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『学習支援のツボー認知心理学者が教室で考えたこと』

『学習支援のツボー認知心理学者が教室で考えたこと』 佐藤 浩一 2014年 北大路書房


 本書は、認知心理学をエビデンス(根拠)にした学習支援方法についての本です。とはいっても、認知心理学の専門書というわけではなく、教育関係者向けに書かれた本なので大変分かりやすいです。

(ちなみに、同一著者による、より理論的な内容も含む本はこちらです↓)


 本書は現場で起こる事例をもとに、エビデンスに基づいた解説がなされているので、「あぁ、なるほど、こういうケースは、そういう風に支援すればうまくいきやすいのか」と、自分の教育実践を振り返りながら読むことができます。

 また、子どもの思考、視点に立って書かれているため、教師という立場で本書を読むと「子どもたちはこう考えているのか、こういうところにつまずきを感じてしまうのか」と改めて気づくことも多いと思われます。

 例えば、本書は次のような学習支援をする際の疑問に応えてくれます。

・板書やワークシートはどのようなレイアウトだと認知的に見えにくくなってしまうのか?

・図や表を含めた教材をデザインする際にはどのような点に留意しなければならないのか?

・質の高い振り返りのポイントは何か?

・算数の文章題を解くときに、頭の中ではどのようなステップを踏んでおり、ステップごとにどんな支援が必要なのか?

・効果的な指示・発問・説明とは?

などなど、授業を展開する上での留意点と、具体的な学習支援のツボが明示されています。

 子どもが抱えるつまずきは一様ではないため、本書で書かれている「学習支援のツボ」が全ての教室の全ての児童で有効であるとは当然限らないでしょう。しかし、児童にとって「配慮が行き届いた授業」を構成するために、一般的にどのような点に留意すべきなのか、(特に若手の教師にとって)有効な視点を与えてくれる本です。

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