオンライン学習においては、履修主義よりも修得主義の方が良いのではないかという話について書いていこうと思います。まず、履修主義と修得主義ってなんのこっちゃと思いますので、こちらにまず定義を載せていきます。

履修主義:履修主義は、出席日数に不足がなければ成績にかかわらず進級・卒業を認める考え方(コトバンク参照)
修得主義:修得主義は、教育の目標に照らして一定の成績を修めていることを条件として進級・卒業を認める考え方である。 (コトバンク参照)

コトバンクさんによると上記のような記述がありました。簡単に言えば、出席日数によって進級が決まるのが履修主義。そして、修得主義とは、到達度をベースにし、その到達度が教育目標の定める成績をクリアしていれば進級ができるという考え方です。

基本的に、日本は「履修主義」に則って学校生活を送っているわけです。しかし、今回コロナの影響で休校になった状況下において履修主義的な考え方は難しいのではないかな、と思うようになりました。

この記事にあるように出席扱いになる学校もあれば、なかなか制度的に難しい学校もあることが見受けられます。中には、オンライン授業やオンラインHR(ホームルーム)を行うことで、それらを授業数や出席数とカウントすると定める学校もあります。しかしながら、オンライン上で出席を確認する。なんだか意味があるようなないようなという気がします。

ここで、そもそも履修主義のメリットはどのようなものが考えられるでしょうか。

・しっかりと出席していれば義務教育課程において進級することができる

これしか考えられないと思います。いかにも高度経済成長期に確立した社会システムで、年功序列的な制度の名残のような気がします。もちろん小学校入学から中学校卒業までの生徒数をコントロールできることはメリットかと思います。確かに義務教育課程は9年間だ。というのはわかりやすいです。一方で、それによって高校に進学して一層苦しむ生徒もたくさんいるのは事実です。

ましてや、オンライン学習環境下において、あまり出席という概念は意味をなしていないように思えます。

修得主義のメリット

一方で、修得主義に関しては、教科の内容理解度で測られる指標になります。この学期は、ここまでの単元において最低限〇〇%の理解水準を満たしていなければならない。などと基準を設け、そこに対してオンライン授業や各自の学習によってその水準まで到達できるように各自努力するスタイルです。自分の成績は自分が責任をもつスタイルですね。

もちろんスローラーナーや勉強嫌いな生徒が本当に修得主義に倒した時についていけるのか。という懸念点はあります。その懸念点をカバーするための施策は用意すべきでしょう。例えば、先生がコーチングの役割として、定期的に1on1の機会を設けて、悩みや難しいところを聞いてあげる。など工夫は必要です。しかし、むしろオンライン学習だからこそ、自分のペースで学習できるという点においてはオフライン学習よりも優れています。

ですので、しっかりとモチベーションやつまづいたポイントに対して瞬時且つ適切に対処できる仕組みを構築できれば、修得主義でも十分やっていけるのではないかと考えています。

外出自粛で登下校が難しい2020年。そもそも出席管理やどこから授業とみなすかの線引きが曖昧な状況において、試験的に修得主義的なシステムを試してみるのはいいのではないかと思っています。

また、文科省では、この二つの考え方について以下のように述べています。

文科省のHPをみてみると、曖昧な記述になっています。その他色々とリサーチしてみましたが、具体的に何かが決まっているような記述は見当たりません。まだまだ具体化させるための時間と検討は必要そうです。

履修主義と修得主義の考え方は社会人になっても同じ

実はこの考え方は、学校教育現場だけでなく、現代社会でも同じことが言えると思います。言い換えれば、履修主義は、無遅刻・無欠席の適度な残業みたいな感じで、毎日出勤し、みんなの帰宅時間まで残業している現代社会のことを指している気がします。

最近のベンチャーやスタートアップは修得主義的な考え方で、例えば、来週の火曜までにこのタスクをこなしておくこと。この開発が終わっていること。などそこまで達していれば、どんなに労働時間が短くても良しとされます。

自分のペース、自分にとって最適な、を目指すのであれば修得主義がいいでしょう。

とはいえ、履修主義だからできることもある

これは、外出自粛中の皆さんなら少しは思う節はあるのではないでしょうか。全て個人に任せられていると、セルフマネジメントが重要になります。自分を律し、目標を定め、コントロールしなければなりません。できる人、できない人が出てくると思います。

そのような意味では、最低〇〇日はみんなで顔を合わせなければいけない。というようなメリハリを強制的に定められていた方がいいという場合もあります。厳しい言い方をすれば、制度慣れしている我々においては、思考停止して動けるので、そっちの方がいいのかもしれません。

しかし、小学校低学年など明らかに成長段階においてセルフマネジメントが困難な割合が高い年齢層に対しては、履修主義の方が良いです。

まとめ

以上、履修主義と修得主義をそれぞれ見ていきましたが、どちらかに100%倒すのは違うと考えました。どちらも良い面もあれば限界もあります。とはいえ、現状オンラインでの学習が強いられている状況下においては、できるだけ修得主義的な考え方で、どのような工夫をすれば、この単元の理解を深められるのかということを日々先生たちは考えられているのではないかと思います。

私自身も先生の皆様と対話を重ねながら、少しでもお手伝いできることがあればしていきたいと思っています。

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