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探究塾が、エビデンスに基づいた学びを届けるために。

エビデンスとは、科学的根拠のこと。

EdoNewSchoolの“New”が、なにを指すのか。そのひとつは「エビデンスに基づいた学びの提供」を目指している点。

いまだに日本では、教育という重要な分野において国際水準から著しくかけ離れた議論が行われてしまっています。今後は、日本も海外のように、効果測定によるエビデンスに基づいて教育政策のあり方を議論していくべきでしょう。

『「学力」の経済学』,中室牧子,p113

こんな記述があるよう、日本ではエビデンスに基づいた教育や教育政策は打たれていないのが現状だ。もちろん、一人ひとりの経験から感じたものは大きい。そこから導かれるものは、多分にあると思う。けれど、それだけだと“良い教育”にならないのではないだろうか。

エビデンスに基づいた学び。なかなかそれが難しい。必要性がないと思っている人もいるし、やりたいけれど時間がない人もいる。

一方、EdoNewSchoolは、そんな理想を追おうとしている。そのなかで、エビデンスに基づいた学びの提供を探究するための「効果検証チーム」が発足した。

効果検証チームのゴール。それは、

EdoNewSchoolで提供する
◯◯な学びや△△な環境は、
子どもの□□な能力を伸ばす

……とエビデンスを基に言い切ること。

このゴールを見据えて、効果検証チームは走り始めている。では、どのように進めていくのか。

STEP1:仮説をつくる

まずは仮説がないと始まらない。自分たちは、どんな効果を考えたいのか。

そのためには、EdoNewSchoolがある“地方”に足りないものと、地方の学生たちの現状をつなげる必要性がある。それが下図だ。

ここから生まれた仮説が下記となる。

①「やってみたい」があって「やれる!」と思えていると、幸せな人生やよりよい社会をつくることができる。
②いまの地方の学生は、都心&昔の学生と比べて「やってみたい」がないし「やれる!」と思えていない。
③チャレンジできる環境は「やってみたい」や「やれる!」につながる。
④多様な人に触れることは「やってみたい」や「やれる!」につながる。

これらの仮説が正しいと支持できれば、EdoNewSchoolとしての学びの効果を証明する根拠となるはずだ。

STEP2:その仮説を証明する情報を収集する

仮説ができたら、次は検証段階。現在はこのSTEPを進めている。

関係がありそうな論文や書籍にあたり、仮説を支持できそうな情報や論拠を集める段階だ。

例えば……

・論文:大学の経験学習型リーダーシップ教育におけるリーダーシップ行動尺度の開発と信頼性および妥当性の検討(木村充、舘野泰一、松井彩子、中原淳)
・専門誌より:「生きる力」を支える自尊感情(近藤卓)
・書籍:「つながり格差」が学力格差を生む』(志水宏吉

などなど。まずは広く浅く文献を集めて、深堀りできそうな領域を見つける。

現段階でぶつかった鉱脈は「ソーシャル・キャピタル」「経験学習」というキーワード。キーワードを見つけ、その専門家を探し、さらにその周辺をリサーチする。その繰り返しで、仮説を検証していく。

STEP3:有識者へのインタビュー

いくら文献を漁っても、分からないものは出てくるはず。その疑問点が明らかになるタイミングがきたら、リサーチの過程で「お話を聞いてみたい……!」と思った専門家の方にインタビューを試みたい。

僕たちが積み重ねた仮説検証にアドバイスをいただけるかもしれないし、まだ世に出たばかりの最新知見を教えていただけるかもしれない。

とにもかくにも、自分たちだけで仮説を検証するのは難しい。だから、外部の方のお力を借りる。そして、研究を前に進める。

新たな仮説が生まれてもいい。その場合は、またSTEP2へ戻り、情報を収集することから再始動する。

STEP4:証明しきれない関係性について、独自の調査を進める

最終的には、外部に協力をあおぎながら、EdoNewSchool独自の調査を進めていきたい。前述もしたけれど、自分たちが知りたいものの全てが明らかになっているはずがない。だから、自分たちが知りたいものは、この手で研究するしかない。

このとき、どこかの研究室と協力し、独自の調査結果を出すことができたらベストだと考えている。

やはり独自で出した調査結果と、大学と共に出した調査結果とだと、信憑性はもちろん正確性も違ってくる。だからこそ、いかに外部の協力者を見つけるかは大切になる。

エビデンスの、その先へ

以上のSTEPを踏みながら、EdoNewSchoolでの効果検証を進めていく。その先で、

EdoNewSchoolで提供する
◯◯な学びや△△な環境は、
子どもの□□な能力を伸ばす

と言えるようになるはずだ。

そして。エビデンスに立脚した学びを届けられるようになったら、数値化さ  れたものを超えた目の前の一人ひとりと、より深く向き合えるようになると考えている。

数字はあくまでも数字だ。目の前の人は、数値に換算しきれないものを有している。それを忘れてはならない。

とはいえ、数字が証明してくれるものもある。数字によって、本質的な学びの可能性が開ける。

大切なのは、両方の目を持っていること。経験則に従うだけでは、“肌感覚”を脱せないし、数字だけでは一人ひとりを見ることができない。両輪として回していくことが大事だろう。

ひとつの車輪しかない教育もあると感じる。だからこそ、ふたつの車輪で遠くまで行けるようにしたい。

そのための効果検証だ。

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検証の過程はnoteでも発信していくので、いろんな方と議論しながら進められればと思う。

(文:安久都智史)

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