世界の教養:侵害受容(痛みを知覚すること) ー これがないと生きるのが困難

今回紹介するのは、「侵害受容(痛みを知覚すること)」です。

侵害受容は、人間が生きていく上では欠かせないもので、この世にある様々な危険を知る単純で有効な方法だそうです。痛みを感じると反応を起こす信号が発せられ、例えば沸騰しているお湯から手を引っ込めたり、割れたガラスから一歩下がったり、ひねった足首を安静にしたりします。

高等生物(ヒトに最も近い動物種)は、痛みを知覚する神経系を持っているそうで、鳥や動物も人とまったく同じように体をよじったり、うめき声や叫び声をあげたりします。

生まれながらに先天性無痛無汗症(CIPA)という難病を患っている子どもは、25歳以上生きられることが滅多にないそうです(参考文献によると)。生まれた時は、他の子と変わりなく見えるそうですが、歯が生えてくると、痛みを感じないので自分の指を食いちぎってしまうことがあるそうです。骨を折ったり、火傷したりしても気づかないため、複数の傷による重度の感染症で命を落とすことが多いようです。

痛みは、私たちの頭の中で起きていると考えられています。興味深いのは、身体的な痛みと感情的な痛みは区別されないそうです。腕が傷ついても、心が傷ついても、脳の反応は一緒だそうです。

補足
手足を切断した人が、よく幻肢痛(げんしつう)を訴えるそうです。あるはずのない手や足に、突き抜けるような激しい痛みを感じるそうです。こうした事例が、痛みには脳で生まれるものもあることを示す最初の証拠となりました。


参考文献
デイヴィッド・S・キダー, ノア・D・オッペンハイム, 小林朋則 訳, 文響社, 1日1ページ読むだけで身につく世界の教養365, 2018年, 52p

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