世界の教養:アルファベット ー 古代エジプトの王たちの苦悩

今回紹介するのは、「アルファベット」です。

約4000年前、古代エジプトの王たちは、ある問題に頭を悩ませていました。近隣諸国との戦争で勝利するたびに敵兵を捕まえ、奴隷にしていました。が、奴隷たちは、ヒエログリフ(エジプトの文字)が読めなかったので、文書で命令を伝えることができませんでした

ヒエログリフを含め昔の文字は、文字が何千個もあって、その一つ一つが単語を表していて、覚えるのに何年もかかりました。そのため、当時のエジプト人でも読み書きできたのは、ほんの一握りでした。

そこで、奴隷とコミュニケーションを取るためにヒエログリフの簡略版を作り、これが今に伝わるアルファベットの起源になりました。この簡略版では、一つの文字が表すのは音だけで、文字の数は数千個から数十個にまで減り、文字を覚えて使うのがはるかに楽になりました。

アルファベットは大成功で、エジプトで奴隷になった人たちは、やがて故郷に戻るときに、この文字体系も持ち帰りました。これは各地に広まり、アラビア文字、ラテン文字(ローマ字)などの基礎になったそうです。


参考文献
デイヴィッド・S・キダー, ノア・D・オッペンハイム, 小林朋則 訳, 文響社, 1日1ページ読むだけで身につく世界の教養365, 2018年, 7p


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