👀私の視点［公立小中からボーディングスクールを目指せるのか］

この記事も私個人の意見です。

インターナショナルスクール出身じゃないとボーディングスクールには通えないのでは？とたまに聞かれます。

たぶん英語力や、教育内容や指導方法への慣れを心配されているのかと思います。

日本の公立小（私立小も）からアメリカのボーディングスクールへ。 私は、目指せると考えています。

もちろん個人差あります。（インターに行ってる子もそうです）

英語力をつけられるなら、やるに越したことはないです。今はインターにいかなくても手段はあります。

でも英語力さえあればボーディングスクールに行けるかっていうと、ちょっと違うと思います。

たとえば

たとえば日本語が年齢相応に話せて授業にも問題なくついてこれるアイスランド出身の高校生がいたとして、その子に「あなたなら日本の全寮制の高校に余裕で入れますね」と言い切れます？

（ちょうど昨日アイスランドについて調べていたので）

まず、そもそもそんな子がいたら「どうしてそんなに日本語話せるの？」「うちの学校に来て何がしたいの？」「なぜわざわざ日本へ？」「とはいえ本当にうちでやっていけるの？」って真意を確認したくなりませんか？

少なくともアメリカのボーディングスクールの多くはそんな感じです。
インターの成績証明書とTOEFLスコアを提出して「ほら、英語ができるんです」「インターでも英語の授業を受けてました」というだけで目指す場所ではありません。

（そもそもインターに行っていればTOEFLでいいスコアが取れるのも盲信。じゃあ日本の学校行っていれば国語のセンター試験で自動的に高得点取れますか）

出身校の種別が関係ない理由

英語力はもちろんあったほうがいいです。

でもボーディングスクールは、英語力とあわせて学ぶ姿勢、好奇心、周りと関われる力を評価しています。

（ただし、一部の超トップ校ではロケットスタートができない子は弾かれますし、そういう学校には無理して入らないほうがいいと個人的には思います）

1. 入学時から英語はできるけど、殻に閉じこもるAさん。

2. 英語はギリギリだけど、気にせず周りと関わろう（engage）とするBさん。

多くの学校からすると、後者のBさんのほうが育てがいもあるし、成長を期待できます。

Bさんのようなひとが、ボーディングスクールを目指したいならどんどん目指せばいいと思います。出身校の種別は関係ありません。

学校によってはESLなど留学生のサポート体制をばっちり整えています。

ちょっと思い出話

といっても私が2001年にボーディングスクールに出願したとき、それはそれは引っ込み思案でした。自分から発言するのはとても恥ずかしかった。注目されるのも大嫌い。それ自体もコンプレックス。個人のプレーが勝ち負けに影響するスポーツも嫌いでした。ええ、苦手じゃなくて嫌いでした。コンプレックスの大量生産。

それでもボーディングスクールになぜか受かって入学しました。当初は三度の食事のために食堂へ行くのもためらっていました。当時住んでいた寮では、食堂はひとつ下の階という至近距離であったのにも関わらず。食堂は円卓ばかりで、必ず誰かと食べることになるスタイルでしたので。

ところが、そんなシャイなはずだった私は、ボーディング生活の3~4年目には合唱のソロパートやミュージカルの学内オーディションに出て、人前に出演していました。マネージャーをしていた水泳の大会では、種目や成績など会場アナウンスを担当するようになりました。

大人になった今もさすがに自ら先陣を切ったり注目されたりは避けますが、必要なときに声を挙げたり役を務めることはできます。

やればできる。自分でも信じていなかった可能性を、母校は出願当時に見抜いてくれたのだとしたら、アドミッションは本当に見る目があるなと思います。（それとも、みんなそんなもん？）

私に必要だった栄養

たまたまかもしれませんが、私の母校には私の成長に必要な養分があったようです。

現地生の優しいルームメイトが根気よく私と仲良くなろうと、食事の時間になっても部屋にひきこもっていた私をなんども誘って引っ張り出してくれました。

ある先生は私に、現地生で数学に手を焼いている子の宿題を見てあげるように依頼しました。

別の先生は、私のエッセイを教室でお手本としてつかってくれました。

別に私の成績や作品が人より特別優れていたというわけではなくて、こうして周りが私を孤立しないようにしてくれていたんですね。

ボーディングに行かなかったらおそらく開花しなかったであろう部分が、いろんな機会提供や、周りの先生や生徒の刺激によって開花したのでしょう。

…脱線しました

要するに、多くのボーディングスクールが見ているのは「この子はうちで成長してくれるか」ということです。（無理やり話を戻しました）

どんなに語学や勉強に長けていても、人と関わらないと成長しません。

人と関われば、成長と同時に語学も伸びます。語学以外のコミュニケーションスキルも伸びて、語学で足りない部分もカバーできるようになります。

自分でも成長を実感でき、成功体験が積み上がると自信に繋がります。 そして自信がつくと、周りに優しくなれます。

人と関わることは、いろんなことに波及して加速度的な成長につながります。

でもどんなに成長しても欠陥だらけなのが人間です。だからこそ完璧を目指すのではなく、助け合うことを目指していれば、みんなで補い合えます。

みんな違う長所短所を持っているのが当たり前。だからみんなで成長し合う。

ボーディングを目指すときは、こういうマインドを親子で身につけることが出身の学校種別に関係なく必要なのだと思います。

実体験から語れませんが、日本の受験や進学マインドとはおそらく大きく違っています。でも日本の教育や受験制度を否定したいわけではありません。それが有利に働くひともいますし、そういう人はどんどん活用したらいいんです。

そしてボーディングスクールは、決して万人におすすめできる環境ではありません。何事にも機会損失はあります。

ただどんな選択肢も、私はないよりはあったほうがいいと思っています。日本型が合う子はそちらを、アメリカ式ボーディングが合う子はそちらを選ぶのみです。イギリス式、アジア式、その他も然り。

子は勝手に育つ、そして止まらない

保護者と教育と「子育ち」について、私は日々考えています。

その一方で、学校生活は人生のたかが1/5〜1/4のことです。たかが学校です。あまり真剣になりすぎて人生や成長における他の大事なことを見逃してはいないか、冷静になる側面も私は持ち合わせています。

受験塾が、志望校に受かることをゴールにしているように、ボーディングスクールのエージェントはボーディングスクールに入学することをゴールとしています。それに長けています。

が、子どもの成長は合格や入学がゴールではありません。その視点を失わないようにしたいです。

すべての学校種別に共通していること

ボーディングスクールが願書で求めているのは「その学校でうまくやっていける」＆「その学校で成長を見せる」根拠です。

必ずしもそれまでの過去の実績が見たいのではなく、その子の未来が見たいんです。

英語ができなくても、やる気や人の良さは伝わります。たとえば出願時に提出する学校の成績や先生の推薦状からは、学習態度や周りとの関わり方が推し量れます。

普段の学習習慣、礼節、パッションややる気の醸成。これらは公立私立インター問わず取り組めることだと思いませんか？

英語力と同じくらい、またはそれ以上に大事なのは子どものパッションや性格を保護者が早期から見つける努力をして、信頼することだと思います。

それを子どもにもフィードバックすることで、子どもが自己理解を深めていけること。

親も子も、場所や年齢を言い訳にせずに挑戦を楽しめること。

あとは、子ども本人がボーディングスクールに行きたがるかどうかです。

学校を選ぶときは、子どもが青春時代に必要とする養分が得られる環境であることが大前提です。

たとえ英語力があっても、その子に向いていない環境だと発育不良になります。

インターナショナルスクールに在籍しているかどうかなんて関係ないんです。

もし本人から自ら行きたくなる可能性を少しでも高めたいのなら、早めから選択肢の一つとして普段の会話に出しておくことをおすすめします。だからといって子どもが自ら行きたがる保証はできませんが。

ただし子どもにボーディングスクールの話をする過程で「日本の教育はだめだから」など日本の教育を悪者に仕立てるのは、私は感心しません。どこの国にも完璧な教育はあり得ないからです。いつかブーメランになって返ってきます。

学校での教育は、行政によっても、教育長によっても、学校単位でも、先生単位でも、子ども単位でも、その実態は異なります。

この記事では話を簡素化するために「ボーディングスクール」という大きめの主語になっていますが、ボーディングスクールにも当然個別に良し悪しあります。

ボーディングスクールに行っても行かなくても

願わくば子どもたちの成長過程で体験してほしいことがあります。

それは自分の受けたい教育はどんなものか考え、それを自分で選ぶというオーナーシップの行使です。

主体的に自分の進路を選ぶ行為。これは子どもにとっては成長機会です。ゆくゆくは人生における大きな決断をするときにつながると思っています。

ボーディングスクールに受かる力や行ける経済力があっても、結果的にボーディングに行かないという決断もあっていいと思います。

自分の決断の結果責任を自分で取る。

これは大人になるために非常に大事なレッスンです。

願わくば、子どもには子どもであるうちになるべく多くそれを体験してほしいと思っています。

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