【イギリス大学進学までの道のり】高校での英語上達法とファウンデーションコース
こんにちは!モアエデュケーションのMakiです。
留学生対談シリーズ第三弾、現役の英国大学生に留学のあれこれを聞いていきたいと思います!
今回のゲストはイギリスの名門大学キングスカレッジロンドンを卒業されたばかりのSoさんです。Soさんは日本の高校を卒業してから、ファウンデーションコース経由で大学に進み、PPE(哲学・政治学・経済学)を学ばれました。
イギリスの大学生活のことや、モアエデュケーションでIELTSの講師も務めていただいているので、英語勉強のコツなどを教えてもらいます!
イギリス留学の理由とPPE(政治経済哲学部)の特徴
イギリス留学を決めた理由は?
元々PPEに興味があったのが大きくて、はじめはアメリカとイギリスで迷っていました。
イギリスにした理由は2つあって、1つ目は、イギリスは学部が3年と短い分、1年目から方向性を定めて学んでくことができるからです。自分自身、高校生の時から哲学と政治に興味があって、やりたいことが定まっていたのでこれが合っていると思いました。
2つ目は、国としてのレベル感で見た時に、イギリスは日本に近いところがあったからです。同じ海洋国家で、同じような政治システムというところと、他にも人口減少や高齢化など重なるところが多いです。
PPEに興味を持ったきっかけは?
哲学に興味があったので、それに関連するイギリスの学部をリサーチした時に「Philosophy, Politics, Economics」が出てきて、これ何なんだろうって。
例えば大学の世界ランキングで科目ごとで調べても、その全然知らない学部があったので、深堀っていくうちにイギリス独自の学問だということを知りました。
そして色んなブログを読んでいくうちに、どんどんこれがすごく自分にピッタリだな、やりたいなって思ったのがきっかけです。
高校時代の英語力を上げた活動と留学体験
僕は日本の普通の高校、いわゆる一条校に行っていました。ドイツ系の学校でドイツの授業もありましたが、基本的には日本語です。
受験も1学年で数人くらいしか海外大学に行く人はいなくて、大体は日本の国立や私立の大学に進む人が多かったです。
中学の時に半年くらい留学に行っていたのですが、ほとんど日本の教育だったので、英語力を伸ばすところは自分で工夫しなければいけませんでした。
僕が頑張ったことは2つあって、1つはイングリッシュディベートの活動を高校2年間やっていたこと、あとはJETプログラムの先生に授業外に教えてもらっていました。
活動①イングリッシュディベート
ディベートはイギリスの議会発祥らしく、学校になかったので先生にこういう活動がやりたいと言って作りました。3人から5人のチーム戦う競技で、部員が何十人かいる中で1チームが代表として他の高校と即興型ディベートをします。
英語は留学に行っていたのもあって、ある程度日常会話はできたのですが、ディベートというのは案に対して立論をして反駁をしてまとめる、というその3つのプロセスが必要で、それを練習全然したことがなくて。
日本の学校では授業でも討論をすることはないので、最初の半年は都の大会に出ても1回も勝てなくて。上達のためにみんなで休み時間や放課後に集まって、他校とも連携して練習試合をしました。
本当に頑張って、最後はマレーシアの世界大会に行けるぐらいに成長したので、それは自分の中でもやりきったことでした。
ディベートのおかげで考える力がすごく付いて、英語のエッセイを書くときの文章構成にも役立ったと思います。
活動②JETプログラムの先生に教えてもらう
JETプログラムが政府が行なっているもので、外国から日本の学校に英語の先生を派遣します。僕の学校では3人、オックスフォード大学、UCL、KCLから来ている先生がいました。みんな業務が少ないので、行ったら手伝ってくれました。
大学受験の準備をしている時に、Personal statement*の書き方がわからなくて、ちょうど僕と同じ大学の先生がいたので、課題を出してもらって書いていました。
*Personal statement=志望動機書
活動③交換留学と短期留学
中高一貫校だったのですが、中学1年生で入学した時は海外に行くなんて考えていませんでした。
でも学校の中で交換留学制度があったり、個人的にも夏に短期留学に行く機会がちょくちょくあったりして、そういうのでちょっとずつ視野が広がっていきました。
短期留学はニュージーランドなど3か国くらい行ったのですが、1番影響を受けたのが高校1年生の時に行った中国でした。
それは留学というよりかはサミットプログラムで、経団連か政府が香港の団体と協力してやっているもので。そこで初めて海外の大学生と触れ合う機会があって、その時に留学いいなって思いました。
日本、中国、香港、イギリスの4カ国の人が集まって色んなこと話す機会があり、これまで大学の受験勉強という1つのルートしかないと思っていましたが、他にもあるのだと知りました。
すぐ働くという人もいれば、逆にGap year(ギャップイヤー)*を取る人もいる。色んな国の人の色んな選択肢を見た時に、自分って本当にやりたいことなんだろうって考えるきっかけになりました。
*Gap year(ギャップイヤー)=高校卒業後、大学入学までの1年程度旅行やインターンシップをして過ごすこと
活動④ラグビー部
部活は中高6年間ラグビー部でした。
高校生活はラグビー部とディベートの活動の2つを中心に、暇になる夏休みに留学に行くという感じでした。
ファウンデーションコースの出願準備から大学合格まで
出願の準備はどのように行なった?
主にはJETプログラムの先生に手伝ってもらいながら、高校で何人か海外大学進学した人がいたので、先輩にも話を聞きました。制度としてそういったサポートはなかったので、自力でプロセスを進めていきました。
出願で必要になってくるのは学校の成績、推薦状が僕の場合は2通、あとは英語の資格(IELTS)と、課外活動などの経験も必要です。やっぱり日本の受験とは全然違うので、1人で揃えるのに苦労しました。
エッセイをどうやって書けばいいか全然わからなかったので、準備自体は早くからしていて、本腰を入れ始めたのは高校3年生の夏くらいです。
イギリスの大学に出願する時にUCAS*を出すのですが、9月頃にポータルがオープンして、10月、11月くらいに提出します。ファウンデーションコースもシステムが似ていて、応募する先が学部ではなくファウンデーションコースというイメージです。
日本の大学にも受験はしましたが、第一志望はKCLだったので、そこの付属のファウンデーションコースに出願しました。
その後オファー*と言って、成績の入学要件が出ます。日本の評定は5あると思いますが、評定が4.1以上必要というオファー内容でした。Conditional offer(条件付き合格)だったので、3月に出る最終評定を待って、オファーを満たしていたのでそのまま合格しました。
*UCAS=イギリスの大学出願ポータル
*オファー=条件付き合格。A-levelやIBのどの科目で〇〇グレード/スコア以上取らないといけないなど。
ファウンデーションの寮生活
ちょうど2020年入学だったので、コロナウイルスがすごく大変な時期で。渡英したはいいものの急にイギリスがロックダウンになってしまって、寮からどこにも出れずに閉じ込められる状況が半年くらい続きました。
日本にもほとんど帰って来れなくて、1年目は学校というよりコロナで大変でしたね。今思ってみたらそれも楽しかったです。
というのも、最初は友達ができるか不安だったのですが、半年くらい1つの寮で友達とずっと一緒に過ごしていたらめちゃくちゃ距離が近くなって。
僕だけアジア人で、10人でリビングルームをシェアしていたのですが、結果的に見たら今でも定期的に会ったり連絡したりするくらい深い関係になることできたので、ロックダウンがあったからこそだったなと思います。
ファウンデーションの勉強内容
ファウンデーションコースでは大まかに文系と理系に分かれていて、専攻を正確に決めるのは1年経って学部に入ってからです。
例えば理系のファウンデーションだったら医学部や、化学、生物などの科学に進み、文系だったら法律やPPEなどに進めます。
勉強する内容は少しAレベルに近くて、僕はEconomics(経済)、Politics(政治)、International Relations(国際関係)、Mathematics(数学)を取っていました。Aレベルと大学の勉強の間みたいな感じです。
ファウンデーションの成績はA+、A-、B+、B-というような評価で、専攻ごとに入学要件があります。Law(法律)とPPEは中でも1番いい成績が必要だったので、そこで頑張りました。
学部への出願 – UCAS
学部への出願は、普通の大学受験と同じようにUCASを出します。9〜12月くらいに提出なので、ファウンデーション始まってすぐに出す感じです。
UCASのオファーは、ファウンデーションコースに入る時点で確約されています。大学の進級と同じで、最低限の成績を取ることができれば進学できます。その上で、どの大学のどの専攻に行けるかというのがファウンデーションの成績によって決まります。
UCASの特徴として、すべての大学と専攻に一括で出願するので、エッセイにあたるPersonal statementも1つしか出せません。そういう中で、なるべくどれにも当てはまるようなものを書くのは苦労しましたね。
もし、違う大学でも同じ専攻に出す場合は、同じPersonal statementで問題ないのですが、僕はKCLの中でいくつかの専攻に第一志望、第二志望、第三志望という感じで出したので、工夫が必要でした。
書く内容は、ファウンデーションコースに出願した時のPersonal statementとほとんど同じものでした。添削をサポートしてくれる先生がいたので相談しながら、これからファウンデーションで学ぶことを踏まえたところを追加しました。
ファウンデーションコースの特徴
僕の時はコロナでオンラインでしたが、授業は本来なら大学のキャンパスに行って受けます。朝から晩というよりかは、大学と同じように午前または午後だけです。
キングスカレッジロンドンのメインキャンパスはStrand Campusといって、ロンドンの中心部にあります。Holborn(ボルボルン)駅のあたりです。
ファウンデーションの生徒も、学部生と同じように図書館も使えますし、部活も参加できます。
生徒は全員留学生で、全体で150人くらいのうち、6〜7割がヨーロッパ、3割がマレーシア、中国、香港などのアジア、残り少ないのが日本人、アメリカ、オセアニア、中東から来ていました。
出願プロセスで大変だったこと
Personal statementのところですね。やはり字数が限られていたので、どこをアピールしたらいいのか優先順位を決めるのが大変でした。自分の場合は活動がいくつかあったので、それを1つに絞った方がいいのか迷いました。
また、アメリカと違い、イギリスは教育システムとして大学1年生から専攻が定まってるので、どうやったらその学びに繋げられるかというところも考えました。自分の場合はインターンシップはほとんどしなかったので、ラグビーとディベートという、政治や哲学から遠いものをどうやって専攻に結びつけるのか。その説明というか、コネクションの部分が難しかったです。
最終的に書いたのは「広い視野を持って」や、「留学の経験から国際協力に興味を持ち、将来的に政治系のことに携わりたい」というような、本当にざっくりしたことを書きました。今考えたらもう少し何か書いておけばよかったなと思います笑。
その他に、PPEに関する文献も読んで、それについても書きました。KCLには哲学と政治の分野で有名な教授が何人かいて、あとは戦争学部という独自の学部もあって。そういう強みには興味があって、教授の本を読んだり興味がある授業を調べたりして、エッセイの中でメンションしました。
キングスカレッジロンドンの魅力とは
KCLを選んだ理由
大学の出願自体はKCLの他にもう1校、バックアップとして自分の成績だったら入れそうなところにも出しました。リーズ大学かマンチェスター大学だったと思います。
第一志望はKCLにした理由は、自分は哲学がすごく好きで、当時哲学のランキングが世界6位だったことです。
あとは、日本の2チャンネルというかスレッドみたいな、イギリス人が交わしてる掲示板があって、そこで色々比較した時に、同じPPEでも大学ごとに特色があって、カラーも全然違うことがわかりました。例えばインペリアルカレッジロンドンだったら理系色、研究色が強くて、少し離れてOxbridge*の方だと、全然また雰囲気も違ってがっつりアカデミック色だったり。
その中でKCLの雰囲気が良さそうだなと思ったのと、学部の学びも、横断的に後から色々変えてデザインしていくことができるところがよかったです。その雰囲気と科目のフレキシブルさが自分に合ってるなと感じたのが決め手です。
*Oxbridge=オックスフォード大学とケンブリッジ大学
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後編はこちらから - 「大学でのスケジュール」「PPEの勉強」「部活・サークル活動・インターン」「住まい事情」「英語学習のコツ」「就活体験談とキャリアプラン」について話しています!
この記事のもとになっている対談はこちらからご覧いただけます!
ファウンデーションコースからのイギリスの大学出願について解説している動画:
King’s College London 公式サイト:
https://www.kcl.ac.uk/
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