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映画『Most Likely to Succeed』から受け取った問い「目の前の人への関わり方、それでいいの?」
先日、EdoNewSchoolのメンバーで映画『Most Likely to Succeed』を視聴した。
『Most Likely to Succeed』
米国のカリフォルニア州にある High Tech High というチャータースクールに通う二人の高校1年生の成長を追いかける過程で、日本と同様な受験偏重型教育と、生きる力を身につける実践的な教育のバランスをどう考えるかなど、国は違えど似た状況も多く、教育を取り囲む様々な視点について考えさせられる作品です。
詳しくは映画を観て欲しいのだが、この映画が伝えたかったことは「新しい教育の必要性」だけなのだろうか。
僕はそうじゃないと思う。もちろん、時代に合わせて教育は変わるべきだ。この映画に出てくるHigh Tech Highのようなプロジェクト型の学習については、多くの有識者たちが必要性を訴えている。その重要性を実感するのには、うってつけな映画だ。
けれど、僕が感じたこの映画のテーマは「目の前の人への関わり方、それでいいの?」という問いかけだった。
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この映画では、大きく飛躍する学生の姿が描かれる。失敗や挫折に直面しつつ、それを糧に新しい景色にたどり着く姿を見ると、目頭が熱くなる。人はこんなに眩しい可能性を秘めているんだ、それを芽吹かせる場所があるんだ。そんな希望を抱くことができる。
けれど、その大きな希望は、希望のまま終わらせていいのだろうか。希望は時間が経つにつれて、「この学校だからできることなんでしょう?」という懐疑心や、「自分にこんな関わり方はできっこない」という諦めに転ずる危険性がある。
希望は、そうじゃない未来への恐怖と背中合わせだ。そして、恐怖が大きくなると動けなくなってしまう。
じゃあ、この映画から何を感じればいいのか。それが“問いかけ”だと思う。
「目の前の人への関わり方、それでいいの?」という問いかけ。
映画では、可能性が芽吹く瞬間を見ることができる。けれど、それはHigh Tech Highという特殊な環境だからできたことなのだろうか。逆に言うと、環境さえ変われば、あなたも目の前の人の可能性を芽吹かせることができるのだろうか。
もちろん、環境要因は大きいと思う。その問題を蔑ろにしてはダメだ。けれど、全てを環境のせいにしてもいけないんじゃないだろうか。あなたはあなたとして、変えるべきところがあるんじゃないだろうか。
作中では、学生への関わり方に絞られているが、この問いかけを必要としている人は教育文脈に限らない。
組織人事として、チームメンバーと向き合っている人。
リーダーとして、部下と向き合っている人。
親として、愛する我が子に向き合っている人。
その全員へ、「その関わり方で、目の前の人の可能性は芽吹くのか?」という問いを投げかけている。
『Most Likely to Succeed』は、そんな映画だと思うのだ。
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その問いかけを受け取って、僕は正直怖くなった。EdoNewSchoolに来てくれた学生に向き合い、その学生が大きく飛躍するような関わり方をできる自信がないからだ。
High Tech Highに限らず、学生がより良く変容する例を多く見てきた。その希望は、僕が関わることでそうならないんじゃないか、という恐怖を呼び起こす。
けれど、こうも思う。その恐怖を乗り越えるには、常に問い続けることが大事なのではないか、と。「目の前の人への関わり方、それでいいの?」と、自分に問いかけることが大切なのではないか、と。
変化し続ける“人”と向き合うのだから、そこに決まりきった答えは存在しない。自分も変わり続けないといけない。
そうか。この映画は、この姿勢について教えてくれたんじゃないだろうか。
気を抜くと、変化は歩みを止めてしまう。慢心のうえに胡座をかいてしまう。
だから、問い続けよう。そして、変わり続けよう。
目の前の人の可能性を芽吹かせるために。
(文:安久都智史)
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