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海外大進学を選ばなかった帰国子女の話

こんにちは。EDUBALアンバサダーのSanaeです。
今回は、小6~中3の3年間をシンガポールのインター校で過ごし、帰国高校受験を経験した長女の大学選びのお話です。

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本帰国時は母娘で【海外大推し】だった

3年間のインター校生活は日本の勉強補習をほぼせずに、現地生活と英語力を伸ばすことに振り切っていた我が家の長女。お陰様で本帰国時には本人が満足のいくレベルの英語力を身につけて帰ってきました。しかしその代償に、高校入学までの半年間在籍した地元の公立中学では、日本史のテストは5点、古典はズタボロ、数学の苦手意識は日を追うごとに笑えないレベルに。。。😢

発展し続けるアジアの小さな大国、シンガポール


娘が通ったシンガポールのインターは決してキラキラ豪華な学校ではなかったのですが、デジタル先進国で政治も行政も洗練し尽されているシンガポールで過ごした3年間は、私や娘の価値観、物の見え方を大きく変化させていたようです。
公立中学編入手続きのために何度か学校へ足を運ぶたびに、「なんてアナログな」「なんてスローな」と苛立ち、口を開けば「シンガポールだったらさあ・・・」とつぶやく。私たちって典型的な感じの悪い『駐在帰り』ファミリーでした(笑)。

「日本やばいよ、この国には長く居れないでしょ。」

そんな気持ちでいた私たちは、長女が帰国子女が多くいる高校へ入学した後も、高1の頃は「大学は海外に行くよね」と息巻いて、海外大学進学セミナーやコンサル説明会に出席したり、PTAのネットワークをいかして海外大進学させている先輩ママに情報収集したり。もしかしたら娘より私の方が一生懸命動いていた気がします。

資金面のハードル高し

一度でも海外大進学を検討された方なら分かるはず。理想と現実の違い。そう、海外大といえば膨大な学費の問題にぶち当たりますよね。

我が家の選択肢としては、
①国内の奨学金をゲットして進学
②比較的学費が安価なヨーロッパを目指す
③大学オファーの奨学金がある道を開拓

こんな感じでした。

海外だったらどの大学でもいいのかい??

高1の間は、大量の課題と部活や委員会活動に追われながらも、娘はよく海外大のリサーチをしていました。まだまだどこか他人事のような、現実逃避のような感じであったようにも思います。
前述した通り、我が家の場合は資金面の問題があるので、①~③の選択肢をウロウロしながら、行きたい(学びたい)大学を選ぶことより、「行ける大学」探しに迷走するようになりました。

高2になると、学校から大学オープンキャンパスへ行くよう促されます。娘も類に漏れず、早稲田、上智、ICU大などへ何度か足を運んでは、学校案内のパンフレット、募集要項の冊子、give awayグッズを持ち帰って来ました。大学キャンパスの雰囲気や、体験講義の様子、オーキャンを仕切る大学生を見たり、在学生とのセッションに参加すると、「あ、この大学はいい」「ここは違うな」と見えてくるものがあると言います。学部が変われば、また新しい発見もあったり。学校ホームページや世間一般の評判とは、やはり実際に自分の目で見ることで全く違う印象を抱いたようでした。

ん??待てよ。

そしたら、
海外大学も同じような物差しでジャッジできるのかな?
奨学金が貰えそうな大学だったらどこでもいい、それでいいのかい??
という疑問が浮上し始めました。
※学びたい学問や明確な将来の夢が決まっている場合は全く違ってくると思います!

叔母の言葉

娘の叔母(私の義姉)も帰国子女で日本の大学を卒業した後、フランス大使館勤務を経てパリへ渡り、子育てをしながら海外でキャリアを積んできた女性です。娘のよき理解者という存在。海外大進学を本格的に決めなければいけない高2の初め頃に、叔母に進路の相談をしてみました。

まだ、どの大学のどの学部で何を学びたいか、全く決まっていない娘は、「日本の講義スタイルとかじゃなくて、もっとディスカッションとかやったり。。。海外で刺激を受けて生活してみたいような。。。」と曖昧な海外大志望動機を述べておりました(笑)。
そんな娘への叔母からのアドバイスは、
「海外で学んだり、働いていると『あなたは何者か?なぜここに来ているのか?』を常に問われる。私は日本の大学を卒業したことで日本人としてのアイデンティティをしっかりと作り上げられた気がしている。アカデミックレベルで論じられる母語があることも大きな自信に繋がっているし、大学時代の日本の友人達は海外で暮らしている今も心の支え。将来、あなたが日本じゃない国で活躍することには大賛成だけれども、大学で海外に出るのは長い目で見て遠回りになるかもしれない。

いいじゃん!海外に飛び出してどんどんチャレンジしなさい!!とエールを貰えると期待していた娘(私も)は、半ば意気消沈。この辺りから、娘の中で少しずつ海外大への想いが変化していった気がします。

私って結構ドメスティックな人間かもしれない

高校文化祭準備のひとコマ

本帰国して2年目になり、高校での友達も増え、学校生活も充実していた娘は、同じ学校の「ザ・帰国子女」というような子達(勝手にすみません💦)と自分は違うな~と感じ始めたようでした。仲良くなる友達はほぼみんな「純ジャパ生」。部活は和太鼓部、渋谷や下北で古着を買ってみたりJKっぽい放課後も楽しんで、渡星中にお休みしていたピアノレッスンを再開したり。何より、学校で学ぶ古典や日本史の授業が楽しくて、日本文化の繊細さ、奥深さみたいなものに改めて気付きハマっていったような・・・。
一旦海外を経由したからこそ余計なのかもしれません。

私って結構ドメスティックな人間かもしれない

ある日、娘は
「帰国子女だから、海外目指さなきゃいけないと、勝手に自分にプレッシャーをかけていたのかも」と、話してくれました。

いや、もしかしたらプレッシャーの源は母である私だったのかもよ、ごめんよ娘!!!

この頃から私は、
✅娘の進路選択には一切口を出さない。
✅どの道を選ぶか、選ばないかも本人次第。
✅受けるのはお金の相談のみ
と心に決め、「鳥の目」で見守ることに徹しました。

受験は情報戦です。帰国生に限らず、特に大学受験は中高の比較にならない程トリッキーかつ難解です。正直、大人の手を借りないと乗り越えられない(乗り越えられなくしてる??)ケースもあるでしょう。
ただ、我が家の場合は、どんな場面でも、決めるのは本人。危ない橋を渡ろうとしていても、失敗から学ぶ強さをこの時期に蓄えないと!
18歳で成人とはそういうことなのかもしれませんね。我が子が人生のオーナーシップを持つために歩み始めた大きな一歩は「自分で決めたんだ!」と言わせてあげたい。そう思っていました。

娘が選んだ大学とは?

キャンパスの風景(ICU大学HPより)

そんなこんなで、日本の大学進学へ舵を切ってからは、志望校を決めるのはとても早かったです。娘の弱点ともいえる、まだ何を学びたいかハッキリ分からない、絞り切れない、興味関心が日々変わる、こんなタイプにピッタリなリベラルアーツ教育が受けられる大学。そして、これまで培った英語力を存分に活かしながらも、日英バイリンガル教育の中で日本語も育める大学。それは、ICU(国際基督教)大学でした。

ラッキーなことにICU大学は、娘のようなアーリー帰国生にも帰国生枠入試の門が開かれています。要件はざっくりですが、中高のうちに2年以上海外教育プログラムで学んでいること。首都圏では他に上智大学も同じような要件で帰国生入試枠を設けています(2024年度入試時点)。

娘が本格的に入試対策を始めたのは高2の終わり頃から。帰国生入試(7月出願)→指定校推薦にトライ(9月に高校へ志望書提出)→総合型選抜(9月出願)→2月の一般選抜までを視野に入れて。併願校は一般入試の段階で決める、もしくは浪人も覚悟!の意気込みで受験勉強に没頭していきました。
娘の高校では、志望する大学受験にマッチした(評定を取る戦略も含む)高3の科目選択も肝だったので、遅くとも高2の後半までには、ある程度の志望校や学部が決まっていないと厳しいと感じました。実際は、全て本人任せだったので、母は事後報告を受けるのみでしたが…。

結果的には帰国生入試で合格をいただけたのですが、合格発表は総合型出願の後だったので、帰国と総合型の2回出願していました。総合型選抜を経験して感じたのは、熱望校じゃないと勝てないだろうなということ。うまくやれば総合型でも併願は可能ですが、志望理由書やエッセイ、面接など自分のパッションを最大限にアピールする必要があるので、本人の労力もかかりますし、大学側にもそれは伝わるのだろう思います。少なくとも娘の場合は、1大学2回出願で燃え尽きておりました(笑)。

こうやって、海外大学進学を選ばなかった帰国子女の娘は国内大学へと着地しました。
大学での留学や、大学院で海外へ出ることも視野にいれつつ、今は4月からの大学生活に胸を躍らせています。
EDUBALアンバサダーとして、国際系一条校の取材に伺った際、海外大進学者の内訳を聞くと、実は帰国生の割合はあまり高くありません。帰国生の英語力が海外大合格に有利なのは間違いないと思いますが、海外生活が長いお子さん程、日本の大学を志望されるとも聞きます。

もしかしたら、我が家と同じような悩みや迷いに直面されている方がいらっしゃるかもしれません。またその逆のパターンの方もきっとおられるでしょう。
学校名を出しての執筆には、いつも勇気が要りますが、誰かの参考になればこんなに嬉しいことはありません。

最後まで読んでいただきありがとうございました。